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「今変革を起こさなければ」創業84年、日本鋳鉄管ブランド戦略のリアル

水道管・ガス管メーカーとして生活インフラを支える日本鋳鉄管株式会社。2021年6月からはデザイン経営の推進を目的に「ブランド戦略推進室」を設置、2021年6月よりセブンデックスと共にプロジェクトを始動しました。

創業84年を迎える日本鋳鉄管がなぜ変革を行うのか、変革に至る苦悩や決意など、ブランド戦略実行のリアルについて、代表取締役の日下社長、セブンデックス中村にお話を伺いました。

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長年の業界不振で会社は危機的状況に。その中で見えた希望。

ー初めに、日下社長の就任当時の水道管業界の状況を教えてください

日下:
水道管業界の状況は高度経済成長時のピークに比べ、生産量が約三分の一しかない状態がここ何年か続いており、メーカー同士でも価格競争が起きていました。
会社の経営も本業の水道管のみでは収益をプラスにすることができず、何とか連結子会社の利益で耐えている状態で、かなり危機的な状況に陥っていましたね。

ー会社の経営状態が危うい中、社員たちの雰囲気はどの様な状態でしたか?

日下:
僕の危機感と社員の感覚にかなりギャップがある状態でした。
私たちの製品は規格品なので、製品自体は変えようがないんですよね。なので毎日規格通りに同じ物を作ることの繰り返しで、決まった事を忠実にできる反面、挑戦しない文化が染みついていて。あえて言葉を選ばずに言うと「このままでは“ゆでがえる”、になってしまう」という状態でした。

どこか変化を恐れ現状に満足している。就任当時のどんよりとした空気感は今でも覚えています。
会社の経営状況に、社員たちは繰り返しの毎日の中で危機的状況に気付けない。まずはその状況をどうにかしなきゃと思っていました。

ー水道管の需要の増加があまり見込めない中、日下社長としては会社を立て直せる可能性をどこに感じていたんですか?

日下:
一番は社員たちです。社長に就任する前に社内を歩き回り色々な社員の話を聞いたんですが、みんなものすごい真面目なんですよ。先ほどの言い方だと少し悪く聞こえていたかもしれませんが、裏を返すとそれだけ一つのことに対して真面目に取り組んでいるんですよね。実際に話してみてその真っ直ぐさにすごく力を感じました。その時から「私自身が会社の目指すべき場所をしっかり示せば、共感してついてくる。」この確信はずっとありましたね。

経営状態はV字回復。見えてきた“ブランド”としての課題 

ー実際にはどのようにアプローチをしたのですか?

日下:
まず、社長就任直後に全社員を集めて当時の経営状態や課題点を伝えました。いま会社は危機的状況にあるので皆さんにも協力してほしい、まずは会社の骨組みとなる部分をしっかり立て直さなくてはならない、と。
その後リストラを行うなど、社員にも本当に大変な思いをさせましたし、当時も社員のモチベーションが下がっていないか本当に不安でした。

でも、実際は違いました。当時のアンケートには意外にも「一緒に頑張りたい」と言ってくれる社員が多かったんです。少なからず僕の想いが届いているんだなって。すごく嬉しかったですし「ここまで来たら一緒にやるしかない」と改めて覚悟を持った瞬間でした。

ー社員の声が後押しになったんですね。そこから、どのように回復に向かっていたのですか?

日下:
社員の後押しも受け、事業面では新たに二つの事業を立ち上げました。私たちの水道管の技術を応用できないかと、パイプを使っている工事現場に視察に行ったり、水道局の人に話を聞いたり。現場の声を基にした事業が功を奏し、会社の経営もV字回復させることができました。

でも、この新事業を通して気が付いたことが一つあって。新事業を始めたにも関わらず、社会に対して、まして社員にも上手く伝えられてないかもしれないと。当時のコーポレートサイトも昔のままで、化石みたいな状態になっていましたし。
新しい事業も現場とのコミュニケーションから生まれたし、このコーポレートサイトを変えることで潜在顧客とのコミュニケーションが取れるようになるはず。その窓口となるユーザーインターフェースが大切だと思い、リニューアルを決めました。

