企業の認知拡大やファンの獲得において、単なる商品・サービスの紹介ではなく、「ブランドそのものの価値」を伝えることの重要性が増しています。そうした中で注目されているのが「ブランディング動画」です。映像を通じて企業の理念や世界観を可視化し、視聴者の共感や信頼を育むこの手法は、採用や営業、広報などさまざまな領域で活用が進んでいます。
しかし一方で、「そもそもブランディング動画とは何か?」「制作にはどのようなプロセスが必要なのか?」といった基本的な理解が曖昧なままでは、効果的な導入は難しいのが実情です。
本記事では、ブランディング動画の定義から制作方法、導入による具体的なメリット、さらにビジネス現場での活用例までを詳しく解説します。ブランド価値を高めたいマーケティング・広報担当者にとって、実践的なヒントとなる内容をお届けします。
目次 [開く]
ブランディング動画とは?
そもそもブランディングとは
ブランディングとは「企業や製品のアイデンティティを定義し、そのイメージを構築・管理するプロセス」です。どのようなイメージを持ってもらいたいか戦略を立てるところから始まり、そこからロゴや広告、アプリ、パッケージなど、さまざまな接点に戦略を落とし込んで行きます。「その企業のらしさ」をイメージできるようになることで、ブランドは戦略通りの確固たるブランド像を獲得することができます。
ブランディングについての話をするとき、しばしばクリエイティブのかっこよさや、「らしさ」「ブランド力」といったふわふわとした認識だけで語られます。しかし、本当の意味でのブランディングは企業の環境や市場の状況、自分たちが目指したい方向性など、膨大な情報の整理と多角的な分析から始まるものなのです。
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ブランディング動画を活用する目的
ブランディングにおいて動画を活用する理由は何でしょうか。そもそも、ブランディング動画を制作する目的を正しく理解していなければ、効果的な施策とはなりません。
ブランドとは、ある対象に対する価値観やイメージといった抽象的な概念であり、物理的に明確な形を持たないものです。そのため、言葉や静止画だけでその本質を的確に伝えることは難しく、うまく伝わらないことも少なくありません。
その点、動画は音や動き、ビジュアルといった多様な要素を組み合わせて訴求できるため、視聴者の記憶に残りやすくなります。さらに、感情に訴える直感的な表現が可能であることも、ブランディングに動画を活用する大きな理由の一つです。
ブランディング動画に注目すべき理由
スマートフォンの普及により、消費者はいつでもどこでも気軽に動画を視聴できるようになりました。通勤中や休憩時間など、スキマ時間にコンテンツへアクセスできる環境が整ったことで、動画は私たちの日常に欠かせない存在となっています。
加えて、YouTubeやInstagram、TikTokといったSNSプラットフォームの利用が当たり前になった現在、企業が動画を通じてブランドの価値を発信する「ブランディング動画」の需要が急速に高まっています。視覚や聴覚に訴える動画コンテンツは、情報の伝達力が高く、短時間で強い印象を残すことが可能です。
以下でブランディング動画を活用するメリットを解説します。
ブランディング動画を活用するメリット
SNSでの拡散が見込める
SNSでの拡散力は、ブランディング動画を制作する大きなメリットの一つです。
視聴者が動画に対して抱く好感や共感が、SNSを通じて広がっていくことで、ブランドの認知やイメージが自然に浸透していきます。ユーザー自身がコンテンツを共有してくれることにより、企業は広告費をかけずに自社のブランドを広く発信することが可能になります。
さらに、動画の視聴者が増えれば増えるほど、企業の製品やサービスに興味を持ち、実際に手に取ってもらえる可能性も高まります。結果として、動画の拡散が購買行動につながり、売上アップに貢献するという好循環が生まれます。
ブランドイメージを効果的に伝えられる
ロゴやキャッチコピーとは異なり、動画には「動き」と「音声」という要素が加わることで、企業が伝えたい思いや熱量を、よりダイレクトに消費者へ届けることができます。視覚と聴覚の両方に訴える表現は、企業とユーザーとの間に生まれがちな認識のギャップを埋めやすく、ブランド理解の促進にもつながります。
さらに、動画で動きを取り入れることによって、実際に商品を使用した際の具体的なイメージをわかりやすく伝えることが可能になります。これにより、単なるスペックや説明では伝えきれない、商品そのものの価値や魅力を直感的に訴求することができます。
短時間で印象に残りやすい
人間は、五感のうち複数の感覚を同時に使うことで、対象への理解が深まりやすいと言われています。
そのため、視覚情報のみに頼るロゴや静止画と比べて、視覚と聴覚の両方に訴えかけられる「ブランディング動画」は、ブランドメッセージをより効果的に伝えることができます。
視覚と音声を通じて情報を届けることで、理解するためのコストが低く抑えられ、短時間でも印象に残るのが動画の強みです。実際、10秒ほどの短い動画であっても、ユーザーの記憶に残るブランディング施策として高い効果が期待できます。
