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KJ法とは|具体例を用いてやり方とコツをわかりやすく紹介

日々のビジネスやチームプロジェクトで、アイデアの整理や意見の収束が難しいと感じることはありませんか?せっかく時間をかけてアイデアを出しても、そのアイデアを活用できなければ意味がありません。アイデアを適切に整理し、収束させることが重要です。

そんなときに役立つのが、今回紹介する「KJ法」です。ブレインストーミングした断片的なアイデアを効果的にまとめ、新たな発想を生み出します。

この記事では、KJ法のやり方やコツを具体例を用いてわかりやすく解説していきます!

KJ法とは?

KJ法の図解

KJ法とは、ブレインストーミングなどで出た大量のアイデアを整理・収束させるために用いる手法です。カード状の紙(付箋など)に1つ1つのアイディアを書き、カードをカテゴリに分け図解し、整理していきます。

KJ法は、文化人類学者である川喜田二郎さんが、膨大なデータをまとめるために考案した手法です。もともとはフィールドワークで得た情報を整理する目的で生まれたものですが、新しいアイデアの発想やチームでの問題解決など、多様な視点を持つ人々が協力して取り組む場面で効果があるとされています。50年以上前からある手法ですが、今も企業研修や学校教育、ワークショップなどで広く用いられています。

プロセスそのものはシンプルで簡単に見えますが、単なるグルーピング作業にならないよう、細かい注意が必要です。

KJ法を始める前に…「ブレインストーミング」について

ブレインストーミングをしている様子の写真

KJ法を行うときには、整理の対象となるアイディアを出せていることが前提です。多様なアイディアを出すときによく用いられる「ブレインストーミング法」ですが、正しいやり方やルールはご存知ですか?KJ法について知る前に、正しいブレインストーミングについてもおさらいしておきましょう。

ブレインストーミングとは

ブレインストーミングとは、新しいアイディアや解決策を生み出すために会議で使用される「集団発想法」です。複数人で自由にアイディアを出し合い共有することで、他の人のアイディアから刺激を受け、良いアイディアを引き出すことができます。「自由な発想」がブレインストーミングのメインコンセプトであり、効果的に行うために次の原則が定められています。

ブレインストーミングの4原則

1. 他のアイディアを批判・否定しない
2. 楽しく自由にアイディアを出し、ユニークなアイディアを歓迎する
3. 質より量を重視する
4. アイディアを結合し発展させる

ブレインストーミングのやり方

ブレインストーミングは基本10名以下で行われます。

ブレインストーミングの流れ

1. 議題を定義し、目的を明確にする
議題はあらかじめ周知しておく場合と、先入観をあたえないためにその場で伝える場合があります。ブレインストーミングの目的をはっきりと決めることで、議論が脇道に逸れたり、参加者のモチベーションが低下することを防ぎます。

2. ファシリテーターと参加者を決める

ファシリテーターには時間通りのスムーズな進行とサポートが求められます。ブレインストーミングの4原則を守り、自由にアイディアを出し合える空気作りをすることが重要です。
参加者はなるべく違う属性・考えを持つ人を集めると良いでしょう。年齢・部署・性別・経験・ポジションなど に多様性を持たせることで、シナジー効果が生まれやすくなります。

3. 制限時間を設けて、アイディアをたくさん出す

 時間制限を設けることで、集中した状態でアイディアを出すことができます。一般的に5〜10分が適切とされています。

ブレインストーミングについてもっと詳しく知りたい方はこちら!

KJ法のやり方・流れ

KJ法の流れ
1カードを作る
2グループに分ける
3図解する
4文章化する

KJ法は、

  1. 情報を書き出してカードを作る
  2. カードをグルーピングするグループにラベルをつける
  3. グループ同士の関係性を図解する
  4. 文章に書きおろす

の4つの工程で行われます。

1. 情報を書き出してカードを作る

まずは、1つのカードに1つのアイディアを書く形で、カードをたくさん作ります。ポストイットなどにひたすら短文で書き出し、大きな用紙やホワイトボードなど広いスペースに並べていきます。1つのアイディアに複数の要素が含まれる場合、なるべく個別のカードに分け分解します。また、事実と意見の違いが分かるようにそれぞれ付箋の色を変えたり、目印をつけておくのも効果的です。

2. カードをグルーピングする・グループにラベルをつける

次に、カードをグループに分け、グループを一言で表すようなラベルをつけていきます。グループを作る際には必ず「近いと感じるものをまとめていく」ことを意識して行います。内容が類似している2〜3ほどのカードで1つの小グループを作り、小グループが集まったら、関連性が高いグループをまとめて大グループを作っていきます。こうすることで、大枠を決めた状態でグループに当てはめていく行動を避けることができ、その場でのアイディアを生まれやすくします。

3. グループ同士の関係性を図解する

グループ同士の関係をわかりやすくするために、矢印や記号を用いて図解化します。関係があるもの同士を近づけて配置したり、線で繋いだり、囲んでみるところから始めるのがおすすめです。図解する際には、ロジカルシンキングで用いられる以下の関係性を表していきましょう。

