ブランディングとマーケティングは混同されがちな概念です。企業でもマーケティングチームがブランディングを担当することが多いですが、この2つの概念の違いや関係性が理解されていないことが多々あります。この2つの違いを理解していないと、ブランディングやマーケティングの方針が迷走してしまう…なんて事態に陥ってしまうこともあるかもしれません。
この記事では、セブンデックス社員へのインタビューを含めながら両者の違いや関係性を解説していきます!
目次
ブランディングとマーケティングの違い
上に述べた通りブランディングとマーケティングは混同されがちな概念ですが、これらは異なるものです。
ブランディングとは
ブランディングとは「企業や製品のアイデンティティを定義し、そのイメージを構築・管理するプロセス」です。
一口にブランディングとは言っても、企業ブランディングや製品ブランディング、採用ブランディングなどその中身は多岐に渡ります。もっと詳しく知りたい方は以下の記事を併せてご覧ください。
プロセス
ブランディングには主に以下の6つの流れがあります。
- 市場調査/分析
- 戦略/勝ち筋の発見
- コンセプト化
- ブランドの構造体系化
- ブランド表現を可視化
- 体現/マネジメント化
まず市場調査から始め、その調査をもとに市場におけるポジショニングを定めます。ポジショニングを確立するために企業のアイデンティティを定めていきます。そのアイデンティティをもとに理念体系やブランド構造を策定し、アイデンティティを可視化します。これらの流れを踏まえてブランド統一に関してのマネジメント手法も策定します。
ブランディングプロセスについて詳しく知りたい方は以下の資料をご覧ください!
マーケティングとは
以下、日本マーケティング協会が出すマーケティングの定義です。
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。
日本マーケティング協会 2024
単に販売催促を表すのではなく、顧客のニーズに応えた商品を作り、その商品が売れる仕組みを整備し、事業の利益を最大化することがマーケティングです。もっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
プロセス
マーケティングプロセスには主に6つの流れがあります。
- 市場分析
- セグメンテーション(市場の顧客をニーズの特性に応じて細分化すること)
- ターゲティング(顧客の絞り込み)
- ポジショニング(ターゲットの顧客に自社のモノやサービスの魅力を認知してもらい競合と差別化を図ること)
- マーケティングミックス(モノやサービスを顧客に販売するための手法や戦略)
- 実行と評価
これらの流れを辿って最終的には「営業なしにモノが売れる仕組み」を作っていきます。
それでは、違いについてより詳しくみていきましょう。
戦略の違い
ブランディング戦略は、企業の価値観やビジョンに基づいて、長期的にブランドの位置づけを確立することを目指します。ブランドストーリーや企業活動を通じて、消費者との強固な関係を築きます。
マーケティング戦略は、製品やサービスを効果的に売るために、市場やターゲット層の動向に合わせた短期的な戦術が重視されます。プロモーションや広告キャンペーンを駆使して、即効性のある結果を追求します。
目的の違い
ブランディングは、企業や製品が「どんな存在なのか」を明確にすることが目的です。ブランドの価値や理念を伝え、消費者がそのブランドに共感し、信頼を寄せるようになることを目指します。
一方、マーケティングは、具体的な商品やサービスを「どうやって売るか」にフォーカスします。認知度を高め、売上を増やすための戦術や手段を駆使します。
時間軸の違い
ブランディングは、長期的な視点で進められる活動です。企業が持つ価値観やビジョンを一貫して伝え続け、時間をかけて顧客との深いつながりを築きます。
マーケティングは、比較的短期的なキャンペーンやプロモーションが中心です。即効性を求め、短期間での成果を狙います。
アプローチの違い
ブランディングでは、企業のストーリーや感情に訴える要素が重視されます。消費者に対して、ブランドが何を象徴し、どんな価値を提供するのかを強く印象づけます。
マーケティングは、データや分析に基づいた具体的なアクションが求められます。ターゲット層のニーズに合わせたメッセージを、最適なタイミングで届けることが重要です。
構成要素の違い
ブランディングは、ロゴやスローガン、ブランドカラーなど、視覚的・言語的な要素で構成されます。これらの要素が組み合わさることで、ブランドの個性や世界観が表現されます。
マーケティングは、広告やプロモーション、価格戦略など、商品やサービスの販売を促進するための具体的な施策が中心です。消費者にアクションを促すための手段が多岐にわたります。
ブランディングとマーケティングの関係性とは?インタビュー調査!
ブランディングとマーケティングの境目が分かりにくいためこの2つの概念は混同されがちです。ブランディングとマーケティングの関係性はどのようになっているのでしょうか?
