ブランディングデザインというものをご存知でしょうか。その名の通り、ブランディングを促進するためのデザインのことを指します。こちらの記事では、ブランディングデザインについて網羅的に解説しています。
この記事を読めばこれがわかる
・ブランディングデザインとは何か、効果的な進め方
・ブランディングデザインの成功事例
・ブランディングデザインを支援してくれる会社
目次
ブランディングデザインとは?意味と考え方を解説
ブランディングデザインとは、その名の通り、ブランディングを目的としたデザインのことを指します。ブランディングとは、企業や製品のアイデンティティを定義し、そのイメージを構築、管理するプロセスのことを指します。
自社の市場の中での立ち位置や、目指したい方向などを踏まえて企業や製品のアイデンティティを定義した後に、これらをビジュアル的なクリエイティブに落とし込んでいきます。企業や製品のロゴであったり、Webサイトやポスターなどブランディングに関わる全てのデザインのことをブランディングデザインといいます。
デザインを通じて、ブランドの世界観を統一し、消費者の中での印象形成やロイヤリティの向上を目指していきます。ブランディングを行う中で、デザインという概念は必要不可欠です。このブランディングデザインを疎かにすると、せっかく定めた企業のブランドイメージが形成されないどころか、伝わらなくなります。

▼「そもそもブランディングとは何か?」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ブランディングデザインを構成する4つの要素
ロゴ
ロゴデザインは、企業のブランドイメージを形成する最も重要な要素です。企業や製品の「顔」として、個性や伝えたいメッセージが一目で伝える役割を担っています。ブランドロゴは、シンプルかつ独自性のあるものにすることで、消費者の印象に残りやすくなります。また、様々な媒体で利用することになるため、可読性なども重要です。
ロゴデザインに強いデザイン会社は以下の記事で紹介しています。ロゴの刷新などを検討されている方はぜひ以下の記事をご覧ください。
フォント
フォントはブランドのトーンを決める重要な要素の一つです。読みやすく、かつブランドイメージに合ったフォントを選ばなければなりません。フォントはそれぞれ多種多様な雰囲気を持っており、それによって同じ言葉でも人々に与える印象は大きく異なります。
フォントはロゴデザインの中でも重要な役割を持ちます。以下の記事でロゴデザインにおける定番のフォントを紹介しているので、ぜひご覧ください。
カラー
こちらも、フォントと同じで、ブランドのトーンを定める重要な要素です。色は心理的に与える影響が大きい要素であり、ロゴだけでなく、コーポレートサイトなどでも統一感を持たせる必要があります。企業や製品に関わるデザイン全体的に同じトーンの色を用いることで、印象を形成しやすくなります。ブランドカラーを統一し、用い続けると、消費者はその色を見るだけで企業や製品を想起するようになります。色は人の記憶に残りやすいため、ここは慎重に選ばなければなりません。
パッケージ
パッケージデザインは、商品の外観や形状、素材などを包含します。店頭で、その商品のブランドを形成するのは、パッケージデザインです。いくら広告などでブランドを形成していても、パッケージによってその商品や企業のブランドを十分に表現できていないと、消費者はパッケージとそれ以前に形成されたブランドとのギャップを感じ、手に取ってもらえないなどが置きてしまいます。
店頭では競合商品が多く存在するかもしれません。その中でも消費者に選んでもらうために、企業が大事にしたいブランドと統一感を持たせ、しっかり表現することが重要です。
ブランディングデザインの目的、役割
ブランディングデザインの目的や役割は、上でも触れている通り、ブランディングを成功させることです。つまり、デザインの力を用いて、企業や製品のブランドイメージの形成、浸透を図ります。
ロゴやフォント、カラー、パッケージでブランドイメージを消費者や競合に何度も発信していきます。それによって、企業や製品の存在を認知してもらうだけでなく、消費者や競合の内面でイメージを確固たるものにしていきます。その企業や製品が置かれている市場の中でファンを作り、第一想起を獲得していきます。
つまり、ブランドをクリエイティブで表現する具体的な目的として、以下の5つが挙げられます。
一貫性のあるブランドイメージ
ブランドをクリエイティブによって表現することで、固定的で強固なブランドイメージを形成することができます。一貫性のあるブランドイメージを構築することで、顧客や社会は自社の企業文化や製品を自然とブランドと関連付けて認識するようになります。
例えば、ナイキのロゴが付いた靴を見た瞬間に、ナイキという企業が想起されるように、ロゴやデザインを通じて製品だけでなく企業全体のイメージが伝わります。これにより、消費者は単に製品を購入するだけでなく、企業そのものを選ぶという行動に繋がり、ブランドの価値と一貫性が強化されるのです。
