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【テンプレート付き】カスタマージャーニーマップとは?目的や作成方法、事例をわかりやすく解説

ユーザーの情報収集と購買行動が多様化している近年ですが、その中でもカスタマージャーニーの必要性はますます増しています。

本記事では、カスタマージャーニーの意味から作成方法、そしてテンプレートの使い方までを解説いたします。実際の企業例を用いて、理解しやすいようにまとめていますので、最後まで一読いただけますと幸いです。

カスタマージャーニーマップとは?

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを発見し、購入・使用するまでの一連の体験をビジュアル化したツールです。顧客がたどる行動やその過程での思考や感情、そしてタッチポイントなどを書き起こします。一般的に時間軸に沿って表示され、左(興味関心)から右(使用後の体験)へと顧客の体験を描きます。

カスタマージャーニーとは?意味、目的を解説!

カスタマージャーニーとは?

カスタマージャーニーとは、その名の通り顧客の体験を旅に例えたものです。つまり、顧客が商品・サービスを認知し、購入・利用するプロセスのことを指します。

かつて、テレビや新聞、雑誌などのマスメディアを通した情報の伝達が当たり前だった時代は、顧客の購買プロセスは直線型でした。そのため、顧客の購買プロセスは予測しやすく、顧客の行動を把握することは簡単でした。

しかし、近年はテクノロジーの発展に伴い、企業と消費者のコミュニケーション手段は多様化し、顧客の購買プロセスが複雑化しました。それによって、顧客のプロセスが直線型から回遊型に変化し、企業のマーケティング活動はますます難しくなっています。

近代の消費行動

こういった背景をうけ、複雑化する購買プロセスの可視化において、カスタマージャーニーは機能するのでしょうか?本記事では、カスタマージャーニーの核心に迫り、マーケティング担当者が明日から役に立つ知識を執筆していきます。

カスタマージャーニーの目的

カスタマージャーニーは、製品やサービスの現状分析や、ユーザーの行動分析、新サービス企画など、様々な目的で活用されます。今回は、その中でもよく言われる目的を以下に三つ挙げてみました。

ユーザーの行動や感情、タッチポイントを把握するため

カスタマージャーニーの活用により、顧客がどのような購買プロセスを経て自社の製品やサービスを購入しているかを把握することができます。また、この過程において、顧客とのタッチポイントの可視化のみならず、顧客の行動、思考・感情を深く理解することも可能になります。

チーム全体で顧客プロセスの共通認識を持つため

カスタマージャーニーをマップ形式で可視化することで、チーム全体が顧客プロセスの共通認識を持つことができます。購買プロセスにおける共通認識が施策の一貫性を生み出し、結果として顧客体験の向上に寄与します。

適切なマーケティング施策を打つため

顧客の購買プロセスを可視化することで、各段階における潜在的な課題を明確にするメリットがあります。これにより、課題への優先順位を容易に付けることが可能となり、適切なマーケティング施策を効果的に考案することができます。

カスタマージャーニーは古い・意味ないと言われる理由

デジタル時代の到来とともに、この伝統的なカスタマージャーニーの有効性について、疑問を投げかける声も少なくありません。変化し続ける市場環境の中で、顧客の購買行動は以前にも増して複雑化し、非線形な傾向を強めています。

ここでは、そんな時代を背景に、具体的に何が原因となって、カスタマージャーニーが「古い」、「意味ない」と言われるに至ったのかを解説していきます。

消費行動の変化

先に、企業と消費者のコミュニケーション手段が多様化すると同時に、購買プロセスが複雑化したことについて触れました。この状況の中で顧客満足度を高めるためには、一貫性のある情報発信が重要です。それを達成するためには、顧客ごとに異なる購買プロセスと、それぞれのプロセスでの感情を可視化し整理するカスタマージャーニーが欠かせません。ニーズが多様化しているからこそ、カスタマージャーニーを活用することで、顧客体験を高めるためのアプローチを考えることができるのです。

