ユニバーサルデザインをご存知ですか?
ユニバーサルデザインとは、国籍や、障害の有無、年齢に関わらず、より多くの人が利用できる製品やサービスのデザインのことを言います。
この記事では 、ユニバーサルデザインの中でも、未来に向けてのUXUI改善のヒントになるであろうカラーユニバーサルデザインのメリットや改善事例について書いていきたいと思います。
目次
カラーユニバーサルデザインとは
カラーユニバーサルデザインとは、色覚障害、年齢による色覚機能の低下に配慮し、より多くの人に情報を伝えやすくするデザインの考え方のことを言います。最近では、このカラーユニバーサルデザインを意識したwebサイトなども増えてきているように感じます。
色弱者の色の見え方
下の図は、illustraterの色の校正機能を用いて、P型色覚を持つ人の色の見え方をシミュレーションしたものです。
このように、一般色覚者と色弱者の見え方はここまで差があります。
高齢化社会とカラーユニバーサルデザイン
また、元々の障害の有無にかかわらず、加齢による白内障によっても色の見え方は大きく変わります。
白内障になると、視界が全体がうっすらと黄色みがかって見えたり、色味を本来の色より暗く感じたりするそうです。
現代では、加齢によって白内障になる確率はほぼ100%だと言われています。
今後、高齢化社会が進んでいく中で、UXUIデザインにおいても、このカラーユニバーサルデザインを考えていく必要があるのではないでしょうか。
カラーユニバーサルデザインのメリット
ここで、色弱者の方に伝わりにくいとされる色の配色の例を紹介します。
このように、一般色覚の人には見分けのつく、白地や黒地の文字や、反対色同士の配色であっても、色弱者にとっては、混同しやすい色なのです。
個人的に、白地に黄色の配色がされた文字やアイコンはよく見るの気がするので、まだまだカラーユニバーサルデザインに配慮したデザインはそう多くはないのかもしれません。
カラーユニバーサルデザインは、全ての人に価値のあるもの
上の配色を見ると、色弱者に伝わりにくいとされる配色は、一般色覚の方にとっても見にくい配色だと思いませんか?
例えば、遠くから見た時や、寝起きで目が霞んでいる時など、文字が読み取りにくく、すぐに情報が伝わってくる配色ではないと思います。
ここで、ユニバーサルデザインの考え方について書きたいと思います。
ユニバーサルデザインというものは、障害者だったロナルド・メイス氏が、バリアフリーにおける障害者だけの特別扱いに嫌気がさして最初から多くの人に使いやすいものを作るデザイン手法として発明されたものです。
よって、ユニバーサルデザインは決して、一部の色弱者のために作られた一般の人には見にくい特殊なデザインではないということです。
カラーユニバーサルデザインを意識した視認性の高いデザインは、全ての人にとって普遍的な価値のあるデザインであると言えるでしょう。
カラーユニバーサルデザインを意識したUI改善事例
カラーユニバーサルデザインが、実際にUI改善に使われた事例を紹介したいと思います。
Chatwork
これは、Chatworkというクラウド型のビジネスチャットツールのUI改善に関する記事です。
改善案をいくつか作り、実際に色弱者の方に見てもらい検証した結果、色弱者だけでなく、全ての人にとって見やすいデザインに改善されています。
元のデザインも一般色覚の方なら、そこまで情報が伝わりにくくないデザインですが、改善後のデザインは、さらに見やすくなっていることがわかりますね。
細かな変更ではありますが、こういった誰にとっても使いやすいデザインをしようとする一つの意識が、全体のサービス体験向上に繋がるのではないでしょうか。
色弱者の見え方のシミュレーション方法なども載っていますので是非読んでみてください。
kintone
続いて、kintoneという業務用アプリを作成できるクラウドサービスのUXUI改善に関する記事を紹介します。
この記事では、ユニバーサルデザインが一部の人のためのものではないという考えのもと、カラーユニバーサルデザインを意識したUI改善がされていることがわかります。色弱者にとって見にくいデザインは、一般色覚の人が白黒印刷をした時も見にくいデザインであるという考えが、ユニバーサルデザインの普遍的価値を表していますね。
「Webアクセシビリティ」は、障害者、高齢者を含めて”すべての人”がWebにアクセスできることを指す
https://news.mynavi.jp/article/20160803-kintone_UI/
一部のユーザーにとって情報の伝わりにくいデザインは、全体のユーザーにとっても伝わりにくいということです。それを踏まえれば、この考え方は、今後、UXUI改善をしていく中で重要なものになってくるのではないでしょうか。
kintoneを運営するサイボウズでは、カラーユニバーサルデザインについてのイベントも行っているようです。
そこで使われたカラーユニバーサルデザインについての興味深い資料を見つけたので、是非読んでみてください。
まとめ
色のデザインは、創り手の美意識や感性だけでなく、利用者の視点に立って使いやすさを追求することが重要です。
今後、高齢化や、グローバル化が進む中で、誰にとっても使いやすいデザインの需要は増えていくと思います。
カラーユニバーサルデザインを意識して、普遍的に価値のあるUXUIデザインを生み出していきたいですね。
より多くの人に伝わりやすいデザインを考える上で、ユニバーサルデザインを意識しみてはいかがでしょうか。