ブランドを差別化
色やフォントといった視覚的な要素を活用してブランドイメージを形成する際に、最も重要なのは差別化を図ることです。他のブランドと似たようなデザインや表現では、ブランディングの効果が薄れ、マーケティングに頼らざるを得なくなってしまいます。そのため、ブランドの個性を強調するために、独自性のある色、意味の込められた名前、ブランドの特徴を表現するフォントなどを選び、他のブランドとの差別化を徹底しましょう。この差別化こそが、ブランドを顧客の記憶に残りやすくし、競争市場で優位に立つための鍵となります。
ブランド認知度
デザインを活用することで、ブランド認知度を効果的に向上させることができます。視覚的に認知しやすい形でコーポレートアイデンティティを表現することで、顧客や求職者に強い印象を与え、頭の中で会社を具体的にイメージしやすくなります。このように、ブランドのメッセージや価値をわかりやすく視覚化することで、多くの人々の記憶に定着しやすくなり、結果としてブランド認知度の向上につながります。視覚化されたデザインは、企業の存在感を高める重要な手段となります。
視覚化されたブランドイメージ
ブランドを視覚的に表現することが主な目的となります。この視覚化によって、他の目的も効果的に達成することが可能です。ブランドイメージを形成する際には、色やフォントなどのクリエイティブな要素が欠かせません。人々の脳内にイメージを定着させるために、わかりやすく認知しやすい、視覚的に洗練されたブランディングデザインを目指しましょう。
ブランド価値向上
現在、多くの製品やサービスが似通っている中で、必要不可欠なのは付加価値の創出です。その付加価値を生み出す方法の一つが、ブランドに明確なイメージを持たせることです。色やフォント、クリエイティブなデザインを通じてブランド独自の文化を築き、それを顧客に受け入れてもらうことが重要です。つまり、大衆にとってブランドの価値が向上するようなデザインを考える必要があります。
例えば、iPhoneがApple製品だとすぐに認識されるのは、すべての製品にロゴがついていることや、一貫性のあるデザインが採用されているからです。これによって、「Appleはこういうブランド」というイメージが形成され、そのイメージを求めて商品を購入する人が増えるのです。
ブランディングデザインはなぜ重要なのか?
ブランディングデザインは以下の3点を理由に重要となります。
1. ブランディングデザインで差別化を図る
自社のブランドイメージを視覚的に表現することで、企業の市場競争力を高めることができます。製品やサービスの独自性を視覚的に表現することで、消費者に競合との差異を明確に発信することができます。競合との差別化を行うことで、顧客や市場の中の第一想起獲得につながっていきます。
2. ブランディングデザインで消費者の共感を生む
ブランディングデザインで、消費者の中でブランドイメージへの共感を醸成していきます。消費者に企業理念を理解してもらい、共感を醸成することでそのブランドのファンを作っていきます。消費者が真に求める価値提供を行うということをアピールして、消費者との心理的なつながりを強化していきます。
3. ブランディングデザインで消費者のロイヤリティを高める
ロイヤリティとは、「競合のブランドが多く存在するにも関わらず、特定のブランドのことを購入したい」と考える消費者の気持ちのことを指します。それは上で述べた、ブランドイメージへの共感や信頼に基づくものです。消費者と信頼関係を構築しロイヤリティを高めることで、長期的な顧客を獲得し、顧客単価も増加します。
ブランディングデザインの効果的な進め方は?
ブランディングデザインを効果的に進めるためには、最初のプロセスである、ブランドの構築や言語化が非常に重要となります。企業やプロダクトの目指したい方向や戦略を定め、ブランドコンセプトを策定します。これを言語化し、それに基づいてビジュアル的なデザインに落とし込んでいくのが次のステップです。
この最初のブランドコンセプト策定、それの言語化のプロセスで力を抜くと本来企業が意図していたブランドコンセプトとブランディングデザインに齟齬が生まれてしまい、企業が伝えたかったメッセージが十分に伝えきれません。
またブランディングデザインの制作を進める中で、企業や製品のブランディングを執り行っている経営者やマーケティング部の上層部などが、デザイナーと密にコミュニケーションをとることも重要です。経営者やブランディングの責任者がデザイナーにブランドイメージなどの意図を十分に伝え、アウトプットとブランドイメージと齟齬が生まれないようにしなければなりません。
▼以下の記事では、セブンデックスのブランディング支援事例に基づいてブランディングのプロセスについて解説しています。ぜひご覧ください。
ブランディングデザインの成功事例
Appleのブランディングデザイン

