クライアントワークをより良いものにしていくために、前回のプロジェクトの経験を次の仕事に活かしていくためには情報資産を残すことが重要です。しかし、毎回前提となる与件もメンバーも違っていて、過去の情報遺産をどのように活かせばいいのか分からないということもあるのではないでしょうか。今回は、ひとつのプロジェクトの経験を全く違うプロジェクトでも活用するための、アウトプットのフォーマット作成について、利点をお話ししたいと思います。
フォーマットとは
フォーマットとは、何かを作成するためのルールや型のことです。プロジェクトにおいては、アウトプットを作成するためのツールとなります。
プロジェクトには必ず、タスクごとにインプットと、そこから導かれるアウトプットが存在します。インプットから意味のあるアウトプットを作るまでの思考の筋道を統一したフォーマットとして形に残してみましょう。
フォーマットの内容は、アウトプットによって違いますが、おおよそ以下のようなものになります。
- 目的 - ゴール - 前提情報 - インプットした情報 - 使用した分析手法や思考プロセス - アウトプットした情報
フォーマット化することのメリット
では、フォーマット化する事で、どのようなメリットを受けられるようになるのでしょうか。
メリットは主に2つあると思います。
①アウトプット作成の高速化、品質の安定化
アウトプット作成までの思考を整理することで、過去のプロジェクトを参考にすることができるようになるため、ゼロから考えるより早く、ある程度の品質のものを作れるようになります。
フォーマット化すると言っても、必ずしも毎回同じアウトプットを作るわけではありません。しかし、他と同じルールに従って作成することで、他と同じところや違うところが明確化されて、今回のプロジェクトの特徴や注意するべきポイントが見えてきます。
例えば、プロジェクト開始時には、フォーマットに従ってプロジェクト憲章を作成します。そこではプロジェクトに関わる様々なことについて確認・明確化して記入をします。
例えば、クライアントメンバーについては、それぞれの方の権限や関わり方、普段はプロジェクトに関わらないが意思決定やWSなどでご協力いただく関連事業部の方などについて調べます。
これらをフォーマット化することで、他のプロジェクトと比べて関連事業部の人数が多いため早めの情報共有が重要だなとか、納品するスライドだけである程度プロジェクトの内容を伝えられるような情報量にする必要があるな、といった特徴があることがわかります。
②プロセスの標準化
アウトプット作成までのプロセスを全て残すことができるようになるため、プロジェクトの様々なタスクを属人化せずに誰でも取り扱えるようになります。また、標準化されたプロセスがあることで、プロジェクトの特性に合わせてカスタマイズした点が明確になり、一つのプロジェクトでの気づきを全く違うプロジェクトでも活かせるようになります。
例えば、通常ペルソナはユーザーインタビューによって作成することが多いですが、クライアントの希望でユーザーインタビューを行えなかった場合にクライアントからのヒアリングによってペルソナを作成したことがありました。このように、プロセスをカスタマイズした理由と、どのようにカスタマイズしたか、その結果が残っていれば、ユーザーインタビューを行わずにペルソナを作成した事例として、のちのプロジェクトで活用することができます。
最後に
今回は、プロジェクトのプロセスをフォーマット化の重要性について記しました。では実際にどうフォーマット化するのがいいのかについては、実際に運用し、改善する中でまたご紹介できるといいなと思っています。それでは、フォーマットを活用して、安定した質の高いプロジェクトを作っていきましょう。