・因果関係
・相関関係
・対立関係

また、画像のように関係の強さによって矢印を使い分けるのもおすすめです。

4. 文章に書きおろす

最後に、図解化した関係を言語化し、文章に書きおろしていきます。このとき、なるべくカードに書かれている言葉を用いて、グループごとに一つの文章にしていきます。グループ同士の時系列、階層構造を活かして抽象→具体の流れで書き下ろしていくことがポイントです。また、複数人で文章化を行うことで、情報の見落としを減らせるだけでなく、新たなアイディアの発見にもつながります。

KJ法のメリット

KJ法を用いるメリットは主に2つあります。

  • 客観的に情報が整理できる
    KJ法では、基本的にその場での情報を整理を大事にしています。私たちは情報を整理する際、どうしても自分の知識や経験から恣意的に情報を整理しがちです。KJ法では、脳内で完結させず実際にカードを並び替えることで、客観的に情報をとらえることができます。情報を客観的にとらえた状態で整理していくことで、情報を正しく分類し、情報同士の関係性も明確にすることができます。
  • 複数人で情報を共有し、意見を収束させられることができる
    チームプロジェクトでは、一人がいかに優れたアイディアを思い付いていても、他のメンバーが正しく認識できていないと、想定のゴールに辿り着けません。KJ法を用いてアイディアを整理するプロセスを共有することで、チームメンバーの意識を合わせることができます。
  • 新しいアイデアや着想を生むきっかけになる
    客観的にとらえることは今まで見落としていた論点や視点を明らかにすることにもつながります。他人のアイディアから刺激を受け、そこから新しいアイデアや切り口が見つかり、課題解決に最適な方法を考えていくことができます。

KJ法を実際にやってみた

KJ法をやっている様子

KJ法の説明を聞いても、「どんな感じでやったらいいのかイメージが付かない…」「実際に役立つの?」と思う方も多いかもしれません。そこで今回は実際にKJ法を実践し、本当に課題解決に役に立つのかを検証していきます!

今回の設定: 新しくアパレルブランドを立ち上げるチーム
テーマ:「どんなアパレルブランドが若者に受けるのか」
使用ツール: FigJam

ブレインストーミングしてカードを作る

まずは、ブレインストーミングで自由に意見を出し合い、それをカードに書いていきます。

どんなアパレルブランドが若者に受けるのか、ブレインストーミングして56個アイディアを出した様子

一言で伝わるラベルを付けるのがコツ

カードを自由に動かして「近いと感じるものをまとめていく」作業の様子

次に、カードを自由に動かして「近いと感じるものをまとめていく」作業を行います。なんとなく内容が近いもの、同じ類に入ると感じたものをまとめます。小さいグループが何個かできたら、そのグループにラベルを付けます。この際に一言で内容が伝わるようなラベルを付けるのがポイントです。一つ注意しなければならないのは、似たようなラベルを作らないことです。一言で伝わり、それぞれの違いがわかりやすいラベルつけることで、その後の作業がスムーズに進みやすくなります。

小グループ同士で近い内容のものをまとめ、中グループを作る様子。

小グループができたら、小グループ同士で近い内容のものをまとめ、中グループを作ります。無理に全部をまとめようとせず、あてはまらないものはそのままにしておきます。カードが多い場合はさらに大グループまで作ることをおすすめします。

図解から論点を見つけ、活用する

カード同士の関係を図解した様子。

いよいよ、カード同士の関係を図解にしていきます。今回は因果関係やなど複雑な関係はなかったため、それぞれのカードが矢印の先に影響を及ぼしている図解にしました。この図からわかることは以下のようになります。

  • 「似合う」と「好き」のバランスで服を見極めている
    主観的な評価では、大きく「自分に似合うかどうか」「雰囲気が好きかどうか」で判断している
  • 視点によってその商品のイメージや評価が異なる
    主観的な好みを重視した見方、物理的な機能を重視した見方、人からの見られ方を重視した見方など、様々な視点から見ることで商品のイメージや評価が異なる
  • 様々な視点からの評価のバランスが重要である(実用性のバランス)
    二つ以上の視点からの評価が高いことで、実用性が高くなる
  • 実用性のとブランド力は相関関係にある
    実用性が高い服を提供するとブランドの価値が上がり、ブランドの価値が高いと「いいブランドだからもちろん提供されるモノもいいだろう」というふうに実用性への評価が上がる。つまり相関関係にある。

よって、実用性が高く、ブランド力のあるアパレルブランドが若者に受けやすいのではないかという結論になります。実用性を上げるためにまず「どの視点から評価を上げていくのか」を詳細に考えていくことによって、ブランド立ち上げに役立てることができます。

おわりに

今回はKJ法が本当に課題解決に役立つのか検証してみました!KJ法をやってみると、ブレインストーミングで自由に意見を出した分、様々な観点で客観的に物事を整理していくことができ、課題解決に有効な手段の一つであると感じました。

KJ法でみつかった論点をロジカルシンキングやクリティカルシンキングでさらに深掘りをすることで、よりビジネスに役立てることができると思います。皆さんも、日々のプロジェクトで実践してみてはいかがでしょうか?

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