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カスタマージャーニーを作成する時に気をつけるポイント

UXUI業界で働く人は、必ず目にするはずのカスタマージャーニー。一度は作ったことあるけども、なんだか意味あるものにならなかったな?という方も多いと思います。上部にくる枠を決定したら、もうあとは埋めていく作業…。カスタマージャーニーは、現在のユーザーの状況を客観的に把握し、チーム全員で認識を揃える大切なアウトプットのはずなのに。

そこで今回は、作ってみたけどなんだか上手くいかなかった、という人に向けて、カスタマージャーニーを制作する際のTipsをシェアしたいと思います!

カスタマージャーニーのアウトプットイメージについては、こちらの記事で細かく紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

カスタマージャーニーを作る目的

カスタマージャーニーを作る目的は主に以下の4つだと考えます。

  • 解決するユーザーの行動範囲を決めること
  • 行動ごとの課題を洗い出すこと
  • チームでユーザーの課題・行動・思考・感情の共通認識を取ること
  • 感情曲線をつけることで、ペインの重みづけをし、課題の優先度を決めること

Point.01|解決するユーザーの行動範囲を決める

「解決するユーザーの行動範囲を決める」は、最も忘れやすい目的なように思います。解決する行動に該当しない部分まで、カスタマージャーニー(以下CJ)に含めてしまうことがよくあります。

例えば、飲食の予約サービスの改善を行うことになり、サービスを利用しているユーザーのCJを作成することになりました。課題は「飲食店の詳細ページから予約ページへのコンバージョンが低かった」とします。その際、よくやってしまうミスは、ユーザーの「認知」の行動からCJのシーンとして含むことです。

今回、解決する課題は「ユーザーのコンバージョン率」であるにも関わらず、コンバージョンに関係ない認知の部分からなんとなく入れてしまう(場合によっては入れる必要があると思います)ことで、議論すべき範囲が広がってしまいます。課題の優先度もつけづらくなってしまうため、避けたいミスです。

他の例でいうと、サービス初期ユーザーのCJを作成しているにも関わらず、リピートの部分までCJに入れてしまうといった例もあります。もちろん必要な時もありますが、「今回焦点を当てて解決する範囲はどこか」を決めて議論することが、CJの目的を忘れずにアウトプットするためには大切です。

Point.02|カスタマージャーニーの登場人物の行動に焦点を当てる。シーンに全体に焦点を当てない

二つ目のポイントは、CJに登場人物の行動に焦点を当てる。シーンに全体に焦点を当てないことです。具体的にいうと、上部の場面記入のところに、〇〇シーンや名詞の形で記入しないようにすることです。

例えば、CJの中の「来店リマインドを受ける(画像参照)」場面を「来店リマインド」にしていたとします。これでは、主語が誰かわかりません。焦点は店側のオペレーションや、ユーザーが来店リマインドを受ける際のどのような状況までを含めるのか、読んだ人によって差分が生まれます。

次に「店からの来店リマインド」だったとします、主語は明確になりますが、ユーザーの行動以外にも焦点が当たり始めます。「店からどのようなリマインドが来たのか」なども論点になりますよね。しかし、あくまでCJの目的は「ユーザーのどんな行動を変化させるのか」です。

上部に記載するシーンはユーザーだけに焦点を当てるために「動詞」にし、ユーザーの行動を変えるCJになるように焦点を絞って記載することが重要になります。

Point.03|感情曲線を作る意味を理解する

三つ目のポイントは、感情曲線を作る意味をしっかりと理解しておくことです。

感情曲線の目的は、CJに記載されている場面において、ユーザーが特にペインを持っている場面はどこなのか、相対比較するためのものです。CJはユーザーが行動している中の「課題」に焦点を当てているので、感情曲線上は全部「悲しい」「曲線が下がる」と思ってしまいそうになりますが、全体のフローの中でみた時に、「あれ、意外と予約フェーズは、来店フェーズに比べてペインは軽いかも?」などの課題の優先順位をつけていくためにあります。

CJで明確になった課題を一度のリリースで全て解決できることはかなり稀だと思います。

チームで話し合い、特にユーザーがペインを抱えている、優先して解決するペインを明確にし、サービスで解決する課題の優先順位を明確にすること、その優先順位の根拠をペインの重さとすることが、感情曲線のアウトプットに意味を持たせられるかの分かれ目になります。

Point.04|全体の粒度を揃える

四つ目のポイントは、カスタマージャーニーの中身の粒度を揃えることにこだわる、です。特に「行動」の部分の粒度は気を付けて記載したいところです。

CJはユーザーの改善すべき現状の行動を図式化し、どこの課題を優先して解決するか決めていくことを目的としています。そうなった際に、行動部分の粒度があっていない=課題の粒度があっていない状態になります。

予約するフェーズでは「アプリで店に予約する」程度しか書かれていないのに、来店するフェーズでは「メニューを見ても店のおすすめが分からないので、いつもの定員さんにお勧めを聞いて注文を決める」まで書かれていたとします。この場合、後者の粒度に合わせるのであれば、課題特定の粒度を揃えるために、前者も「アプリの履歴欄から、数回通っている店を探し、〇〇日後に予約する」くらいは表記する必要があります。

  • アプリで店に予約する→アプリの履歴欄から、数回通っている店を探し、〇〇日後に予約する
  • メニューから注文する→メニューを見ても店のおすすめが分からないので、いつもの定員さんにお勧めを聞いて注文を決める

この2点を比べてもわかるように、行動の粒度が違うことで課題として論点になる部分が全然違います。「行動の粒度=課題の粒度」と捉えていきましょう。

Point.05|カスタマージャーニーは点ではなく線で捉える

最後のポイントは、カスタマージャーニーは全体の流れで捉える、です。

それぞれの場面の詳細を議論していくと、点の課題に焦点が当たってしまい、全体で見た時にユーザーはどんな感情の変化でこの一連のフローを辿っているのか忘れてしまう時があります。

「予約フェーズはチーム全員が体験したことがあるから課題がたくさん出ているけど、評価フェーズのところは少ない」など、参加しているメンバーの知見によって各場面の記載量にも変化が出て、一連のフローとして偏りが出てきたりします。

「あれ、ユーザーのペインってこんなに予約と評価で差分があるのか?」「目線が偏りすぎていないかな?」を常に念頭に置いて、全体を俯瞰する時間をとってみてください。

流れの中で見た時のユーザーの感情や思考と、点で見た時のユーザーの感情や思考は大きく違っています。


いかがだったでしょうか?カスタマージャーニーって意味あるものにするの難しい…と悩んでる方の参考になれば嬉しいです。以上の5ポイントに気を付けてアウトプットしてみてください。

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