パルス型消費の登場

パルス型消費とは、2019年にグーグルが提唱した新しい消費行動の概念です。これは、ネットショップが普及したことによって、気軽にネットショッピングを楽しめるようになり、瞬間的に購買意欲が湧き、そのまま購入に至る消費行動を言います。

つまり、消費者行動を時系列で追っていく、カスタマージャーニー型と相反するパルス型消費の登場によって、カスタマージャーニー型に関して様々な見解が交わされています。カスタマージャーニー型だけに固執せず、様々な考え方を取り入れることが大切です。

まとめ

上記の二つの観点が、カスタマージャーニーが古い・意味ないと言われたことに起因したと考えられます。ただし、カスタマージャーニーが必ずしも必要がないと言うわけではなく、今の消費行動だからこそ重要性が増している点もわかりました。そして、カスタマージャーニーをより効果的に活用するためには、次の二点が重要です。一つ目は、「顧客の思考や行動を先回りしておもてなしをするための道筋づくり」、二つ目は、「顧客について深く考えるためのツールとしての活用」と捉えることです。これらの根本的な目的に立ち返ることが、カスタマージャーニーの有効な利用につながるでしょう。

カスタマージャーニーマップのテンプレートと作り方を解説

ここまでカスタマージャーニーマップの基本知識について解説してきました。ここで弊社(株式会社セブンデックス)が実際に活用しているテンプレートをもとに、作り方を解説していきます。

以下にテンプレートを活用できるように、URLを添付していますので、コピーをしてぜひご活用ください。

▼テンプレートのダウンロードはこちらから

1.作成する目的の設定

まずはじめに、カスタマージャーニーマップを可視化することによって「何を達成したいのか?」のゴールを明確にします。

認知拡大、問い合わせ、購入、リピート購入など、どこの課題解決を目的にするかによって、集める情報や考える施策は大きく変わります。そのため、最初にカスタマージャーニーマップを作成する目的を明確にする必要があります。

作ることを目的にしてしまい、情報として役に立たないものになってしまわないように気をつけましょう。

2.ペルソナ設定

カスタマージャーニーマップを作成するにおいて、ペルソナ設定は欠かせません。ペルソナ設定では、趣味や職業、ライフスタイル、年齢といった属性から自社サービスを利用してくれる顧客を想定して作ります。ペルソナが実際に起こしそうな行動を想定しながら、行動や思考・感情をカスタマージャーニーマップに埋めていきます。

▼実際に作成したペルソナ

ペルソナ

ペルソナの設定のやり方に関しては、以下の記事に詳しく記載していますので、ぜひご覧ください。

3.フェーズの設定

カスタマージャーニーマップ
【横軸(顧客の消費プロセス)】

横軸には、顧客が商品・サービスを認知し、購入・利用するまでのフェーズが設定されます。

今回は、UIUXデザインを支援する弊社(株式会社セブンデックス)の顧客を想定して、横軸(顧客の消費プロセス)を埋めてみました。ぜひ参考にしてみてください。

フェーズの欄を埋めるために、具体的には、ペルソナが課題を感じてからサービスの購入に至るまでの体験をいくつかに分解する必要があります。

この項目はサービス毎に変わってきますので、正解はありません。ただし、正確な顧客の消費プロセスを可視化するためには、顧客インタビューが有効ですのでぜひお試しください。

【縦軸(顧客の感情・行動や施策)】

縦軸には、どのような行動を起こし、どのような感情を抱くのかを洗い出し、その情報から課題を可視化していきます。

主に以下の5つの項目を活用するといいでしょう。

  • 行動:実際にユーザーが起こすと考えられる行動
  • タッチポイント:ユーザーと接触するコミュニケーションツール
  • 思考:行動をする際にユーザーが考えること
  • 感情:行動をしたユーザーが感じると想定できること
  • 施策:フェーズに対して当てているor当てようとしている施策

