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本当にペルソナが必要か、シーンを見極めプロジェクトを円滑に回そう

UXプロセスと聞いた時に、CJMと並んで有名なペルソナだが、毎回なんとなく作ってしまってはいないだろうか?実は、ペルソナの目的に立ち返ると、ペルソナを作らないという判断をできる場合があります。今回は、そんなペルソナを作成しない判断ができるケースについてご紹介します。

ペルソナとは

最初に、ペルソナについて、基本的な情報をおさらいしましょう。

ペルソナとは、サービスユーザーの象徴的な人物像で、ユーザーに提供する価値を決める際、すべての判断軸となる基準でもあります。

ペルソナを使うシーンはたくさんあり、サービス機能の取捨選択をするときにペルソナが欲しがるかどうかを基準としたり、マーケティングの戦略を立てるときにペルソナが関心を持つかどうかを基準として使います。

▼ペルソナの参考記事3選

ペルソナの基本についてまとめている記事です。
ペルソナを作るためのポイントをまとめています。
ペルソナ作成のポイントを、具体例をもとに詳しくお話しします。

ペルソナを作る目的

それを踏まえた上で、ペルソナをつくるためにまずは目的を設定しましょう。

主なペルソナの作成目的は以下3点です。

  • 未知のターゲットに求められるサービス設計をするため
  • 購買の意思決定をしてもらえる訴求方法を計画するため
  • チーム内でユーザー像の共通認識を作るため

一つ目、未知のターゲットに対して、解像度を上げるためのペルソナ作成が必要なシーンとは、例えば新規顧客開拓のためのサービスを考えていたとして、50代の男性が10代女性に受け入れられるサービスを考案するのはとても難しいです。そこで、10代女性の価値観を調査をし、ユーザーへ共感をした上でペルソナを作ります。この時のペルソナはユーザー調査のアウトプットであり、サービス提供者がユーザーがどんな行動を取り、それはどんな価値観があるからかを理解するための整理でもあります。このシート作成を通して、自身と遠く離れたターゲットに喜んでもらうサービスを作るためのユーザーへの共感を行うことが本当の目的となります。

続いて、購買の意思決定をしてもらうために、強く訴求することが必要なシーンは想像に難くないと思います。ユーザーテストで「欲しい」と答えたとしても、実際に金銭を払って購入する段階になると、誰もが実際に購入するわけではないという話は有名かと思います。このように、ユーザーに価値を感じてもらうことと購買の意思決定をしてもらうことの間には大きな溝があります。そこで、実際に購買という大きな意思決定を行うために、どのような体験を通して何を感じてもらえれば良いのかを訴求する対象としてモデルとなるのがペルソナになります。この場合は、ペルソナシートを使って、tobeCJMを作成し、どのような体験を通して意思決定を行うのかを設計することが目的になります。

最後に、チーム内でユーザー像の共通認識を作るためのペルソナが必要なシーンとは、メンバーがそれぞれ背景が異なるメンバーが集まっている場合です。例えば、直接ユーザーを知っている販売員がユーザーという言葉を使った場合、都心の店舗に来るユーザーと地方都市の商業施設の中に入っている店舗に来るユーザーどちらをイメージしているかで取るべき選択肢が変わる可能性があります。また、システム開発の場合、不具合についてエンジニアにフィードバックを送るユーザーと、電話で問い合わせをするユーザーでも全く属性が異なることがわかります。このように、それぞれがイメージしている「ユーザー」が異なる場合、改めてどのユーザーをペルソナとして設定するのかの共通認識を作るため、ペルソナを設定することが有効です。

ペルソナを作らない判断が可能なシーンとは

では逆に、ペルソナを作らない判断ができるシーンとは、どのようなシーンでしょうか?

上記の目的と対応させて考えると、以下3点が想定できます。

  • ターゲットが既知の場合
  • 購買の意思決定が必要ではない場合
  • チーム内でユーザー像の共通認識ができている場合

ターゲットが既知の場合。これは、システムアップデートなどで既存のユーザーがおり、そのユーザーのことをよく理解できている場合に当てはまります。ペルソナは、新たな存在しないサービスがどのような人に求められるのかを考える際にとても役に立ちますが、既にニーズが顕在化しており、そのニーズの背景も明らかな場合、わざわざ仮想の人物像を作る必要性はありません。

続いて、購買の意思決定が必要でない場合。これは、主製品のサポートページや、無料のシステムなどに当てはまります。サポートページの場合、主製品を購買したユーザーに半自動的に利用することになるため、サポートページ単体でのペルソナを設定する意味はありません。また、無料のシステムに関しては、導入の意思決定にかかるコストが極めて低いため、営業力が高い場合や付加価値が高い場合には、それだけで導入してくれる可能性があります。この場合も、わざわざ作成に時間がかかるペルソナを用意する必要性は薄いです。

最後に、チーム内でユーザー像の共通認識ができている場合です。これは、自分が欲しいと思ったプロダクトを開発する場合や、チームで共通の「この人のためのプロダクトを作ろう」という具体的な人物が存在する場合が当てはまります。この場合は、それぞれのメンバーがユーザーに関するイメージを共有し、すり合わせるだけで目的を達成できるかもしれません。

ペルソナを作る際のリスク

では、最後に、ペルソナの重要度が低い場合にペルソナを作ってしまうことで発生するリスクをご紹介します。

主に以下2点が発生する可能性があります。

  • 作成のための調査やまとめに時間や費用がかかる
  • ペルソナの扱いに不慣れな場合、ペルソナのイメージが曖昧なまま進んでしまう

1点目。ペルソナの作成には時間はもちろん、ユーザーインタビューなどを実施する場合は費用も発生します。ユーザーの解像度を高め、ペルソナを実在しない妄想のユーザー像にしないためにもユーザーインタビューは重要なプロセスですが、その工数や費用に見合うだけのメリットがあるかを確認した上で、ペルソナの必要性を確認しましょう。

2点目。ペルソナはチーム内でユーザー像の共通認識を作るために作成しますが、ペルソナシートから情報を読み取るのは多少慣れが必要です。せっかくペルソナシートを作ったのに、そこからの解釈が人によってズレてしまうと、共通の判断軸として機能しません。その場合、ペルソナに近い共通の知り合いやインタビュイーを名指しして、「〇〇さんなら…」と具体的に考える方が役に立つかもしれません。

最後に

ここまで、ペルソナを作る目的と、作らない判断が可能なシーンについてご紹介してきました。皆様も無駄な工数や費用をかけず、ユーザーの価値になるものを最短で作れるように、プロセスを設計しましょう。

お読みいただきありがとうございました!

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