Appleは、IT業界で圧倒的なブランド力を誇る企業です。Appleはロゴから、製品やコーポレートサイトに至るまでシンプルでありながら洗練されたデザインを追求し、消費者の中でブランドロイヤリティーを形成しています。広告においてもビジュアルデザインに力を入れており、感情に訴えかけてくるような映像美や直感的に理解しやすいキャッチコピーなどが特徴です。
ロゴマークも1976年以来、時代に合わせて色の変化などはあったものの、あの齧られたりんごのシルエットはずっと引き継がれています。社名との統一感や、シンプルなシルエットによって、消費者の中で想起されやすくなっています。
Appleブランディングデザインの特徴
・シンプルで洗練されたデザイン
・独自フォント「San Fransisco」の使用
・「Think Different」などの一貫したメッセージ
など
Nikeのブランディングデザイン

Nikeは、世界的に有名なスポーツメーカーです。特に有名なナイキのロゴ「スウッシュ(Swoosh)」は1971年にデザインされ、そのシンプルでありながら力強さもあって人々の中で印象に残りやすく、ブランドネームがなくてもそのロゴだけで、Nikeという企業を想起することができます。
また、マイケル・ジョーダンやクリスティアーノ・ロナウドなどの世界的トップアスリートと契約し密接に結びつくことで、挑戦や自己実現、勝利への執着などのスポーツに対する力強いイメージをそのブランドに反映させています。
Nikeブランディングデザインの特徴
・シンプルで力強いロゴ「スウッシュ」
・トップアスリートとのコラボレーション
・革新性を表現するデザイン
など
Starbucksのブランディングデザイン

スターバックスは、象徴的なサイレンロゴと緑色を基調としたデザインで自然や安心感を表現し、強いブランド認知を確立しています。木材や自然素材を活用した店舗デザインでくつろぎの空間を提供しつつ、地域文化に合わせた調整も行い、シンプルでスタイリッシュなカップやパッケージデザインを通じてSNSでのシェアを促進しています。
また、広告やSNSでは「第三の場所」としてのリラックス体験を訴求し、全世界で統一されたデザインガイドラインにより一貫性と信頼感を維持しています。地域ごとにメニューや内装を調整するローカライズ戦略も取り入れ、グローバルとローカルのバランスを実現しています。これらの戦略により、スターバックスはコーヒーを中心としたライフスタイルブランドとして、世界中で愛され続けています。
Starbucksブランディングデザインの特徴
・ローカライズ戦略と統一感のあるガイドライン
・木材や自然素材を活用した店舗デザイン
・象徴的なサイレンロゴと緑色のデザイン
など
Legoのブランディングデザイン

Legoは、子どもたちの創造性を育むことを使命とし、明るくカラフルなロゴや鮮やかなカラーパレットで親しみやすいブランドイメージを確立しています。統一されたブロックデザインは無限の組み合わせを可能にし、スター・ウォーズやハリー・ポッターなどのコラボレーションで幅広い年代や趣味の消費者にアピールしています。
広告やパッケージでは「創造する楽しさ」を強調し、教育セットやSTEMプログラムを通じて、創造力や問題解決能力を育む教育的価値も提案しています。また、ファンコミュニティやイベントを通じてユーザーとのつながりを深め、ブランドロイヤルティを高めています。これらの戦略により、Legoは世界中で愛され続ける創造性豊かなブランドとしての地位を確立しています。
Legoブランディングデザインの特徴
・明るくカラフルなロゴと統一されたブロックデザイン
・多様なコラボレーション
・教育的価値の提供
など
McDonald’sのブランディングデザイン