「日本鋳鉄管の意志と想いを表現する」セブンデックスとの出会い

ーセブンデックスとの出会いについて教えてください

日下:
正直はじめは名前も知らなくて、知人の紹介でコンペに参加してもらったデザインコンサルティングファームのうちの一つでした。でもセブンデックスは他の会社と全然違いましたね。正直なところ「そこまでやるの!?」と思ってしまうくらい「なぜそのデザインになるのか?」「そもそも日本鋳鉄管が表現したい“らしさ”って何だっけ?」の様な所から落とし込んでくれて。
他の同席していた社員たちも同じように思っていた様で、満場一致でセブンデックスにお願いすることになりました。

中村:
実はコンペの前に一度日下社長にインタビューさせて頂いて想いを伺いました。そのおかげで期待を上回る提案ができたかな、と思っています。
リニューアル前のコーポレートサイトを見た時は、いわゆる日本の昔ながらのメーカーの様な雰囲気で、これをどんな風に変えていきたいのか社長ご自身に一度話を聞きたいなと思ったんです。リニューアルの背景として「会社として変わっていきたい」という想いは伺っていたので、なおさら社長の話を聞いてみなきゃなと。

実際に社長にインタビューしてみると、印象がガラッと変わりました。一番印象的だったのは、社長から語られる言葉の主語のほぼ全てがステークホルダーだったこと。さらに「会社をこんな風に変えていきたい」というビジョンや強い意志を社長自身から感じられて、「これは面白い仕事になりそうだ」とワクワクしたのを覚えています。

ー実際にセブンデックスとしてはどのような支援ができると考えていたのですか?

中村:
日本鋳鉄管さんはクリエイティブ専門のメンバーもいなかったので、上手く思想や考えを表現できていなかった。でも、日本鋳鉄管には発信するべき秘めた想いや意志がある。肝心のコンセプトの素はあったので、企業の右脳として機能し、僕たちの手で意味づけ、表現していくことは難しくないことだと思いました。

社長のビジョンを本気で実現するには、コーポレートサイトのリニューアルだけでは難しい。ダメもとでも、より上流からの支援内容を提示して理解していただければ、確実にこの会社が変わっていく確信があったんです。その結果、当日の提案も多くの社員の方に納得していただけたので、あの時踏み込んだ提案をしてよかったなと思ってます。

企業価値を向上させる、ブランド戦略のリアル

ー実際に行ったブランド戦略について教えてください

中村:
まずは水道管の市場を分析し、会社としての戦略を立てていくところから始めました。詳しいプロセスは以前記事にも書いたんですが、大まかに説明すると戦略を立てて勝ち筋を見つけ、その上で会社としての見られ方を整理する。その後にパーパス策定や実際にビジュアルに落とし込んでいく流れですね。

ーどのようなことから始められたのでしょうか。

中村:
まずは対話を重ねるところから始めました。水道という私たちの生活になくてはならない、もはや当たり前すぎて目を向けることすらできていない世界の話に目を向ける。今その世界はどうなっているのか?何が起きているのか?どんな環境が取り巻くのか?プラスに変えていくには何が重要なのか?とにかく沢山の対話を重ねました。その中で日下社長の改革心と先見の明も感じられました。点在する感覚を線でつなぎ聞き触りの良いストーリにすることは自分の仕事であると思っていました。

ー対話を重ねる中で見つけた大切なことは何ですか?

中村:

老朽化した水道インフラの整備はいずれ大きな社会問題になる。そのために水道管をめぐる事業環境に変化を起こしていかなければならない。私たち自身そのイシューに非常に共感しました。そのイシューを根本から理解するために、水道管をめぐる事業環境を徹底してリサーチしました。プレイヤー、ユーザーといった市場はもちろんですが、そもそもの上下水の仕組みや気候変動によって起きた課題など水道にまつわる情報をとにかく集めて組み上げていきました。

ープロジェクトを進める上で印象に残っているエピソードはありますか?

中村:
日下社長は言葉の使い方がユニークな方であると思いましたね。私たちは職業柄当然のことではありますが、日下社長も言葉の機微の非常に厳しい方。一つの文章の表現について、議論を重ね、夜遅くなったこともありましたがその時は楽しかったですね(笑)

日下:
会社の見え方を整理するために作成してくれたマンダラチャートには衝撃を受けましたね。会社として各ステークホルダーにどのように見られたいのか9×9マスで整理したマップのことなんですが、あれを見た時に自分の中でぼんやりしていたものがパッと言葉に凝縮された気がして。

中村:
私自身もマップに整理したり、ブランド定義をしていくうちに視界がパッと開けた瞬間がありましたね。
多くの人の暮らしが豊かになるはずだし、この会社はもっと拡大していくべきだと思えたので、ブランドの定義にも力が入りました余すことなく、表現するために言語の表現にはこだわりましたね。一言一句の機微に目を向けられたのは、ビジョンと戦略を明確に理解することができていたからだと思います。実現しようとしていることが達成された時の社会への影響力はとてつもなく大きいことを感じながら、意味づけしていくことができました。

ー支援していく中でどんな部分にこだわりを持っていましたか?

