UXデザインとは KNOWLEDGE
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UXデザインとは?ユーザー体験を中心にビジネスを考える手法について

製品そのものの価値が下がり、サービスなどのコトの価値が上がっている昨今では、ユーザーの体験を中心に置いたビジネス戦略が重要になっています。

そんな中、ユーザーを中心に物事を設計しサービスを作り上げていくUX(ユーザー・エクスペリエンス)デザインが非常に注目されています。

果たして、UXデザインとは一体なんなのか。そして、ビジネスにどのようなメリットを及ぼすのか。
この記事で詳しく解説していきます。

UX(ユーザー・エクスペリエンス)デザインとは

UXデザインとは、ユーザーの体験を中心に据えながら、ユーザーとビジネスの両者の課題を解決することです。しばしば、ユーザーの体験を良くすることだけがUXデザインの領域だと思われがちですが、ビジネスにおける課題が解決されなければ、そのUXデザインは成功しているといえません。

どのサービスにおいても、ユーザーが体験する(関わってくる)部分は全てUXデザインの領域です。ユーザーがサービスを知り・試し・購入し・継続して使用する。その一連の体験の流れをデザインすることがUXデザインなのです。

モノよりコトが大切だと声高に叫ばれるようになって、しばらく経ちます。
かつては猛威を奮っていた日本車産業も、タクシー配車サービスやカーシェアリングの台頭によって、サービスを存続させるための部品(この場合は車)を作る下請け企業になってしまうのではないかとまで言われています。

それだけITサービスの重要度が上がっている今、ユーザーのニーズを満たすことのできる「体験」を設計できる力が欲求されています。その観点から、UXデザインが重要視されるようになっているのです。

なぜUXデザインがビジネスを成長させるのか

では、なぜUXデザインがビジネスの課題も解決することができるのでしょうか。

それは、UXデザインのプロセスではビジネス視点とユーザー視点の両軸が担保されるからです。

ビジネス視点だけを持っていても、ユーザーはサービスを好きにならず、ファンが増えることはありません。
逆に、ユーザー視点だけを大切にしても「売れるもの」を作ることができません。

UXデザインでは、戦略からユーザーの実体験まで一気通貫して考えることを重要視しています。良い体験によってサービスを使う動機付けができ、良いビジネス戦略/マネタイズによってお金を払うきっかけが生まれます。

この循環を行なっていくことで、より良いサービスへと成長していくことができるのです。

UXデザインとUIデザインの違いとは

UXデザインとよく間違われやすいのが、UI(ユーザー・インターフェース)デザインです。

この両者は字面が似ている上、しばしばUI/UXデザインなんて表現もされるので認識が混在してしまいがちですが、その意味は大きく異なります。

UXは線であり、UIは点です。

UXはユーザー・エクスペリエンス(User Experience)の名の通り、ユーザーの体験全てを指しています。
その一方で、UIはサービスとユーザーの接点(Interface)のことを指しています。

ユーザーとの接点には、アプリケーション・コマーシャル・プロダクトのパッケージ・実店舗の接客、といったさまざまな要素が存在します。そのどれもが、ユーザーがサービスを受ける上で避けては通れない接点です。

その中でも特に、スマートフォンが発展した現代ではアプリケーションがユーザーとの重要な接点になることが多いため、アプリケーションのデザインのことをUIデザインと呼ぶことが多いです。しかし、ユーザーとサービスの接点がアプリに限らないことは念頭に置いておくと良いでしょう。

UXデザインとUIデザインの関係

上図の通り、UIはUXに内包されており、UXを形作る上で欠かせない存在です。
しかし、UXがきちんと設計されていなければ、どんなUIも無意味になってしまいます。

このように、表裏一体でどちらも大切ですが、意味合いは大きく異なっているのがUXデザインとUIデザインの関係性です。より詳しいUXデザインとUIデザインの違いについては、下記の記事で解説しています。

UXデザインと人間中心設計の関係性

UXデザインと似た考え方のひとつに、人間中心設計があります。これらの意味はほとんど同じなのですが、若干歴史に違いがあります。

人間中心設計の方が歴史が古く、話はコンピューター誕生初期に遡ります。
1980年頃はまだまだコンピューターがわかる言語に人間が合わせている状態で、コンピューターを扱うのには高度な知識が必要とされていました。そんな中で、「人間でも使いやすいように人間の行動を中心に設計しよう!」という考え方として広まったのが人間中心設計です。

その一方で、UXデザインの考え方が広まったのはもう少し後の1990年頃の話です。デジタル分野の開発が急速に進んだことで、ユーザーと企業との関わり方がアナログとデジタルのさまざまな範囲に拡大していこうとしている最中でした。
そこで、ユーザーと企業の関係性・サービス・および製品とのやり取りのあらゆる側面をUXと定義することで、さまざまな側面からサービスを考える仕組みが形作られていったのです。

そのような歴史から、元々は人間中心設計がデジタル分野の話でUXがさまざまな分野の話ではあるのですが、今では人間中心設計の考え方もデジタル分野以外で使われることが多くあります。

