UXデザインにおけるペルソナシートの意義と作り方

UXデザイン

UXデザインにおいて、ペルソナ作成はコミュニケーションロスを減らして検証スピードを上げる有益な手段です。ただ、本来の目的を知らずに作ってしまうと、意図が汲み取れない、意味のないペルソナが出来上がってしまいます。
この記事では初めてペルソナを作成する方向けに、ペルソナシートを作る意義とその作り方について紹介します。

ペルソナを作る目的

大前提として、ペルソナは作ることが目的ではありません。なぜ作るのかを整理しましょう。

ターゲット像に対する共通認識を持ち判断軸をブラさないため

ペルソナを作る一番の目的はターゲットに対する共通認識を持つことです。

例えばターゲットが『30代の富裕層向け』だと仮定します。このターゲットに対する各メンバーの解釈を見てみましょう。

  • Aさん:「年収が国民平均450万円以上あれば、世間から見ると裕福だよね。」
  • Bさん:「感覚的に年収800万円くらいからが自由にお金を使えるし、お金持ちって感覚かな。」
  • Cさん:「収入に関わらず総資産数千万円持ってたら、お金持ちのイメージがあるな。」

『30代の富裕層向け』というターゲットだけで、全員の解釈が異なってますね。認識が合わない状態でプロジェクトを進めてしまうと、意思決定の度に各々の思い描くターゲット像を元に判断するため、ブレが生じてしまいます。場合によってはサービス根幹に関わる判断ミスを招くことも。
また、メンバーのペルソナ像の認識が一致していても、上司へのプレゼンの際に「俺は必要性がわからないんだけどな。」など、現場との距離が離れるほど主観が入りやすくそのブレは大きくなります。

この様にプロジェクトに関わる全員の認識相違をなくし、意思決定において同じ判断軸を持つためにペルソナを作成します。

逆に、少人数のプロジェクトで全員が共通認識を持てている場合など、共通認識が持てていればペルソナを作る必要はありません。目的に応じてペルソナを作る手段は最適か判断しましょう。

ペルソナを作るポイント

次にペルソナを作る上でのポイントをご紹介します。

ペルソナの属性は全員が共通認識が持てる項目か

ペルソナ作成で重要なポイントが属性の言語化です。

先程の『30代の富裕層向け』を例にあげると、以下のようにより解像度を上げて記載します。

  • 30代前半男性
  • IT企業のマネージャー
  • 一人暮らし
  • 年収650~800万円
    • 月収40万円、内10万円が娯楽に当てられる

このペルソナだと、一人暮らしでマネージャー、ある程度可処分所得があるんだな、とイメージが湧きます。
属性を書く上で、漏れダブりがない、MECEな状態であるかを意識しましょう。例えば上記ペルソナから『一人暮らし』の属性を抜くと、同じ年収帯でも家族をイメージした人にとってはお金に余裕は無いイメージを持ちますし、共働き2人暮らしであれば、パワーカップルかもしれません。
認識のズレを無くせているか、属性の切り方は意識しましょう。

その行動や課題は意図を汲み取りサービスと関連性がある内容か

ペルソナを作る上でよく「行動や課題を書きましょう。」と説明されていますが、そのままその人が取りそうな行動、言いそうな課題を書いてしまうケースをよく見ます。

例えばこんな感じ。

  • 趣味は家で映画やドラマを見る
  • 朝ごはんはほとんど食べないで家を出る
  • 通勤途中によくトイレに寄る
  • 仕事はミーティングをする機会が多い

これをみても、「あぁこんな生活スタイルなんだな。」とは思っても、その行動や課題をなぜ取るのか、自分たちのサービスとどう紐づくのか、全く関連性が無い様にみえますよね。

まずペルソナに記載する行動や課題は、対象サービスに関連する事項に絞ります。例えば今回のサービスが『手軽朝ごはんの定期配達サービス』だとしたら、朝ごはんに関連する行動/課題を書きます。

次にユーザーが感じてる課題の意図を読み取った上で、本質的な課題を明確にし、記載します。朝ごはん定期サービスのペルソナの行動は以下のようになります。

  • 本当は朝ご飯を食べたいが食器洗いが面倒なので食べずに家を出る
    • 栄養を気にするので野菜ジュースを買うことが多い
  • お腹が弱いのでシリアルなど、牛乳をかけて食べる商品には消極的
  • お昼前にお腹が空いてきて集中できないことがある

ペルソナの解像度が一気に上がりましたね!ご飯を食べたくないから食べないのではなく、面倒くささや朝の体調を考えて消極的になっていることがわかりました。この行動をさらに深ぼると、面倒な背景に新しい潜在課題がみえたりします。

この様にペルソナの行動、課題は本質まで明確にしておくことで、その後の解決策が正しいか評価しやすくなり、その後の解決案の精度を上げることができます。

初期仮説を元にまず作る

完璧なペルソナを作ろうとペルソナ作りに時間をかけていては本末転倒です。極論最初は経験100%でも良いので、まずアウトプットするところから始めましょう。
最初のペルソナを元に、定量定性調査を行い、ペルソナを肉付けしながら精度を高めていきます。ペルソナ自体もプロトタイピングを行うことは前提に行いましょう。

ペルソナの作り方

ここからは、前述のポイント押さえた、ペルソナの具体的な作成方法を見ていきましょう。

事業戦略で定めたターゲットを元に属性/行動/課題を埋める

まずサービスの事業戦略の段階でどんなターゲットに狙うのか決まっているため、その情報を元に属性を埋めてみましょう。

次にターゲットに近しい人へのヒアリングから行動、課題を洗い出します。そこから、行動や課題の意図は何かを整理して本質的課題を特定します。
ここまで行った段階で一度ビジュアル化してチーム内で共有、大きく認識がずれていないか確認しましょう。

UXデザインプロセスの中で定期的に初期ペルソナをアップデート

ペルソナを作った後は、カスタマージャーニーマップ、MVP、要件定義、マネタイズと検討が進んで行きます。それぞれアウトプットした段階で、ペルソナの確認アップデートを行いましょう。見るべき観点をまとめておきます。

  • ペルソナは存在するか
  • ペルソナはその行動を取るか
  • ペルソナはその課題感を持つか
  • ペルソナはその心理状態になるか
  • ペルソナはその時点で価値を感じお金を払うか

最後に今回のペルソナ作成で話した内容を元に、サンプルを作成しました。まだ粒度が粗いため初期仮説の状態となります。

「そんなに作り込んでない。」と感じた方も多いと思いますが、最初はこの粒度からで大丈夫。ここから、この課題を持った人のストーリーや解決案を考え、本当に存在するか検証していきます。
(最初の段階では属性情報をある程度固めておけば、大きなズレは起こらないです。)

今回のサンプルを参考に、ぜひ一度サービスのペルソナを作ってみましょう!