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マーケティング支援を行う3社が求める、会社を伸ばす「コアメンバー」とは

BtoBマーケティング支援事業を展開する株式会社unname、XINOBIX株式会社、株式会社セブンデックス——。

3社ともにクライアント支援の会社であるところや、手法ではなく本質的なクライアントの事業的価値の創出を求めているところにスタンスの近さを感じ、このポジションならではの発信を行なおうということで今回の対談が実現した。

第一弾となる今回は、各社それぞれ会社を伸ばすために必要な“コアメンバー”や、コアメンバーに求めること、他社から見てその会社に合う人材像について語ってもらった。

また第二弾では「本質的な“マーケティング”とは 」というテーマで、マーケティングの歴史と未来、本質的なマーケティングの在り方、これからのマーケターに求められる素質について、あまり一般的に記事化されていないことを意識しつつ語ってもらった。(以下、敬称略)

<対談者プロフィール>

宮脇 啓輔|株式会社unname 代表取締役

2014年に新卒でサイバーエージェントに入社。BASE株式会社を経験後、株式会社ペイミーにCMOとして参画し、BtoBマーケの立ち上げからビジネスチーム全体のマネジメントまでを担当。2019年4月に株式会社unnameを創業し、事業の立ち上げと、現場でのマーケティング支援の両輪を担う。

長屋 智揮|XINOBIX(シノビクス)株式会社 代表取締役

同志社大学在学中にインドで情報誌の立ち上げを経験。卒業後にレバレジーズ株式会社に入社。2016年にXINOBIX株式会社を起業し、インド進出支援業をスタート。その間に英会話スクールの比較サイトの他社売却や、インハウスのSEO責任者・事業部長を経験。2021年に再度XINOBIX株式会社を専業とし、現在はコンテンツマーケティング支援業を行う。

平井 淳|株式会社セブンデックス マーケティング責任者

学生起業を経て、株式会社ZIZAIでYouTube関連の新規事業開発に従事。フリーランスでPM・UIデザイナーを経験後、事業戦略からグロースまで一貫して行う事業に共感し、株式会社セブンデックスにUXデザイナー/PMとして入社。上場企業のブランディングプロジェクトのPMなどを担当し、社内ではマーケティング施策の企画や実行を行なっている。

コアメンバーに求めるのは“当事者意識”

長屋:売上を増やすだけであれば、業務委託の方への「受発注」のみでも成立すると考えています。一方で、会社組織を成長させていくには、案件をこなすだけでなく会社を一緒に成長させていく「コアメンバー」が必要だと最近感じています。皆さんの会社では「コアメンバー」をどう考えていますか?

宮脇:unname社がコアメンバーに求めることは、経営層とプレイヤーで分けて考えています。経営層で言うと、当たり前ですがスキルを補完できる人が必要だと考えていて、今だと財務周りを見れる人と、組織を作れる人が欲しいです。

財務周りは私がそんなに好きではない分野なので、専任である必要はないのですが、もっと得意な人に権限を委譲したいと思っています。

組織開発に関しては、今いるメンバーで得意な人がいないんですよね。採用業務というよりかは、スキルアップの仕組みや採用に活きるような制度や文化形成などの組織開発がしっかりできる人が欲しいと思っています。

一方プレイヤーにおいては、労働集約型の支援ビジネスになるので、一定水準のスキルや似たような資質を持った人が集まっても不都合が起きることはありません。そんな中で、コアメンバーに求めたいのはクライアントワーク(支援業務)だけでなく自社業務にも携われることです。マーケティングコンサルタントが兼任してやるべき自社業務は採用や案件獲得ですが、社外に出ても恥ずかしくない高いクオリティが必要であり、特に言語化能力の高い人材が望ましいです。

昨年は会社としてクライアントワークに注力しましたが、会社の前進にはつながりませんでした。売上は伸びたんですが、売上が伸びただけという感じで、資産を積み上げている感覚があまりなかったんですよね。

この3社に当てはまることですが、労働集約型のビジネスモデルはどれだけ仕事のクオリティを上げても、単価にはアッパーが来てしまうんですよね。そういう意味でも、人材と案件をバランスよく増やしていくことが会社の成長の鍵になると考えています。今のunname社は、フルコミットが5人ぐらいのフェーズなんですが、しばらくは自社業務を任せられるコアメンバーがいないと会社は大きくなっていかないと思っています。

宮脇 啓輔|株式会社unname 代表取締役

長屋:通常の業務に加えて、自社業務にも取り組むとかなり多忙になりますが、自社業務のレベルは下げたくないですよね。

宮脇:そうなんですよ。自社業務のレベルを下げてしまうと、良い人材も確保できないですし、案件も取れないんですよね。

長屋:シノビクスでもまさに自社業務を担ってくれる人を増やしている段階です。弊社のメンバーは、ライターやディレクターなどフリーランスの方が大半を占めます。しかし、勤務形態にこだわることなく、組織全体を一緒に作っていけるマインドを共有できる方には、積極的にコアメンバーとしてご一緒できるよう提案しています。

宮脇:自社業務って自分事化できる人でないとなかなか難しくないですか?