ブランディング動画の効果
ブランド認知度の向上
ブランディング動画を活用することで、画像や言葉だけでは伝えきれない企業の雰囲気や社風、商品開発に込められた背景などを、視覚的・感情的に伝えることが可能になります。
ブランドの世界観を具体的なイメージとして視聴者に届けることで、より深い共感や理解を促すことができます。
また、「この商品を使ってみたい」「この企業の製品なら信頼できそう」といった購買意欲の喚起はもちろん、「このCM面白い」「何度も見たくなる」といったライトな反応によるSNSでの拡散によって、もともと設定していたターゲット層を超え、より幅広い層へのブランド認知にもつながります。
競合他社と差別化が可能
ブランディング動画を通じて消費者に明確なブランドイメージを植え付けることで、信頼を獲得しやすくなります。
ブランドへの信頼が醸成されることで、消費者が商品を選ぶ際に「第一想起」として思い浮かべてもらえる可能性が高まります。
現代では、オンラインショップの普及により、実店舗で商品を手に取って選ぶ消費者は減少傾向にあります。そうした中で、機能や価格といったスペック以上に、「このブランドだから選ぶ」という信頼ベースの購買行動が増えつつあります。
したがって、ブランディング動画を活用してブランド認知と信頼度を高めることは、競争の激しい市場において企業が優位に立つための有効な戦略といえるでしょう。
サービスや商品の価値を簡単に表現可能
言葉や画像だけでは、商品の特徴や価値といった“What(何か)”を伝えることはできても、「どのように使われるのか」や「どのような背景で生まれたのか」といった“How(どのように)”の部分を伝えるのは難しいのが現実です。
しかし、動画を活用することで、その“How”の部分を視覚と音声を通じてわかりやすく伝えることができます。
たとえば、実際の使用シーンを映したり、商品が開発されるまでの過程をストーリー仕立てで紹介したりすることで、視聴者は具体的なイメージを持ちやすくなります。
こうした表現によって、消費者はサービスや商品の価値をより直感的に理解できるようになり、結果としてブランドや商品の魅力を短時間で効果的に伝えることが可能になります。
ブランディング動画の事例3選
東邦ガス
東邦ガスはセブンデックスが実際に手掛けたブランディング戦略の一環としてブランディング動画を制作しました。
東邦ガスは100年以上中部地方のインフラに貢献してきた中で次の100年を見据え、さらに進化すべく、ブランドアイデンティティである「地域により豊かにしていく」という思いと「未来の、まんなかへ」というコミュニケーションフレーズを全面に伝えるムービーとなっています。
東邦ガスグループの過去から未来へと続くストーリーを動画で表現しています。創業から続く地域への思いと、ガス事業という枠を超えて多様なソリューションで、地域の「安心」と「賑わい」に貢献していくこれからの東邦ガスグループを伝える構成になっています。
ブランディング動画を通して、多様なステークホルダーが東邦ガスグループの提供価値を理解し心象が刷新されること、また社員自身が目指す未来を直感的にイメージできることを狙っています。
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大塚製薬 カロリーメイト
カロリーメイト「夢の背中」編は受験を通して親子の絆の大切さを伝えるCMです。入試までの1年間を戦う受験生とそれを支える親を応援するブランドムービーとなっています。
映像の中でもカロリーメイトを大々的にアピールするのではなく、サポートするような描写にすることでカロリーメイト=受験生、学生の味方というイメージを植え付けることに成功しました。
このブランドムービーを制作した後にも、部活やコロナ、学校生活の一部を切り取ったブランドムービーを制作し、カロリーメイトのブランドイメージをより強固なものとしています。
東北大学
東北大学のブランディング動画は創立115周年を記念して作られたものです。地域に根づいてこれまでどのような歩みを遂げてきたか、また未来に向けてどのような姿で在り続けるかというものを伝えるものになっています。
多彩な活動を行う5人の学生・卒業生をモデルとし、東北大学が「社会とともにある大学」として、時代の変革を先導する人材を輩出し続けていることをアピールしています。受験を考える高校生や海外の学生に対して東北大学でなければできないことを明確にしたことでブランディングに成功しました。
まとめ:ブランディング動画はセブンデックスへ
本記事でご紹介したように、ブランディング動画は企業の世界観や価値を視覚的・感情的に伝える強力な手段です。
実際に、セブンデックスでは東邦ガスなどの大手企業のブランディング支援を手がけ、動画による認知拡大やイメージ刷新を実現してきました。
企画段階からでもOK。貴社の課題に合わせて、最適な動画戦略をご提案します。
「ブランド価値を伝える映像をつくりたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。