プロジェクトの背景
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というグローバルビジョンのもと、多くの住まいづくりを手掛けてきた積水ハウス株式会社(以下、積水ハウス)。時代のさまざまな変化に呼応する中、ブランド戦略において「住宅メーカー」から「住まいを軸にさまざまな“幸せ”の価値を提供する企業」への認知の移行を目指しています。
昨今、お客様と接点を持つ場所や方法が多様化しています。かつては主に住宅展示場での対面営業がメインでしたが、最近ではオンラインでのコミュニケーションが一般化したことで、コーポレートサイトが顧客との重要な接点の一つとなっています。
そういった状況も踏まえ「ユーザーインサイトに沿った導線」、さらに前述のブランド戦略を推進していくための「積水ハウスブランドへの共感醸成」を目的としたコーポレートサイトのトップページリニューアルの実施が決定。そして、ビジネスとクリエイティブの両軸に強みを持つセブンデックスを支援パートナーとして選定いただきました。
データ分析結果を用いたターゲット・目標設定
はじめに、リニューアル方針の策定にあたり、SEO調査とアクセス調査によるデータ分析の結果から顧客ニーズとターゲットとなるべき対象を明らかにしました。セグメント別にユーザーフローを洗い出し、それぞれの戦略仮説を基にした絞り込みを経て、プロジェクトにおけるメインターゲットを設定しました。
さらに、ナビゲーションの遷移で対応することを前提とするサブターゲットを設定することでサイトの多目的性を高め、幅広いニーズに対応するコーポレートサイトとしての要件も満たします。
その他にも、ヒートマップ分析とユーザーフローの作成、ヒューリスティック評価により課題を抽出し、数値目標を設定。データ分析結果を用いたことで、より的確なターゲット・目標の設定が可能となりました。
サイトの在り方を改めて定義するコンセプト
サイト制作にあたり、「コミュニケーションを行うWebサイト」というサイトコンセプトを策定し、軸に据えて進行。
リニューアル前のサイトをひと言で表現するならば、「ユーザーとのコミュニケーションが成立しづらい状態のサイト」。企業から伝えたい情報は提示されているものの、それらを”どう効果的にユーザーへ届けるのか”まではよく考慮されていませんでした。
まず、サイトが提供する価値として「機能的価値」「情緒的価値」の2つを定義。機能的価値はコンテンツ・情報設計に、情緒的価値はUI・ビジュアルデザインに担わせ、積水ハウスのブランド表現とユーザーにとっての使いやすさを両立するサイト設計をしていきました。
2つの提供価値が両立しサイトコンセプトが体現された形が、今プロジェクトにおける最終アウトプットの理想状態であるとチーム全員で認識を合わせました。
リニューアルの目的から落とし込むコンテンツ・情報設計
プロジェクトの目的のひとつである「ユーザーインサイトに沿った導線」を叶えるため、積水ハウスコーポレートサイト内のコンテンツを棚卸し、精査しました。アクセスデータやヒートマップ等のデータを基に仮説案を作成。事業起点で情報が設計され、ユーザーに思考コストを強いてしまう状態であったところを、積水ハウスの「伝えたい情報」とターゲットの「求める情報」の2つが共存するコンテンツ・情報設計を行いました。
機能面と情緒面の両立を叶えたデザイン
デザイン性がありながら、使いやすさも両立するサイトデザインに仕上げました。
今回のリニューアル目的のひとつが「クリエイティブガイドラインに準拠したデザインにすることで、積水ハウスブランドへの共感を醸成すること」。そこで、実際の住宅展示場を訪れて積水ハウスの世界観を体感、解釈をするところから、今プロジェクトのデザインフェーズをスタートさせました。ガイドラインで示された情報のみならず、世界観を実際に体験した上で理解することによって、本当に表現すべきことが自ずと表出すると考えたからです。そういった過程を経て、積水ハウスらしさをデザインへと昇華させていきました。
余白を大切にした、上質さを感じさせるデザインへと刷新。遊び心がありながらも安定感を感じさせるレイアウトデザインで、積水ハウスブランドへの共感を醸成しながら信頼も感じさせます。白を基調とすることで、写真やテキスト情報が際立ち、積水ハウスらしさをひと目で伝えることができる写真は大きく配置し印象的に見せます。
一画面に収まる情報を適切な密度にすることで、情報量のあるページでもユーザーが求める情報に辿り着きやすいように視覚設計をしています。今プロジェクトでは、積水ハウスWebアクセシビリティガイドラインに準拠しており、あらゆる人にとって使いやすいWebサイトにもなっています。
また、スマートフォンからの閲覧数が増加しているというデータに基づき、スマホファーストでのデザイン制作を行いました。
複雑で入り組んだ構造のグローバルナビゲーションは、積水ハウスの世界観に沿いながら使いやすいデザインへと刷新いたしました。