「会社や事業を大きくしたい」というマインドがないと率先してやってくれない。自分の成長にしか興味がないタイプだと、会社がどう伸びるかという目線ではなかなか動いてもらえず、こちらから言ってようやく動いてくれるという感じになるんですよね。

長屋:確かに、そこまで率先してできる人は多くはないかもしれません。シノビクスではフリーランスや副業の方が多い組織なので、皆さんに当事者意識を持ってもらうことは正直難しいと考えています。しかし、なかには業務改善の提案を積極的にしてくださったり、「こんな組織にしていきたい」と提案してくださる方もいますね。弊社では、契約形態にかかわらず、そういったマインドが共有できる方と今後も積極的にご一緒していきたいと考えています。

成長を目的化せず、価値提供を1番に考える

宮脇:当事者意識がある人の共通点は何だと思われますか?

長屋:小さくてもいいので、何かのリーダーを務めたり、自分がなんとかしないといけない状況に立たされた経験のある方が多い印象は受けます。そのような方は、組織がどこに向かおうとしていて、そのために今何をするべきかを理解して実行に移すことができると思います。あとは、お節介というか、周りの困っている人を助けたいというマインドも持っていたり、チームに貢献したいという思いが強かったりする人が多いと思います。

宮脇:unname社で重視している人物像は、成長を目的にしていない人なんですよね。「成長したい」ではなく、「成長しなければいけないからしている」ぐらいの感じの人が良いなと最近は感じています。

成長が目的になると、「この仕事はやりたくないな」とか「この業務では成長しなさそうだな」という思考に陥ってしまいます。常に成果を出すことを優先すべきなはずなのに。

平井:いわゆる成長を目的にしている人は、成長の定義がスキルを身につけることになっているケースが多い印象があります。あまりスキルベースで仕事を捉えすぎないほうが良いかもしれないですね。

長屋:そうですね。成長は副次的なもので、メインに置くものではないかもしれません。一方で、「今のままじゃだめだ、成長しなきゃ」という危機感が人を変えることもあるので、その人の成長のドライバーになる動機をしっかりと理解しておきたいですね。

長屋 智揮|XINOBIX(シノビクス)株式会社 代表取締役

企業の成長には“組織効力感”が大事

平井:セブンデックスは採用時にカルチャーフィットとケイパビリティーフィットの2つを重視しているのですが、ちょうど30人くらいの今のフェーズでは、加えて組織効力感の醸成をリードできる人がコアメンバーになりうると思います。

宮脇:組織効力感とは何ですか?

平井:メンバー各々が「自分はできるぞ」と思えているのが自己効力感で、それが組織全体に伝播して「うちの会社ならいけるぞ」とみんなが思っている状態が組織効力感ですね。

例えば、セブンデックス社では前例がない案件が来たときに、「この仕事はうちでは無理かもしれないから断るか」となるのではなく、「私たちならいけるでしょ」という空気感を醸成したいんです。

平井 淳|株式会社セブンデックス マーケティング責任者

宮脇:なるほど。自己効力感の醸成ではなく、組織効力感に軸を置いている理由は何かあるんですか?

平井:メンバーそれぞれは自己効力感が高く仕事を推進していくタイプが多いんですが、私も含めて周りを巻き込こんでリードしていけるような人材が少ないので、そこに伸びしろがあるよねという話を社内でもしています。オセロみたいに周りの色をひっくり返せる人がいないと言いますか。

未開発なだけで能力としては兼ね備えているかもしれませんが、現状だとそれをうまく発揮し切れてない人が多い傾向にあるので、組織をリードしていくメンバーが生まれやすい制度の設計にも取り組んでいきたいと考えています。

足りない部分を補っていくことで強い組織ができる

長屋:各々の会社には、どんな人材が合っていると思いますか? 客観的な意見を聞いてみたいです。

宮脇:シノビクスさんの場合、長屋さんが特徴的な人なので、長屋さんが持っていないものを持っていることが大原則なんだろうなと思います。

長屋:特徴的というのはどういうところで感じますか?(笑)

宮脇:例えば、得意なことが偏っていたり、キャリアやこれまでの人生も特徴的だなと思いますよ。普通はインドに1年も行かないと思うので(笑)

長屋さんは器用貧乏なタイプではないと思うので、長屋さんに足りない部分に長けている人が良さそうな気がします。今ドラマでもやっている『トリリオンゲーム』のように、圧倒的な人たらしと圧倒的な天才ハッカーがタッグを組むみたいな。