マーケティング、ブランディングを一気通貫で行うセブンデックスの取締役であり、実際に日本鋳鉄管株式会社のマーケティング支援などに携わってきた筒見さんにインタビューを行いました。
ブランディングとマーケティングの関係
ブランディングとマーケティングの関係性を説明する前に、まずセブンデックスが掲げる「広義のマーケティング」について説明します。マーケティングは販促活動と捉えられがちですが、これは狭義のマーケティングとも考えられ、広義のマーケティングとは事業の創造から営業活動まで含む顧客に価値を生み出す総合的な活動を指します。
マーケティングをこのように捉えると、ブランディングは広義のマーケティングに含まれます。マーケティングは最終的なゴールが売上の上昇などKPI(重要業績評価指標)へのコミットに直接的なアプローチを取りますが、ブランディングは商品や企業の価値を醸成するものでアウトプットがクリエイティブであり、心象など非言語的な部分にアプローチし、KPIに間接的にコミットします。
ブランディングとマーケティングの共通点
目指す成果: どちらも企業の成長を目指し、消費者に価値を提供し、売上を向上させることが目的です。
消費者とのコミュニケーション: 両者は消費者に対してメッセージを発信し、ブランドや製品の認知度を高めることを目指します。
ブランディングとマーケティングの相互作用
ブランディングがマーケティングをサポート: 強固なブランドは、マーケティング活動の効果を高め、消費者の関心や購買意欲を引き出します。
マーケティングがブランディングを強化: マーケティングによってブランドの認知度が高まり、ブランドの価値がさらに確立されます。
ブランディングとマーケティングの依存関係
ブランディングの基盤にマーケティングが依存: マーケティングは、しっかりとしたブランドイメージがあることで、その効果を最大限に発揮できます。
マーケティングの成功がブランディングを支える: マーケティング活動の成功は、ブランドの信頼性と価値を向上させ、長期的なブランド力を強化します。
ブランディングとマーケティングのどっちを先に行うか
マーケティングを広義なものに捉えると、広義のマーケティングが事業全体を支えることになります。そのため、ブランディングよりマーケティング戦略の策定の方が優先事項となります。モノやサービスが溢れる社会で、それらが売れるためには、消費者のニーズに合わせてモノやサービス自体だけでなく、売り方をしっかりと構想するのが大切になってきます。この戦略の方針を策定したのちに、その戦略の一環としてブランディングや販促活動などを行なっていきます。
ブランディングとマーケティングは、このように相互に補完し合い、企業の持続的な成長を支える要素として機能します。
最後に、ブランディングとよく混同されがちな言葉について、その違いを解説します。
ブランディングとPRの違い
ブランディングとPR(パブリックリレーションズ)は、どちらも企業や製品のイメージを管理し、消費者やメディアとの関係を築くための重要な手段ですが、それぞれ異なる役割とアプローチを持っています。
ブランディングは、企業や製品が「何を象徴するか」を明確にし、長期的に一貫したアイデンティティを築くことを目的としています。ブランドの価値、ミッション、ビジョンを基にして、消費者に感情的なつながりや共感を持たせることを重視します。
PRは、企業や製品に対する外部の認識を管理し、ポジティブなイメージを広めることを目的とした活動です。PR活動は、ニュースリリース、メディアとの関係構築、イベントの開催などを通じて行われ、企業やブランドについての報道や口コミを促進します。PRは、特に短期的な話題作りや危機管理においても重要な役割を果たします。
要するに、ブランディングが企業や製品の「アイデンティティ」を築く長期的な活動であるのに対し、PRはそのアイデンティティを外部にどう見せるか、特にメディアや消費者との関係に焦点を当てた活動です。
ブランディングとリブランディングの違い
ブランディングとリブランディングは、どちらもブランドの構築に関わるプロセスですが、それぞれ異なる状況で行われます。
ブランディングは、新しい企業や製品が市場に出る際に、そのブランドのアイデンティティを初めて確立するプロセスです。これには、ブランドの価値、ミッション、ビジュアル要素(ロゴやデザインなど)を一から作り上げ、ターゲットとなる消費者に認識してもらうことが含まれます。
リブランディングは、既に確立されたブランドが、時代の変化や市場のニーズに応じて、ブランドのイメージやアイデンティティを見直し、再構築するプロセスです。これには、ブランドロゴの刷新、ターゲット層の再定義、企業のビジョンやミッションの更新などが含まれます。リブランディングは、ブランドの活力を取り戻すためや、新たな市場に対応するために行われることが多いです。リブランディングについては以下の記事をご覧ください。
簡単に言うと、ブランディングは新しいブランドを作り上げることを指し、リブランディングは既存のブランドを再定義し、進化させることを指します。それぞれが企業の成長段階や市場環境に応じて重要な役割を果たします。
ブランディングが学べる本、マーケティングが学べる本
ブランディングが学べる本
『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』
ブランディングがビジネスに必要な理由を「ブランディングとは何か」から紐解き、ブランディングに必要な考え方やブランディングに必要な考え方やプロセスが分かりやすく語られている本です。
『ブランド戦略シナリオ』
ブランディングを取り巻く全ての文脈に着目したブランド展開の方法論について語られている本です。
ブランディングを学べる本についてもっと知りたい方は以下の記事をご覧ください!
マーケティングが学べる本
『グロービスMBAマーケティング』
マーケティングの基礎から応用まで体系的に学ぶことができます。
『それ、なんで流行ってるの? ー隠れたニーズを見つけるインサイト思考』
過去のヒット商品や流行事象からヒットの方程式を学んでいきます。
また、弊社以外でブランディングとマーケティングを一気通貫で支援可能な企業として、以下の企業をご紹介します。
中堅・小規模企業様、個人事業主様・フリーランス様が「本業に注力する」ための、集客や販売促進・マーケティング業務に関する支援サービスを取り揃えている株式会社SBSマーケティングでは、企業や商品、サービスのブランディング強化を支援しております。
株式会社クロスバズは、「Growth Partner」をコンセプトとして、企業の成長を伴走支援する会社です。
戦略的マーケティング施策を得意とし、LP制作・広告運用・コンテンツマーケティングを通して、企業の集客支援及びブランディングを行います。
価値あるブランドを形作りながら、成果にしっかりコミットする点が株式会社クロスバズの強みです。
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セブンデックスはブランディングもマーケティングも一気通貫!
ブランディングが広義のマーケティングに包含されているように、これらは異なる概念であるものの明確に切り分けることはできず、複雑に絡み包括的に両方に取り組むことは容易ではありません。ブランディング、マーケティング両方に強みを持ち、どちらも一気通貫で手掛けるのがセブンデックスです。ブランディングやマーケティングでお困りならぜひセブンデックスにご連絡ください!