こちらも、必ずしも上記の5項目を入れなければいけないということではないので、自社の取り巻く環境を念頭に、柔軟に組み替えることをおすすめします。

4.ペルソナ行動の整理

以下では、弊社(株式会社セブンデックス)のUIUXデザイン支援を例にペルソナの行動を、実際に設定してみました。

カスタマージャーニーマップ

ペルソナ行動の言語化をするときは「ユーザー体験の最終的なゴールに辿り着くためのアクションが抜け漏れなく出ているか」が重要です。抜け漏れがないように、ユーザーインタビューなどを通して可視化すると良いでしょう。

5.タッチポイント・チャネルの設定

カスタマージャーニーマップ

タッチポイント、チャネルの設定では、ペルソナが商品・サービスに接触する場所を示します。

具体的には、ウェブサイト、アプリ、店舗、SNS、メルマガなど、ペルソナが接触する可能性のあるあらゆるポイントをリストアップしていきます。

それぞれのフェーズごとでどのようなタッチポイント、チャネルがあるのかを可視化することで、課題点の特定や新たな施策を打ち出すのに役立ちます。

6.ペルソナ感情・思考の整理

上記と同様、弊社(株式会社セブンデックス)のUIUXデザイン支援を例にペルソナ感情・思考を設定しました。

カスタマージャーニーマップ

感情や思考を言語化するときは、「ペルソナが抱くリアルな感情を表現すること」が重要です。ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情にも目を向けて可視化すると良いでしょう。また、感情や思考に飛躍がないように、それぞれが繋がるかを再確認するといいでしょう。

7.施策の整理

これまで洗い出した、顧客の行動と感情・思考などを俯瞰して施策を検討します。顧客の感情がネガティブになっているポイントや、期待を超えた体験などを見つけ出し、要素分解することで次の打ち手を探ります。

カスタマージャーニーマップ

施策を決める時は、「どこにボトルネックがあるのか」「レバレッジがかかりそうなポイントはどこか」という観点で、施策の打ち手を見つけるといいでしょう。

以上で、カスタマージャーニーマップの作成方法をお伝えしてきました。上記のようにマッピングができたでしょうか?

このように、顧客とのタッチポイントや思考・行動を可視化することで、コミュニケーションの質を高めることができます。一つ注意点として、一度作って終わりではなく、最低でも半年に一回は見直しをしていくといいでしょう。

【企業事例】カスタマージャーニーの成功事例を紹介!

Spotify

Spotifyのカスタマージャーニーマップ

出典:Meghana Bowen

音楽ストリーミングサービスの「Spotify」が実際に作成したカスタマージャーニーマップです。

このカスタマージャーにマップは、顧客がSpotifyで聴いた曲をWhatsappを通じて、友達にシェアするまでのプロセスがまとめられています。顧客が音楽を共有したり/されたりする時において、どんな感情や思考、行動を起こすのかがまとめられています。

顧客の感情がリアルに描かれていることで、「顧客体験をどのように最大化していけば良いか」がわかります。

Starbucks

スターバックスのカスタマージャーニーマップ

出典:Starbucks

世界的有名なコーヒーチェーン店、「スターバックス」が実際に作成したカスタマージャーにマップです。

スターバックスのカスタマージャーニーマップには、顧客がカフェを検討する段階から、車に戻るまでの流れをマッピングしています。

顧客が来店してから帰るまでの、体験をマイナスな感情とプラスな感情の切り口から可視化することで、「顧客満足度を最大化するために必要なことは何か。」を考えることができます。

BtoBにおけるカスタマージャーニーマップの作り方

BtoCとは異なり、BtoBはステークホルダーの数など考慮しなければならない点が多々あります。いかに具体的に考慮すべき点をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

組織と個人のペルソナ設定が必要

BtoCと大きく異なる点は、組織課題の解決のためにサービスが検討されるという点です。課題を解決したい組織と導入を検討する個人で、ぞれぞれにカスタマージャーニーを設定しましょう。

