Webサイトやアプリ、サービスの改善を考えるとき、「見た目を整える」「ボタンを目立たせる」「画面を使いやすくする」といったUI改善に目が向きがちです。
しかし、UI/UXデザインで本当に重要なのは、ユーザーがサービスを知り、比較し、利用し、目的を達成するまでの体験全体を設計することです。
どれだけ機能が充実していても、ユーザーが迷ってしまったり、必要な情報にたどり着けなかったり、不安を解消できなかったりすれば、CVや継続利用にはつながりにくくなります。
本記事では、UI/UXデザインの基本的な考え方を整理したうえで、身近なプロダクトやセブンデックスの支援事例をもとに、成果につながるUI/UX改善のポイントを紹介します。
目次
UI/UXデザインとは
UI/UXデザインとは、ユーザーがサービスやプロダクトを使う中で、迷わず、心地よく、目的を達成できるように体験を設計することです。
UIは「User Interface」の略で、ユーザーが直接触れる接点を指します。Webサイトやアプリであれば、画面、ボタン、メニュー、入力フォーム、文字、画像などがUIにあたります。見た目の美しさだけでなく、操作しやすさや情報の見つけやすさもUIの重要な要素です。
一方、UXは「User Experience」の略で、ユーザー体験を意味します。サービスを知る前の期待、実際に使っているときの分かりやすさ、目的を達成できたときの満足感、利用後の印象まで含めた体験全体を指します。
つまり、UIはUXを構成する一部です。画面がきれいでも、ユーザーが求める情報にたどり着けなかったり、次に何をすればよいか分からなかったりすれば、良いUXとは言えません。
UI/UX改善が重要な理由
UI/UX改善が重要なのは、ユーザーの小さな迷いやストレスが、離脱や機会損失につながるためです。
たとえば、Webサイトに訪れたユーザーが「自分に合うサービスなのか分からない」「料金や導入までの流れが見つからない」「問い合わせる前に確認したい情報が足りない」と感じれば、そのまま離脱してしまう可能性があります。
アプリやSaaSでも同様です。機能が多くても、初めて使う人が操作に迷ってしまえば、継続利用にはつながりにくくなります。
UI/UX改善は、単に画面を整える取り組みではありません。ユーザーの行動や意思決定を理解し、必要な情報を必要なタイミングで届け、目的達成までの流れを設計する取り組みです。
そのため、CVR改善、送客率向上、継続率向上、利用満足度の向上など、事業成果にも関わる重要なテーマだと言えます。
UI/UXデザインの成功事例7選
ここからは、UI/UXデザインの成功事例を紹介します。
身近なプロダクトの事例に加えて、セブンデックスが支援したWebサイト・アプリ・SaaSの事例も取り上げながら、どのような課題に対して、どのような体験設計が行われたのかを見ていきます。
NINTENDO SWITCH|遊び方の体験を再設計
Nintendo Switchは、ユーザーが求める体験を見つめ直した事例として参考になります。
ゲーム機が多機能化していく中で、Nintendo Switchは「ゲームで遊ぶこと」に改めて焦点を当てました。据え置き機としても携帯機としても使え、コントローラーを分ければ複数人でもすぐに遊べる設計になっています。
UIにおいても、ゲームを始めるまでの分かりやすさや、操作の軽快さが重視されています。必要な情報を整理し、ユーザーが迷わず遊び始められる状態をつくっている点が特徴です。
この事例から分かるのは、UI/UXデザインでは機能を増やすことだけが正解ではないということです。ユーザーが本当に求めている体験に立ち返り、そこに不要な迷いや負荷を減らすことが重要です。
BALMUDA The Toaster|モノではなく体験を届ける
BALMUDA The Toasterは、製品そのものではなく、ユーザーが得られる体験を中心に設計された事例です。
トースターという製品だけを見ると、競合との違いは機能や価格で比較されがちです。しかし、BALMUDA The Toasterは「おいしいトーストを食べる体験」に焦点を当て、製品の価値を伝えています。
Webサイトやコミュニケーションでも、スペックを並べるだけではなく、焼き上がったパンの美味しさや、食卓での体験を想起させる見せ方がされています。
UI/UX改善でも同じことが言えます。機能や特徴をただ並べるだけでは、ユーザーに価値が伝わりにくい場合があります。ユーザーがそのサービスを使うことで、どのような良い体験を得られるのかを中心に情報設計することが重要です。

