プロジェクトマネージャーの大切な業務の1つに「ガントチャート」や「WBS」の作成があります。セブンデックスでは新規事業やリニューアルなどプロジェクトは多種多様であり、各プロジェクトマネージャーがWBSを作成しています。色々な作成方法があると思いますが、この記事では1つの例として、私が実践している方法を紹介します。
*「WBSとは?」については、こちらの記事で紹介しています。この記事では「WBSの作り方」を紹介します。
目次
1.プロジェクトの情報を整理する
与件やプロジェクトの背景、課題、最終成果物など、プロジェクト内容を定義するために必要な項目ごとに、まずはプロジェクトの情報を整理します。プロジェクトの準備をしている際に、情報が不足していることがわかった場合は、追加ヒアリングなどを設定すると良いでしょう。クライアントワークの場合は、プロジェクトマネージャーは営業担当者から提案書などの共有など情報を詳細に確認しましょう。
PMBOKの9つの領域で情報を整理する
プロジェクトでは膨大な情報を扱うことなりますので、PMBOK(プロジェクトマネジメント協会が発行している「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」)で紹介されている9つの領域で整理すると、抜け漏れを無くしやすいです。抜け漏れなく整理できているかを確認したいときに役立ちます。
またクライアントワークの場合、クライアントから“どう承認をもらうのか”を事前に設計することが重要ですが、意外と忘れてしまいがちなことでもあるので注意しましょう。「成果物を作って終わり」ではなく「クライアントから合意を頂く」までがプロジェクトです。プロジェクトマネージャーは、ステークホルダーが複数いる中でどのように合意をスムーズに取り付けらるのかを設計しましょう。
2. プロセスを組む
プロジェクトの情報の整理ができると、「インタビュー」「ペルソナ策定」などの粒度で、プロセスを組みます。
「どうすれば与件を解決できるのか」を考える
全体が見えていなくても、まず「こうかな?」とアウトプットしてみましょう。手を動かしながら、プロセスを設計することで、見えてくることがあります。一方で、他のプロジェクトを真似して、プロセスを組んだしても、そのプロジェクトにおいては有効だとは限りません。「どうすれば与件を解決できるのか」を考えて、プロセスを組みましょう!
3. フレームワークの理解を深める
フレームワーク(3C分析・カスタマージャーニーマップなど、ビジネスで最短・最速で成果を上げることを目的に使われる思考の枠組み)の本質的な理解なくして、精緻にプロセスを組むことはできません。社内の過去事例やデスクリサーチをもとに、プロセスの解説だけでなく具体的なアウトプットそのものを目で確認しながら、そのフレームワークの本質やタスクを理解しつつ、今回のプロジェクトでの応用方法をを考えます。リサーチをしてわからないことがあった場合は、積極的に有識者に確認するようにしましょう。
具体的なアウトプットを確認し、アウトプットイメージの解像度を高める
フレームワークによって生み出されるアウトプット、その構成要素の作成方法がそのままプロジェクトのプロセスとなります。ですので、何となく概要だけを見て、わかったつもりになることは避けましょう。具体的なアウトプットを目で確認しアウトプットイメージの解像度をあげておくこと、どうすれば作成できるのか、その際のリスクなどを検討するなど、最も大切なことの1つです。
- プロセスの理解を深めるときに参考する記事例
4. 各プロセスのゴール状態を定義する
フレームワークの理解を深めたら、プロセスのアップデートや各プロセスのゴール状態を定義します。
ゴール状態を正確に言語化する
ゴール状態はとにかく正確に言語化することが重要です。例えば「アウトプットが完了した状態」なのか、それとも「アウトプットに対してクライアントから承認をもらえた状態」なのかで全く意味は違います。丁寧にゴール状態を定義することで、プロジェクトメンバーで正しく認識を合わせることができます。また、ゴール状態が明確にであることは、タスクの抜け漏れをなくすことにも繋がります。
5. タスクを洗い出し、担当者・期日を設定する
各プロセスのゴール状態が定義できれば、具体的なタスクを書き出しましょう。またアサインされるメンバーの特性を踏まえつつ、誰に何を割り振るのか、タスクに期日を設けましょう。他のメンバーが見ても理解ができるように、アウトプットイメージの画像や類似したプロジェクトのドキュメントなども貼り付けておくこともおすすめでしょう。
タスクの書き出しを通じて、プロジェクトのシミュレーションを行う
プロジェクトマネージャーはタスクを全て記載することを通じて、プロジェクトをシミュレーションすることになります。ですので、プロジェクトの制約条件(時間・ケイパビリティなど)やメンバーを想定して、どのようなことが起こりうるのか、想像を膨らませながら取り組むといいでしょう。シミュレーションを通じて、「このプロジェクトでは、ここが肝になりそうだな!このタスクは不要かも!?」など考えつつ、手を動かせるといいでしょう。
6. 最終調整を行う
WBSの精度を高めるために、いくつかの観点を意識しながら、最終修正を行います。
ミッションを達成できるか検証する
プロジェクトを実際に遂行できるかどうかを検証するべく、最後にいくつかのポイントを確認しましょう。
- 与件を本当に達成できそうか
- より効率的・効果的に実行するために、何ができそうか
- 見落としているリスクはないのか
- クライアントやジュニアメンバーが見たときに、各プロセス内容・タスクを適切に伝えられるか
- バッファを忘れずに組めているか
いかがだったでしょうか?今回記載した内容は、あくまで1例になります。
プロジェクトが始まる前に、クライアントと制作側で認識を揃えておくことはアウトプットのクオリティにも影響してきます。しっかりとWBSを作成し、スムーズなプロジェクトマネジメントをしましょう。