そのため、どちらも「ユーザーの体験を中心に据えたもの」であるという認識で問題ないでしょう。

人間中心設計には資格が存在し、書類審査に通ることで「人間中心設計専門家・人間中心設計スペシャリスト」の資格を得ることができます。資格取得の具体的な方法は下記の記事で紹介しているので、興味のある方はぜひご覧ください。

UXデザインの手法について

UXデザインの手法には数多くのワイヤーフレームが存在しますが、その中でもとても大切な主軸となる考え方が5段階モデルです。

5段階モデルは、UXデザインの工程を戦略・要件・構造・骨格・表層に分けて考えるものです。このモデルに沿ってUXデザインを進めることで、企業の経営戦略からきちんと紐づいた上でユーザーニーズも満たしたサービスを作ることができます。

この5段階モデルは戦略から表層まで落とし込んでいくことがとても重要です。どこかの工程を飛ばしてしまったり、いきなり表層から入ってしまうと、一見見た目が良くても戦略とひどくかけ離れたアウトプットができてしまいます。それではビジネスの成長は見込めず、ユーザーの体験も決して良いものではなくなってしまいます。

長くなるので、各階層の手法に関しましては割愛させていただきますが、気になる方はこちらの解説をご覧ください。

UXデザインの成功事例

UXデザインの成功事例のひとつとして、任天堂スイッチがあります。

スイッチを開発するにあたって、任天堂はふたつの悩みを抱えていました。

ひとつ目は、ゲーム人口の二極化です。スマホゲームが台頭したことによって、気軽にスマホゲームを行う層とやり込んでプレステやパソコンでゲームを行う層に別れてしまいました。それによって当時一番売り出していたDSのポジショニングが取れなくなってしまったのです。

ふたつ目は、家庭間格差によって生まれる子供たちの不平等性です。DSで遊ぶためには、一人ひとつずつ本体を持っている必要があり、ゲームを買ってもらうことができない子供が一緒に遊べないという事例が多発しました。子供たちに楽しんでもらうためのゲームなのに、それによって悲しい思いをする子供が生まれてしまうという現実があったのです。

それらを解決すべく、任天堂スイッチは「据え置き型 × 持ち運び型」という今までにない体験を与えることができるゲームとして誕生しました。

また、本体から分離するふたつのコントローラー(ジョイコン)によって、ゲーム機本体を持っていない人でも一緒にどこでも遊べるようになったのです。

このように、どんな体験を生み出すのかといった部分に目を向けて制作したからこそ、任天堂スイッチは世代問わずさまざまな人に遊んでもらえるゲームになりました。

任天堂スイッチ意外にもUXデザインで成功している事例は多くあります。より多くの事例については、下記の記事をご参照ください。

UXデザインを学べる書籍

UXデザインはかなり広い分野にまたがるため、詳細的な手法について学ぼうと思うとかなりの時間を要してしまいます。そのため、書籍ではUXデザイン全体に関わる概念を理解する程度にとどめ、具体的な手法に関しては実際に行いながら学んでいくことが最適です。

また、UXデザイナーではなくとも、UXデザインの概念を理解しておくことはさまざまなビジネスの助けになることでしょう。

ここでは、UXデザインを広く理解することのできる書籍を2冊紹介します。

UXデザインの教科書

こちらの「UXデザインの教科書」は、UXデザインについて知りたい時の1冊目の本に最適です。

UXデザインが必要とされるようになった歴史や背景といったアカデミックな内容から、プロセスや手法といった実践的な内容までを体系的に学ぶことができます。

著者の実体験からUXデザインの本質について書かれているため、実践的で本質に迫ったUXデザインを理解することが可能です。

具体的な事例は多くないのですが、UXがなんたるかを理解するには最適な本です。

「ついやってしまう」体験のつくりかた 人を動かす「直感・驚き・物語」のしくみ

こちらの書籍は、「UXデザインの教科書」とは反対に事例を多く用いつつ、体験が消費者に与えることのできる影響をわかりやすく説明しています。また、その影響をどのように与えているのかといった具体的な手法までを述べているので、簡単にUXデザインについて理解することができます。

特に、著者が任天堂出身なこともあってゲームの事例が非常に多く出てくるため、スーパーマリオブラザーズやゼルダの伝説、ドラゴンクエストなどで遊んだことがある人は非常に理解しやすいかと思います。

学術的にデザインを学ぶというよりも、体験を作ることそのものの面白さや奥深さを知ることができる一冊です。


こちらで紹介した2冊以外にも、UXデザインについて学ぶことができる書籍は多数あります。より多くの書籍を見たい方は、こちらの記事をご覧ください。

まとめ

UXデザインは、ユーザーと企業、両者の幸福を最大化するためのデザイン手法です。

もし、UXデザインを自社でも活かしたいと思っていただけたなら、ぜひ私たちセブンデックスにご相談ください。事業成長にコミットするUXUIデザインファームとして、全力でご支援いたします!

アシスタントデザイナー
2001年生まれ。セブンデックスのデザインとビジネスに対する思考の深さに魅力を感じ、2020年3月からアシスタントデザイナーとして入社。人々が抱える「生きづらさ」をデザインの力で無くしていくべく、デザインの本質を探りながらさまざまな分野のデザインについて学んでいる。多摩美術大学統合デザイン学科在籍。