McDonald’sは、象徴的な「ゴールデンアーチ」ロゴや赤と黄色を基調としたブランドカラーで、世界中で強いブランド認知を確立しています。これらのカラーは親しみやすさや楽しさを表現し、特にファミリー層に向けた訴求力を持っています。店舗デザインは明るさや清潔感といったイメージで統一されており、家族連れが安心してくつろげる空間を提供しています。また、シンプルでわかりやすいメニュー構成やパッケージデザインにより、消費者が直感的に商品を選べる仕組みを整えています。
公式キャラクター「ロナルド・マクドナルド」は親しみやすさを象徴し、特に子どもや若年層へのアピールに成功しています。さらに、地域文化に適応したメニュー展開やサービスのローカライズ戦略により、グローバルブランドでありながら地域に根差した親しみやすさを実現しています。一貫した広告キャンペーンとスローガン「I’m Lovin’ It」を通じて、消費者に統一感のあるブランドメッセージを届け、マクドナルドは世界中で愛されるファストフードブランドとして確固たる地位を築いています。
McDonald’sブランディングデザインの特徴
・象徴的な「ゴールデンアーチ」と赤と黄色のブランドカラー
・明るく清潔な店舗デザインと直感的なメニュー構成
・スローガン「I’m Lovin’ It」で統一感のあるメッセージ
など
ブランディングデザインに強い会社紹介
上の内容からも分かる通り、ブランディングデザインとは単純にデザインを行うわけではなく、あくまで企業が大事にしたいブランドイメージに沿ったデザインを制作する必要があり、ブランディングがどういうものかも理解して置かなければなりません。株式会社セブンデックスを始めとして、以下の記事で紹介している支援会社はブランディング戦略の策定から支援を行います。特にセブンデックスは、市場での立ち位置や企業のビジネス要件を踏まえながら、戦略策定からロゴデザインやコーポレートサイトデザインなどアウトプットまで一気通貫での支援を得意としています。ブランディングデザインを行ってくれる会社をお探しの方は、ぜひ以下の記事をご覧ください。
ブランディングデザインについてより詳しく学べる本はこちら
ブランディングデザインについて学べる本や動画セミナーを紹介します。
『ブランディングデザインの教科書』

100社以上のブランド開発実績があるブランディングデザイナーの西澤明洋氏が、独自のブランド開発手法を実践例を交えながら解説しています。デザインを使う側とする側双方の視点を身につけ、ビジネスや経営に効くブランディングデザインを基礎から学ぶことができます。
『「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』

こちらの本は、「くまモン」などのブランディングデザインを手掛けた水野学氏が慶應大学生に向けて行った講義内容を書籍化しまとめたものです。学生向けの講義をベースにしていることから、本の内容も平易であり、分かりやすく解説してあります。
ブランディングデザインならセブンデックスがおすすめ
セブンデックスは、ブランディング戦略の設計からロゴやコーポレートサイトデザインなどのアウトプットまで一気通貫で支援するデザイン&マーケティングカンパニーです。マーケティング、デザインの両方に強みを持つセブンデックスだからこそ、ブランディング戦略とデザインの齟齬を生まず、統一感のあるブランディングを行うことができます。ブランディングデザインだけでなく、ブランディング戦略の設計そのものなど、ブランディングに関してなにか少しでもお困りでしたら、ぜひセブンデックスにご相談ください。
また、外注ではなく自分でもグラフィックデザインができるようになりたい方は、以下の記事からスクールを探してみてはいかがでしょうか。
ブランディングデザインやロゴデザインのスキルを習得するならグラフィックデザインスクールがおすすめです。条件に該当する方であれば最大70%の補助金を利用してお得にデザインスキルを習得可能です。詳しくは「グラフィックデザインスクールおすすめ9選【社会人向けオンライン通信講座あり】 – CloudInt」の記事をご覧ください。
STAND 4Uは、20年以上WEBデザイナーとしてWEB制作に携わってきた経験から「WEBデザイナーになりたい初心者の方〜WEB制作就業中の方」の手助けとなるよう、WEBデザイナーに向けたFigmaやPhotoshopのオンライン講座(10,000人以上の方が受講されベストセラーを受賞)や、WEB制作、プログラミング、スクール情報、仕事・就職・転職など、WEB制作に関わる情報を発信しています。