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UXデザインの5段階モデルとは|ビジネスを成功に導く設計

UXデザインを考える上で5段階モデル(ギャレットの5段階|5階層モデル)の考え方は非常に重要です。5段階モデルを元に考えることで、ユーザー目線を取り入れつつビジネスを成功に導くことができるのです。
逆に5段階モデルの考えを取り入れなければ、それはUXデザインとは呼べない、と言っても過言ではありません。

UXデザインの5段階モデルとは何なのか、どのようなことを行うのか、ご紹介したいと思います。

UXデザインの5段階モデルの考え方がビジネスにおいて必要な理由

みなさんはサービスのデザインを考える時どの様に考えていますか?もしかすると、「購入ボタンを大きくしたら購入者が増えそうだから大きくしよう」、「派手な色にしたら目に付くからそうしよう」など、見た目のデザインから考えていませんか?
なにかの経験など論拠があれば良いですが、ない場合それはデザインと呼べるのでしょうか?

例えば家を作る工程で例えてみましょう。家をデザインする際、いきなりデザインラフを書いたらどうなるでしょうか?
そもそも土地の大きさ、予算にも合わないですし、住む方のニーズにも合わないですし、建築の法律的に建造不可能であったり、誰も買うことのできないただのお絵かきになってしまいますよね。。

そこまでひどくなくても、見た目よりからデザインすると、外観は良いけど間取りが変で住みづらい家になったり、どこかしら矛盾が生じてしまいます。


ここで改めて、デザインとは何でしょう?
デザインを訳すと『設計』。そう、デザインするとは設計することなのです。

デザイン・設計のイメージ

家でいうと、限られた予算の中で顧客ニーズを実現し、満足してもらった段階で販売、提供し利益を生む。この一連のプロセス自体がデザイン|設計にあたります。外観など見た目のデザインはプロセスを経て出てきた最終成果物でしかありません。

見た目の最終アウトプットに至るまでのプロセスは5つの段階で構成されています。この5段階がビジネスとして成り立たせるためにいかに重要か、そしてUXデザインの本質を少し理解頂けたかと思います。

次の章から具体的なUXデザインの5段階モデルについてや、各段階の詳細を深堀りしていきましょう!

UXデザインの5段階モデルとは

5段階モデル

UXデザインの5段階モデルとは、最終的な表層に至るまでの工程を5段階に分けた考え方を表します。5段階に沿ってUXデザインを進めることで、企業の経営戦略とひも付き、ユーザーニーズにも合ったサービスを作ることができます。

先程の家の例でもあった通り、この5段階のどこかが欠けてしまうと、一見見た目が良くてもそれは根拠もなく戦略とかけ離れたアウトプットであると言うことです。

ビジネスをやっている以上『使いやすいもの』を作るのではなく、『使われるもの』を作る必要があります。そのためには、戦略という土台のもとでユーザーニーズを探り、そこから抽出した本質的課題を解決する、このようにロジックを通るように考える必要があるのです。

UXデザインの5段階モデルを取り入れるとどうなるか

UXデザインを考える上で5段階モデルは必須の考え方です。では、5段階モデルを取り入れることで具体的にどう変わるのか、実例を交えながらご紹介します。

当たり前のように使われて売れるサービスを考えるようになる

前述の通り、ビジネスを行っている以上、一番優先度が高いことは『ただ使いやすいだけではなく、必然的に使われその対価として売上を上げること』です。ボランティアでは無いので当たり前の思考。
しかし、5段階モデルに沿って職種が分かれている以上、現実は表層の工程に近いほど、ビジネス観点の優先度は薄がちです。

そこでプロジェクト開始の段階で5段階モデルの考え方をチームメンバーで話し合うことで、そもそもビジネスを伸ばすために立てられた戦略を実現する、そのための手段としてユーザー目線のアプローチで最適解を見つける、と言った思考を持つようになります。

ここで伝えておきたいのが、決してユーザー目線で物事を考えることが悪いとは言ってません。売れるものを見つけるための手段としてユーザー目線を使うべき、という事です。

この視点を全員が持っているだけで、必然的にユーザーに使われる最適解を考えられるようになります。

サービスの矛盾を早期に発見できる

次に、土台となる戦略設計から論理的に段階構築しているため、途中で起こる論理破綻を早期発見できるようになります。
例えば途中段階の構造部分でうまく設計ができなかった場合、下段階の要件が適切でない、タイミングが違うなどと特定することができます。

5段階モデルを取り入れていないと、「見た目のせいなのかな」、「そもそも事業の方向性が違うんじゃない?」と、なんとでも言えてしまいます。プロトタイプや仮説検証すらできない状態ですね…

すぐに立ち止まり簡単に修正できる状態にしておくことが、5段階モデルを取り入れることで実現できるのです。

5段階モデルの役割と進め方について

UXデザインの5段階モデルについてご紹介しましたが、ここからは各段階|戦略、要件、構造、骨格、表層でどのような役割があり、進め方や手法があるのか、詳細を説明したいと思います。

戦略

戦略は最終的なアウトプットとビジネス視点を紐付ける、非常に重要な役割を持っています。
戦略策定が曖昧だと、どんなにユーザーにとって使いやすいサービスができてもマネタイズできない、ビジネスとして破綻してしまいます。UXデザインと聞くと「ユーザー目線」のイメージが強いですが、ユーザー目線でビジネス成長を考えることが本質です。

要件

要件のフェーズでは、戦略フェーズで見つけた市場と勝ち筋に基づいて使われる/売れる要件を定義します。要件のフェーズで重要なのは体験とお金の等価交換を行うこと。いかにお金を払っても良いと思わせる体験を提供するか、そして適切なタイミングで等価交換の交渉(マネタイズ)を行うか。ビジネスとユーザー体験を強固に紐付ける重要なフェーズです。

構造

構造では定義した要件をビジネス、テクノロジー、クリエイティブ、3観点から整合性を検証します。具体的なビジュアルデザインへ入る前にテキストベースで検証できるので、後工程の手戻りも少なくなります。
構造の検証精度次第で後工程のビジュアルデザインの根拠付けに大きく関わる、大事なフェーズです。

骨格

骨格フェーズでは、構造で行った情報設計を主軸に、さらにミクロな視点で情報設計を行っていきます。構造フェーズがサービス全体を俯瞰して行ったのに対して、骨格フェーズはさらに細かな視点で行うのが特徴です。

構造でサービス全体の情報設計は終わっているので、ユーザーテストやワイヤーフレームを使ってさらに細かな情報設計を行い、最後の段階である表層のフェーズへつなげます。

表層

一般的なデザインとして解釈されているのが表層のフェーズになります。前述の通り4段階を経て始めて表層のデザインに取り掛かります。(これらプロセスを経ない表層だけのデザインはデザインではないのです。)表層はあくまでロジックに基づいた最終アウトプットの1つであることを覚えておきましょう。

おわりに

本記事ではUXデザインの5段階モデルについて解説しました。5段階モデル以外にも、UXデザインについて網羅的に知りたい方には、以下の記事もおすすめです。

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事業/組織開発
アメリカ/ボストン生まれ。新卒のナビタイムジャパンでフロント/サーバーサイドエンジニアを経験後、グッドパッチでプロジェクトマネージャー、UXデザイナー、マーケティングを担当。2019年セブンデックスに入社。事業・組織開発として、マーケティング、プロジェクトグロースに従事。SalesfoceなどCRMを活用した事業支援を行なっている。