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クライアントワーク3.0へ。セブンデックスの考える「成果を出す」支援に必要な素養

セブンデックスは、「強み」を伝えることが中々難しい会社です。

「デザイン&マーケティングカンパニー」と標榜するように、提供しているのは「デザイン」や「マーケティング」に関するサービスです。ただ、実際に我々が強みとして自負している、ないしはクライアントから評価いただくのは、サービス内容や品質以上に「事業を前進させる意思」や「主体性」といった“姿勢”に近い部分が多いのです。

平たく言えば、「コミットメント」のようなもの………なのですが、これがとても分かりづらい…。ただ、私たちはクライアントワークで求められる提供価値は着実に変わっており、この「コミットメント」の重要度は年々高まっていると確信しています。

今回はこの提供価値と社会の変化を説明するために、私たちなりの整理を共有します。

3層に分かれる、クライアントワークの提供価値

我々は提供価値を大きく三つのレイヤーに分けて整理を行っています。

一つ目は、ソリューション。

「UXUIデザイン」や「マーケティングロース」といったサービスにかかる部分です。このレイヤーはクライアントワークを担う人であればわかりやすく求められるものでしょう。何らかの依頼があり、それをもとに何かを作ったり、施策を実行したりする。

基本的には実行部分にかかるものであり、“アウトプット品質”が評価軸となるものです。デザインの分野で言えば、クラシカルなデザイン品質を突き詰めることはこのレイヤーに相当すると整理しています。

二つ目は、ビジネススキル。

あらゆるサービス/事業において、強みになる部分です。「コミュニケーション」や「ロジカルさ」のような具体から、抽象度を上げると「ビジネス理解」や「目的思考」のようなものも含みます。

例えば、「クライアントの仕事のしやすさ」を担保したり、ソリューションの品質を上げるために「上流工程から入る」のはこのレイヤーの提供価値に該当します。あくまでスキルなので、経験値を積んだりインプットを重ねることでしっかりと積み上げられるもの。

コンサルティングという言葉を掲げる企業は、この部分が強みになることが多い印象があります。また昨今ではデザインの分野でも、ここを強みとして打ち出す企業が増えているように感じます。

三つ目は、マインドセット。

これもあらゆるサービス/事業にかかるものの、スキルではなくマインド。冒頭で紹介した「コミットメント」はここにあたります。その他の言葉で表現するなら「当事者意識」や「熱量/熱意」などでしょうか。

クライアントの事業に対し、担当者以上に熱意を持って、「当事者として事業を推進する」「納品で終わりではなく成果がでるまでやりきる」ようなイメージです。

そのためには、時に「クライアントワークで当たり前の契約形態」をあえて変えたり、「最高品質のものではなく、そこそこで早くできるもの」を選んだり、担当者の仕事さえ巻き取り業務内容を変えたり…といった判断もします。いずれも支援する事業やクライアント企業の当事者のような想いを持って考えるからこそ。外部の人間ではなく中の人のように動く。その行動原理となる部分がこのマインドセットです。

このマインドセットは、ビジネススキルと一緒くたに語られることが多いものの、私たちは明確に別物だと考えています。ビジネススキルは一定積み上げれば鍛えられるもの。一方のマインドセットは、様々な企業を見ていても「人による」部分が大きいように感じています。

「この人は親身にやってくれる」といったように評価される方は、少なくない割合、このマインドセットが強いように感じます。逆に言えば、どんなに優れたビジネススキルを持つ方でもうまくワークしない場合は、このマインドセットが弱いないしは発揮できていないことが多いと感じています。

マインドセットこそが価値。クライアントワーク3.0時代

とはいえ、クライアントワークを生業としていると、どうしてもソリューション部分に本質的な価値や強みがあるように捉えられます。

もちろん、ソリューションはとても大事ではあるものの、クライアント視点で見たときには、ソリューションはあくまで成果のための「手段」。いかに高品質なものを丁寧に作ったとしても、成果に繋がらなければそれは無駄になってしまう恐れすらある。