中村:
社長と同じ目線でいることはすごく大切にしています。社長と同じ目線で、同じ景色を見られるようになること。そのためには日本鋳鉄管についてはもちろん、水道業界全体について知り尽くすことが大切だと考えています。

あともう一つ大切にしているのは、ものを作ることにコミットするのではなくその先の会社の成長まで考えることです。「企業価値を上げるために、セブンデックスには何ができるのか?」を常に考えながら取り組んでいます。セブンデックスとして時価総額を上げるくらいの仕事をしなければ意味がないと思って望んでいます。

ー日下社長としては、ブランディングを行っていく中で日本鋳鉄管をどのように変革していこうと考えたのですか?

日下:
一番は会社として強くなりたいという想いが強かったですね。ブランドって広く捉えると「会社がどのように見えるか」で、要は会社の内側にあるものを外に伝えていくことなんですよ。だから、自分たちが何を目指すのかを社員が理解して体現し、それを外に発信していく。会社の根幹部分を強くできると感じたんです。

もちろん今回のブランディングで競合にとって脅威になることも一つの目的ですが、それは事業面における部分的なこと。目指すべきは、社会に対してこの会社がどれだけ貢献できるかなんですよ。でも、それは「水道事業を通して多くの人の生活を豊かにするにはどうしたらいいのか?」を考えれば自ずと答えは見つかりますし、そういったことを実現していく会社だということを伝えていきたいですね。

日本鋳鉄管とセブンデックスのこれから

ー日本鋳鉄管さんのこれからについてお聞きしたいのですが、このプロジェクトを通して社内ではどんな変化がありましたか?

日下:
嬉しかったのは、社員たちに新しいことに積極的に挑戦する意識が芽生え始めたことですね。以前は淡々と決められた作業をこなす毎日でしたが、最近は全然違っていて。例えば、これまでの作業工程に対して社員から新しい改善案が出たり、作業の生産性を上げて一歩前に進めていこうという気概が感じられるようになりました。

中村:
確かについ最近工場にお伺いした際も、これまでとは違った雰囲気を感じました。さらに、僕たちのデザインした新しいロゴが社員の方の制服など色々なところで見られてすごく感動しました。

日下:
社員の制服が新しくなったこともそうですし、会社としても古い服を脱ぎ捨てて新しくなってきている気がします。経営や事業に関しては私がこれまで様々な変革を行ってきましたが、それが現場にも伝わっているみたいで。社員同士で活発に議論が行われているのもそうですし、日常の何気ない部分からも会社が変わってきているのを体感できて嬉しいです。

ー現在、会社としての変化を実際に体感されているとのことですが、今後に対してポジティブな課題は何でしょう?

日下:
わたしたちの会社は上場企業なので、企業価値を高めていくことは会社としての義務だと思っています。そこで「今後どうやってその価値を高めていくのか?」といった部分が課題になると思います。ただ、セブンデックスさんの力もあり今はその道筋が見えているので、あとは進んでいくのみですね。

ー今後セブンデックスとしては、日本鋳鉄管とどのように歩んでいきたいと考えていますか?

これまでと変わらずマーケティング領域の中でデザインを駆使し、経営課題を解決していきたいと考えています。
今後どうしていきたいかは主に二つあるんですが、一つは実利にコミットすることで、日本鋳鉄管の売上高や営業利益にアタックしていきたいですね。
もう一つは社会における日本鋳鉄管の存在感を大きくしていくこと。日本鋳鉄管が日本の水道インフラの課題解決を行う会社として拡大してい行くのをサポートしたいですし、そのための戦略を描くのが私の仕事だと思っています。2年後の日本鋳鉄管を予想して「どうすれば存在感を放つことができるのか?」そこまでのシナリオを描き伴走するスタイルで、企業成長にコミットしていきます。

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