Notion|使い方を自由に組み替えられる体験
Notionは、ユーザーごとに異なる使い方を受け入れる柔軟な体験設計が特徴です。
ドキュメント作成、タスク管理、ナレッジ共有など、業務で使うツールは数多くあります。一方で、複数のツールを行き来することに不便さを感じるユーザーも少なくありません。
Notionは、ユーザーが必要な機能を組み合わせ、自分や組織に合った使い方ができる体験を提供しています。決められた使い方にユーザーを合わせるのではなく、ユーザーの働き方に合わせてプロダクトを変えられる点が大きな特徴です。
この事例から学べるのは、競合と同じ機能をそろえるだけではなく、ユーザーが本当に困っている行動や業務を捉えることの重要性です。UI/UXデザインでは、表面的な使いやすさだけでなく、ユーザーの課題をどのように解決するかまで設計する必要があります。
GMOサイン|複雑な契約業務を直感的に
電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン」では、契約業務に関わる体験を見直し、ユーザーが直感的に操作できるUI/UXデザインへ刷新しました。
契約業務は、書類の確認、締結、共有、管理など、専門性が高く複雑になりやすい領域です。企業規模や利用部門によっても使い方が異なるため、誰にとっても分かりやすい体験を設計する必要がありました。
セブンデックスでは、紙で契約を行う場合も含めた契約業務フローを整理し、ユーザーがどこに使いづらさを感じているのかを検証。部署間の書類共有やユーザー追加など、企業の規模に左右されにくい管理画面の設計を行いました。
また、情報設計だけでなく、スタイリングやデザインシステムも整備し、誰にとっても受け入れやすいデザイントーンを構築しています。
業務システムやSaaSのUI/UX改善では、機能を増やすこと以上に、ユーザーが迷わず使える構造をつくることが重要です。
専門性の高い領域であっても、ユーザーの業務フローを丁寧に捉えることで、使いやすい体験へと近づけることができます。
Gakken「イエベン」|購買導線を見直す
株式会社Gakkenが運営するECサービス「イエベン」では、購買プロセスの最適化と顧客体験の向上を目的に、UI/UXデザインのリニューアルを行いました。
当時の課題は、コンテンツ自体の魅力はあるものの、サイト構造が複雑で、ユーザーが購買行動に至るまでに離脱してしまっていたことです。情報設計が十分に整理されていないことで、サービスの魅力を伝えきれない状態になっていました。
そこで、定量分析とユーザーインタビューを組み合わせて課題を抽出。ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーがどのような流れで情報を探し、どこで迷い、何をきっかけに行動するのかを整理しました。
そのうえで、必要なコンテンツや導線、ボタン設計、ページ遷移を見直し、購買体験を再設計。結果として、コンバージョンポイントへの送客率が大きく改善しました。
ECサイトや送客型サイトでは、ユーザーの意思決定プロセスに沿って情報を届けることが重要です。商品やコンテンツの魅力があっても、適切なタイミングで伝わらなければ行動にはつながりません。
クラシアン|選ばれる体験を再設計
株式会社クラシアンのトイレ交換領域では、顧客の検討プロセスとホームページ上の情報にギャップがありました。
クラシアンは高い認知を持つ企業ですが、トイレ交換のようなリフォーム領域では、顧客がどのような理由で業者を選ぶのか、どこに不安を感じているのかを改めて捉える必要がありました。
セブンデックスでは、Search Console、GA4、ヒートマップを用いて、流入意図や回遊、離脱、注視状況を定量的に分析。さらに、トイレ交換経験者へのインタビューを行い、情報収集や比較検討、意思決定の実態を定性面から把握しました。
その結果をもとに、ペルソナとカスタマージャーニーを設計し、「クラシアンが選ばれる体験」を再定義。必要な情報が、必要なタイミングで自然に理解できるホームページ体験へと刷新しました。
CVR改善では、ボタンの色や配置だけを変えても本質的な改善につながらないことがあります。ユーザーがなぜ迷い、何を不安に感じ、どの情報があれば意思決定できるのかを理解することが重要です。
OKIPPA|UXUI改善とグロース支援