だからこそ、成果視点から「最適」なものを考え、制作/実行し、成果に繋げるまでやりきる——そんな価値提供が大事になるのではないでしょうか。こうした意識は、ビジネススキルで一定補える部分もあるものの、それ以上にどんな“マインドセット”で向き合えているかが大きいと私たちは考えています。

極論、「クライアントが成果に繋げられないなら、自分たちで成果が出るまでやりきる」のがセブンデックスが理想とするマインドセット。「作ればいい」「クライアントができないなら仕方ない」といった考えはよしとしません。

こうしたマインドセットは、時代的にも重要になってきていると感じます。

例えば、クライアントが作るべきものをしっかりと定義し、受託側はそれに対して最高のパフォーマンスを出す——というのは「クライアントに技術と余力がある状態」であり、「最高のパフォーマンスを出す間に事業を取り巻く状況が大きく変わらない」という前提が必要になるかも知れません。

例えば、クライアントに寄り添い事業や経営レベルのニーズや意思を踏まえたアウトプットを生み出せる——というのは「アウトプットを適切に把握し運用できるクライアント」がいる、ないしは「そうした人員を採用できる」という前提が必要になるかも知れません。

ですが、近年では人材が慢性的に不足していますし、社会の変化は非常に早く、それに伴いパフォーマンスを出すために求められる知識や経験の幅も膨大になっている。それらを踏まえて「ちゃんとやりきれる」ことをクライアントに求めるのはそう容易なことではなくなってきている、と私たちは感じています。

こうした変化を敢えて変遷のように表現するなら、ソリューションを軸とする1.0、ビジネスを軸とする2.0、そしてコミットメントを軸とする3.0へと変化している——ともいえるのではないでしょうか。

高いコミットメントが、想定外の機会を次々と生み出す

日本鋳鉄管とのプロジェクトも私たちらしいものです。当初はコーポレートサイト制作で依頼を受けるものの、新たに就任した代表の課題を深掘りしていく中で課題の根幹をブランディングに見出し、スコープを定義。企業の目指す新たな方向性を体現・実装していくためのブランドに着手していきました。

ただ、歴史もあり規模も大きいことを踏まえると、単に「ブランドを刷新するだけ」ではドラスティックな変化は生み出せません。そこで、認識変容の旗印として「ブランド戦略室」を組成。浸透へも尽力していきます。その後も、代表の課題感を定期的に伺うなかでセブンデックスが力になれる経営課題を見つけ、支援を重ねてきました。営業オペレーションの構築やデジタル化、マーケティング支援、理念浸透・インナーブランディング……。その都度提供価値は変わりつつも、一貫してコミットメント高く支援を続けてきています。

3レイヤー全ての実力があってこそ、機会を得られる

とはいえ、クライアント/事業フェーズによって、ソリューションの品質を磨くことも、ビジネススキルを高いレベルで提供することも非常に重要であることは間違いありません。その質は低いけれどコミットメントだけ高い…となっても空回りになってしまう恐れもある。だからこそ、技術を磨くことは決して怠るわけにはいきません。

加えて、ここまで書いておきつつも、コミットメントを続けることも簡単ではありません。採用難易度も上がりますし、(実際私たちの採用プロセスは異様に細かく長いのですが、それはまた別の機会に)アジャストは数年単位の時間が必要になります。

ただ、それが身につけば、先ほど挙げた事例のように、「制作」の相談だったはずが、事業のあらゆる側面で価値を発揮する機会をもいただける。3つのレイヤーそれぞれで実力を磨くことが、これからのクライアントワークのあり方、セブンデックスらしい提供価値を作っていくはずです。

1991年生まれ、大阪府出身。 2018年に株式会社セブンデックスを創業し、代表取締役に就任。 これまで携わったPJは、ブランド戦略、UXデザイン、新規事業開発と多岐に渡る。現在は事業全体を統括し、日本のマーケティングに変革を起こすため従事している。