例えば、企業のペルソナは、UIUXデザインの改善を通してサイトの流入数を増やしたい中小企業、個人のペルソナは、マーケティング担当者、といったように分けて考えましょう。

比較検討プロセスへの考慮

BtoBの特徴的な点は、比較検討プロセスが複雑かつ、時間がかかるところです。担当者1人の権限で、決裁が下されるわけではなく、複数の関係者が関わります。そのため、比較検討のフェーズでは、見込み客の思考や行動を数パターン作成しておくと良いでしょう。

ここで注意すべき点は、キーパーソンは1人ではないということです。それぞれのフェーズごとにキーパーソンを設定して、彼らがどのような思考や行動、感情を持ち合わせているのかを正確に整理していきましょう。

企業や部署ごとのカルチャーを意識する

BtoCにおいて、ペルソナの趣味思考を考えるのと同じように、企業のカルチャーや事業内容も考慮する必要があります。決済について、担当者が裁量を大きく持つ会社もあれば、稟議に時間をかける会社もあります。これは、企業ごとではなく、部署ごとに変わることなので、その点も留意して考えると良いでしょう。

カスタマージャーニーマップについてセブンデックスのUXディレクターに聞いてみた!

ここでは、弊社(株式会社セブンデックス)のUXディレクターにカスタマージャーニーについてインタビューしてみました!!インタビューに協力してくれたのは、大手メーカー企業のプロジェクトを担当したプロジェクトマネージャーです。

セブンデックスUXディレクター

近年の消費者動向において、カスタマージャーニーマップは役立ちますか?

結論、役に立ちます!!パルス型消費の台頭やVUCAの時代とは言え、カスタマージャーニーマップを用いて、顧客の行動や感情を可視化することは役に立ちます。実際に、サービスの認知から使用までの全体のフローを構築した時、そのフロー自体がそう簡単に変化するわけではありません。だから、事実を整理したい時や顧客理解を深めたいときは、時代に関係なくいつでもカスタマージャーニーマップは役に立ちます。

カスタマージャーニーマップはどのような時に活用することが多いですか?

私の場合は、二つの理由からカスタマージャーニーマップを使うことが多いです。

一つ目は、ユーザーの全体フローを可視化したいときです。VUCAの時代と言えども、ユーザーがサービスを利用するまでの全体フローは大きく変化することはあまりないので、まずはそこへの理解を深めるためにカスタマージャーニーマップを活用しています。

二つ目は、顧客の感情をより理解したい時に使っています。顧客の感情は、チャネルやフェーズごとに違います。顧客が抱えているペインは何で、その時どんなことを考えているのかを想像するためにカスタマージャーニーマップを活用することが多いです。

カスタマージャーニーマップを作成する上で、どのような点に気を付けていますか?

気をつけていることは、カスタマージャーニーマップを作ることを目的にしないことです。カスタマージャーニーマップを作るときは、最初に目的を明確にします。そして、情報を埋めていく中で、その情報が何に役立つのか?と言う点にも気をつけるようにしています。一つ一つのアクションを埋める時に、情報がどう役立つのかと言う視点を持っておくと、作ることが目的にならないのでおすすめです。

マーケティング支援ならセブンデックス

カスタマージャーニーマップはIT化が進み、顧客のニーズが多様化している時代だからこそ、重要な鍵を握っています。

セブンデックスでは、目指す方向に対して、広告・コンテンツマーケティングなどの施策で価値提供を設計します。
弊社のUXデザインのナレッジを活かした戦略立案、施策実行を行います。

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バンクーバー留学中に留学業界の情報の非対称性を解消するプラットフォームサービスを代表として立ち上げを経験。その後、デジタルマーケティングやデザイン業務を従事していく中で、セブンデックスの事業領域やカルチャーに共感し、インターンとして入社。日本大学商学部マーケティングコース在籍。