平井:確かに長屋さんが得意な領域に振り切れるぐらい、その他のところを補える方が良いかもしれないですね。

長屋:なるほど、参考になります!unnameさんは、マーケティング経験が豊富な実力者たちが集結していますよね。クライアントの課題に対して特定の施策を提案するだけではなく事業をまるごと創りに行くかのような血気盛んさもありつつ、性格的にはマイルドな人たちが集まっているイメージです(笑)

仕組みを作ったり、パッケージ化していく方向とは真逆な印象があるので、そのスタイルに合う人たちをどんどん入れていくことが良いのかなと思います。

宮脇:長屋さんのように、フォーマットやパッケージを作ることが苦にならなくて、仕組みを作ることが好きな人に来てほしいと思っているんですけどね。

長屋:そうなんですか(笑)

宮脇:今unnameにいるコアメンバーは資料化やパッケージ化が不得意ではないけど好きではない人ばかりで、仕方ないから頑張ってやっている人が多いです。私もいかにお客様との打ち合わせを資料を作らずにやるかを考えているので、形として残らないことが多いんですよね。

長屋:確かにシノビクスとは真逆かもしれないですね。弊社のメンバーはもともとライターの人が多いので、みんな文書を作成することに慣れています。unnameさんが仕組みづくりのアプローチに強くなると会社としても相当強くなる気がします。

組織の多様性と同質性。バランスを取ることの難しさ

宮脇:セブンデックスさんは良い意味でかなり同質性が高そうですね。先ほどの組織効力感の話で言うと、周りを巻き込める人が必要だと思いますが、そういう人はハッタリをうまく使えることが多いですよね。

平井:おっしゃる通りですね。セブンデックスでは、特にデザイナー職種の方などは、制作会社出身の方や、美大出身の方が大多数を占めているので、職人気質なタイプが多く、時にハッタリを使ったりして、リードしていくタイプは少ないとは思います。

宮脇:セブンデックスさんが今後何がしたいかによりますが、同質性が高まった結果、異質な人があまり入らないということは起こりえそうです。それを今後の事業戦略上よしとするのか、どこかで多様性を高めていく方向に舵取りするのかは気になります。

平井:同質性でいうと、カルチャー面での同質性はどんどん色を濃くしていきたいと思っています。一方で、スキルや得意領域の多様性は担保したいという思いもあります。この双方を両立させることは結構難しいと思っています。

同質性の高さが組織のスピード感を生む

宮脇:カルチャーという言葉はわかるようで、実はちょっとわからない単語ですよね。セブンデックスさんではどう定義していますか?

平井:私たちは現在クライアントワークが主軸ではありますが、スタートアップ的な成長曲線を志向していて、そのためには不確実性に対してある一定の耐性があることや、アジリティ(機敏さ、軽快さ)の高さがカルチャーとして必要だと思っています。

長屋:シノビクスはまだカルチャーを作れるほどではないんですが、カルチャーを作った先に何があると考えているんですか?

平井:クライアントワークは結局人で差別化するしかないと考えており、企業の成長には組織づくりが一番効いてくる分野だと思っています。

クリエイティブを作るなどのアウトプットに対するスキルセットよりも、そこに向かうまでのデリバリーの仕方や、クライアントの課題に向き合う姿勢などのいわゆるソフトスキルは、組織のカルチャーによって作られる部分が大きいと思っています。

長屋:セブンデックスさんはクリエイティブにこだわるだけでなく、成果にコミットするカルチャーを作っていきたいんですか?

平井:そうですね。デザインの中でもUX設計を得意としているので、ビジネスモデルや競合サービスを意識したユーザー設計など、戦略を考えるところから入るような案件が割合としては多いです。

長屋:であれば、ビジネスの成果に興味のあるデザイナーの方が合っている気がします。

私もたまにそのような方に出会いますが、デザイナーだけど過去にビジネス経験があったり、成果を求められる環境にいたりするケースが多い印象です。クライアントの成果に貢献したいという思考が強いクリエイターにとって、魅力ある会社になると良いですね。

宮脇:unname社も同質性が高いんですよね。

私は基本的に同質性は高くて良いと思っています。ただ、同質性が高いとビジネスのサイズ感や会社の規模は小さくなる可能性があるので、そことトレードオフになることは理解していたほうが良いですね。

平井:セブンデックス社では、その同質性の高さが組織のアジリティにつながっていくと思っています。

右:unname宮脇、中央:シノビクス長屋、左:セブンデックス平井

今回は会社を伸ばすために必要なコア人材の話から、組織の同質性やカルチャーの話にまで広がった。事業におけるスタンスは近いものの、求める人材やカルチャーには各社の色が存分に出た対談となった。

各社の考え方に共感する部分がある人は、ぜひ一度求人を覗いてみてはいかがだろうか。

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<対談企業>

株式会社unname:https://unname.co.jp/

XINOBIX株式会社:https://xinobix.jp/

株式会社セブンデックス:https://sevendex.com/