会社という組織の中で、所属するメンバーが何らかの行動を起こす際に「どのように考えるべきか」「どのようなスタンスで取り組むべきか」「何を基準として行動を選択するか」を定めた行動指針。会社ごとに、何を善とするかの倫理観、何を評価するのかを表す評価軸はそれぞれ異なっているため、各企業の行動指針を見ていくと、かなり各企業のカラーが見えてきます。
セブンデックスでは、メンバーが20人に達した頃に上記8つの行動指針が策定され、ボードメンバーから全社に向けて発表がありました。策定する過程の中で、ボードメンバーがメンバーから意見を聞く会が設けられたり、メンバーが各々どんな文化を築きたいのか考えるワークが設けられたりと、会社のWillと今所属しているメンバーのwillを伝え合い、重ねながら検討されました。策定にかかった期間は半年ほどだったと思います。
しかし、行動指針を発表したものの、普段の社内の会話で登場することもあまりなく、マネージャーとメンバー間で隔週で行われている1on1中もあまり行動指針を軸とした評価軸で話されることもなく。そのまま3ヶ月ほどがすぎ、策定したものの文化を作る指針となるはずの行動指針が形骸化している、中々メンバーの業務の中に馴染んでいない感覚がありました。
セブンデックスはまだまだ25名前後の小さな会社ですが、組織のカルチャーが育たなければ、今後のセブンデックスの企業価値の向上もない!といったボードメンバーの経営思想があります。これはまずい!早速「行動指針の浸透」を目的としたチームが結成され、6ヶ月を一旦の目処に動いていくことになりました。
目次
行動指針の浸透ステップ
まずは、行動指針が浸透するまでに必要な要素を見直し、ステップ化し、行動指針の浸透に必要とされているステップは、認知・理解・共感・行動・習慣化の5つであると定めました。
とりあえずボードメンバに課題感のヒアリングしてみることに…
ボードメンバー・マネージャー
まずは、ボードメンバーに行動指針の浸透に関する課題感をヒアリング。以下のような質問から、今ボードメンバーが何を見て、何を考えているのかを言語化していきました。
- 組織文化に関する課題感はなんですか?
- どうしてこんなワーディングになったんですか?
- どんな文化を築いていきたいですか?
- 特に浸透していると思う行動指針はなんですか?
- していないと思う行動指針は?
- 理想の文化に近い組織は?
そこで「行動指針の解釈が間違った形で伝わっている」と感じていることが判明し、「誠」「透き通ったチーム」「ハイスタンダード」「1.01^X」が浸透させたかった意味と違うらしい、といった具体で解決した方がいい課題が見えてきました。
他にも、組織やメンバーに期待していること、普段ボードメンバーから聞けないような「願い」の部分を聞けました。
社内アンケートで解釈の一致度を測定
STEP1→STEP2の障壁となっている「解釈の不一致」がどの程度起きているのか、メンバーごとのグラデーションを見ていきました。
今後の「共感」に向けてメンバーが行動指針に感じていることを回収する目的もあり、メンバーの生の声を拾うためのとっかかりや課題特定の仮説を立てる情報としても役立ちました。
メンバーの名前の声を拾うためのヒアリング
メンバー
- 各行動指針にどんなイメージを持っていますか?
- 行動指針をどう解釈していますか?
- 正直に、行動指針が自分に馴染んでいる感覚はありますか?業務に落とすイメージはつきますか?
- 馴染む行動指針と馴染まない行動指針の違いは?
アンケートの結果をもとに、メンバー3人を1チームにして1時間のヒアリングを実施。
ボードメンバーが持っていた「行動指針の解釈が間違った形で浸透している」といった課題感が合っていたことや、特に8つの行動指針の中の4つが解釈がずれていることもわかり、課題が具体的に見える機会となりました。
また、行動指針がボードメンバーから発表された時の気持ちや、業務にどう馴染ませているか悩んでいることなども回収でき、実際の現場がどう感じているかを知ることに。行動指針浸透チームとメンバーの目線の擦り合わせの時間にもなるため、施策を回しやすそうな雰囲気を作ることができました。
行動指針 解釈の一致が最初のミッション!
ここまでのボードメンバーヒアリング・アンケート調査・メンバーヒアリングの内容をnotionでまとめて発信!
「え、代表そんなこと思ってたの?!?!」「このワーディングすごくセブンデックスを表すのしっくりくる」といった声も集まりました。STEP1である認知を高めていくことにも有効だったように思います。
次は、理解フェーズ!
ヒアリングやアンケート、社内へのnotionを使った施策によりSTEP1「認知」が一旦完了したと判断し、STEP2「理解」に突入。解釈の不一致は解消されたものの、なぜ行動指針が必要なのか、メンバーの行動指針への向き合い方などは、まだまだ。
WSを実施し、普段の業務に落とせるように、まずは「行動指針を体現する」ことの意味を考えてみました。
行動するインセンティブ設計
何となくみんなが「組織文化を作るために、守りながら成長させるために、行動指針がなんだか重要そうだぞ?」と感じ始め「業務の中で体現したいなぁ」と頭の片隅に残り始めた段階で、さらに行動指針の体現を加速させるために、体現した人にはインセンティブが回るような施策を考案。
各メンバーが行なっている業務における良い行動・行動指針を体現していた瞬間である「good ケース」を回収し始めました。バイネームで投稿してもらうことで、より社内のgoodケースが見えるように!
マネージャーがちゃんとメンバーが体現した行動を認知できるように、集まったものは1on1で伝えてもらうことに。マネージャーがgoodケースを確認するタイミングを明確にできることや、メンバーと行動指針を話すきっかけができる、など様々な良い効果がありました。何より、上司から自分のプロジェクト中の詳細な良い行動を伝えられることはメンバーのモチベーションになります。メンバーからもポジティブな意見をもらえました。
毎月25日に行動指針の浸透度をチェック
最後に行った施策は「行動指針浸透の定点チェック」です。
浸透度を毎月測ることで状態を計測し、PDCAをこまめに回していくことに。また、アンケートの調査項目は、自己評価で「あなたは体現できていますか?」を測るのではなく、「体現できている人は多いですか?」といった他者や組織全体の目線で評価する形にしました。
バイネームで体現している人・していない人で区切るのではなく、〇〇している人は多いかで計測することで、メンバーが組織全体を見て行動指針が浸透されているか、観点を持つようにしたいという意図があります。ステイトメントまで覚えていない人もまだまだ多かったので、月次で定量化することで浸透させていきたいと考えました。。
目標数値を設定し「いつまでに、これくらいの数値にしたい!」というよりは、現状の数値を測った上で、次月・3ヶ月・半年後にどれくらい数値が改善されているのか、現状からのボトムアップで組織の健康状態を測っています。
アンケート内容のスクショ
いかがだったでしょうか。セブンデックス行動指針の浸透施策2022verでした。これから人数もどんどん変わっていくので施策もどんどん修正されていくと思います。
2023verも出せたらと思っているので、また覗きにきてください。