Yper株式会社が提供する置き配バッグサービス「OKIPPA」では、アプリのUXUIリニューアルに加え、事業成長に向けたグロース支援も行いました。
新規事業やアプリサービスでは、まずサービスを届けるフェーズから、ユーザー体験を改善し、継続利用につなげるフェーズへ移行していく必要があります。そのためには、画面の使いやすさだけでなく、事業KPIと接続した改善設計が重要です。
セブンデックスでは、理想体験を定義し、ユーザーに提供するための情報設計やUXUIリニューアルを実施しました。さらに、事業戦略、KGI・KPI設計、KPIツリーの作成、データ分析、改善施策の検討まで一貫して支援しています。
UIリニューアルによってアプリ利用の継続率が向上し、月間アクティブユーザー数や新規申込者数の増加にもつながりました。
アプリや新規事業のUI/UX改善では、見た目の改善と事業成長を分けて考えないことが重要です。ユーザー体験を良くすることが、継続率や利用率、申込数などの成果にどうつながるのかを設計する必要があります。
事例から見る改善ポイント
ここまで紹介した事例に共通しているポイントは、以下の通りです。ぜひ参考になさってください。
- ユーザーの行動や心理を深く理解したうえで、体験全体を設計している
- ユーザーがどこで迷い、何に不安を感じ、どの情報をもとに行動しているかを把握している
- 定量データ(GA4、Search Console、ヒートマップなど)と定性調査(ユーザーインタビューなど)を組み合わせて分析している
- 情報を増やすだけでなく、ユーザーにとって適切な順番・タイミングで届ける設計を行っている
- CTAの改善だけでなく、不安解消・比較材料・導入後のイメージなど、意思決定に必要な情報を整理している
- CVRや送客率、継続率などの事業指標と接続し、成果につながる改善を行っている
UI/UX改善を進める流れ
UI/UX改善は、いきなりデザインを作り直すのではなく、現状を把握するところから段階的に進めていくことが重要です。
以下の流れで進めることで、成果につながる改善が行いやすくなります。
- 現状分析
アクセス解析やヒートマップ、CVデータなどをもとに、ユーザーがどこから流入し、どのページを見て、どこで離脱しているのかを確認します。現状の課題を数字で捉えることで、改善すべき箇所の優先順位をつけやすくなります。 - ユーザー理解
インタビューやアンケートを通じて、ユーザーがどのような目的でサービスを利用し、どのような不安や迷いを感じているのかを把握します。必要に応じて、ペルソナやカスタマージャーニーマップを作成し、関係者間でユーザー像を共有します。 - 体験設計
ユーザーが目的を達成するために必要な情報や機能を整理し、ページ構成、導線、コンテンツ、CTAなどに落とし込んでいきます。ユーザーの行動に沿った流れを設計することが重要です。 - UI設計・制作
ワイヤーフレームやプロトタイプを作成し、画面上での分かりやすさや操作性を具体化します。サービスの規模や運用体制によっては、デザインシステムを整備し、継続的に改善しやすい状態をつくることも重要です。 - 検証・改善
公開後は数値やユーザーの反応をもとに検証を行い、改善を繰り返します。UI/UX改善は一度で完了するものではなく、継続的に磨き込むことで成果につながる体験へと進化していきます。
まとめ
UI/UXデザインは、画面をきれいに整えるだけの取り組みではありません。
ユーザーが何を求め、どこで迷い、どのような情報をもとに意思決定しているのかを理解し、目的達成までの体験を設計することが重要です。
今回紹介した事例でも、成果につながっているUI/UX改善には共通点があります。ユーザーの行動を定量・定性の両面から捉え、必要な情報や導線を整理し、事業成果と接続しながら改善している点です。
Webサイトやアプリ、SaaS、ECサービスなどで、離脱率やCVR、継続率、送客率に課題を感じている場合は、まずユーザーの体験を見直すことから始めてみてください。
セブンデックスでは、UXリサーチ、情報設計、UIデザイン、デザインシステム、改善施策の検証まで一貫して支援しています。
「ユーザーがどこで迷っているのか分からない」
「サイトやアプリを改善したいが、何から始めるべきか分からない」
「見た目だけでなく、事業成果につながるUI/UX改善を行いたい」
このような課題をお持ちの場合は、ぜひ一度ご相談ください。











