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デザイン思考のここは間違い|正しく理解しビジネスで活用しよう!

以前デザイン思考についての紹介記事を書きましたが、実際の現場ではどう使ってるの?と気になった方もいたと思います。

その感覚、半分正解かもしれません。
「人間中心設計」「プロセス重視」「コト消費がすべて」と書いたものの、ビジネスの現場で記事通り実践したら確実に失敗するんですよね…

デザイン思考は魔法の言葉とかプロセスなんかではなくて、頭の片隅にこびりつかせておくもの。そんな感覚を掴んでもらいたく、間違った解釈を例にみなさんのデザイン思考の解像度を上げられたらと思います。

デザイン思考について知りたい方はこちら

「ユーザーのことだけを考える」なんてことはない。手前でビジネスを考えてる

「デザイン思考を使ってユーザー視点を取り入れましょう」

でまず真っ先に間違えられるのがこの解釈。大きく2つのケースで発生します。

1つ目はある程度事業基盤ができている100→110のフェーズを目指そうとする会社。事業会社ではビジネス目線主体で成長してきたため、ユーザー目線を入れるためにデザイン思考を取り入れるケースが多いです。ビジネス目線主体で成長した分、ユーザー目線主体になってしまいます。

2つ目はスタートアップ企業や社内の新規事業など0→1のフェーズ。
「売れるものを考える前にユーザーに愛されるものを作らなければいけない。」と順序を間違えてしまうケースです。

確かにデザイナー的思考でUXデザインすることは大事です。大事ですけどデザイン思考を考えてる時にはビジネス設計が終わっています。(ここ大事です!)
ものづくりを考えている段階で市場調査を行い、どんなターゲットがいるかを想定し、勝ち筋を見つけます。ある程度当たりがついた時に初めてプロダクト設計を行います。

iPhoneを始めとした革新的なプロダクトはデザイン思考がなければ生まれなかったですが、デザイン思考で考える前にビジネスとして成功させる勝ち筋を綿密に設計しているからこその結果なのです。

デザイン思考のプロセスを丁寧にやってたら会社が死んじゃう

「プロセスこそ正義!」

みたいになっちゃってますが、スタートアップでやってみてください。最高のプロダクトができる前に会社が無くなっていると思います。

ヒト・モノ・カネ、3つのバランスを見ながら最大化させることが、ビジネスにおいて重要です。プロセスにこだわってモノだけを伸ばすことが適切でしょうか?

弊社セブンデックスのプロジェクトでもスキップの事例があります。スタートアップのグロースフェーズにおいて、1つずつプロトタイプ回しながら仮説を潰すか、とりあえず世の中に出すの二択だったのですが、迷わず後者を選びました。机上で確率を上げるか、ある程度の予測を持ってまず出してからユーザーの声を拾うかですが、後者の方が最終的な結論にたどり着く成功確率が高かったからです。

もちろんこれは事業にもよりますが、プロセス重視ではなく、あくまでプロセスを1つの手札として最適解を導く、くらいの感覚であれば問題ありません。

そんなすぐデザイン思考が身につくはずがない

ある程度デザイン思考についてインプットすると「簡単に実践できそう」と思いますが、そんな甘くないのもまた事実。

デザイン思考と体現者と言えばデザイナーですが、原体験レベルで感性を持ち合わせています。
ちょっとしたことでも「あ、これは良い設計だ」みたいな。宝石店に行って「わ〜これ高そうだな。」くらいの感覚で日々デザインと向き合っているのです。

そんな方たちのマインドセットを文献2〜3個読んだくらいで身につくはずがありません。

まずはデザインの本質を知り、そのための知識を得て、自分なりにひたすらアウトプットして反復する。こうしてデザイン思考をフレームワークとしてではなく無意識レベルで習得できて初めて体現できるのです。

「デザイン思考のプロセス」と書いてしまったが、そもそも思考-マインドです

改めて前提の話をしてしまうのですが、デザイン思考はあくまでデザイナー的、人間中心で考えビジネス課題を解決する思考です。
「デザイン思考プロセス」は存在しません。(デザイン思考の記事にも書いています)
プロセスを行うことがデザイン思考を行うのではなく、その思考を持ってプロセスを行います。

となると、デザイン思考を持ち合わせていたら、ビジネス関連の作業もデザイナー的視点で考えられるんですよね。
例えばマネタイズプランを考える時。「マーケットから最大限取るにはどうすればよいか?」ではなく、「マーケットユーザーの体験を一番自然にお金と等価交換するには?」の様な。
これだけで、ユーザーが一番「これをしたい」という時に課金を求める仕様になりますし、それが一番効率的なマネタイズになります。

ビジネスの全てにおいて人から話を展開すると、デザイン思考の感覚がつかめるかもしれません。

デザイン思考を取り入れたら上手くいく魔法なんかない。下手にワークショップやるとか。

「デザイン思考を会社で取り入れよう!」

そんな気持ちでデザインワークショップを実施する企業が多いですが、そんな簡単に行くはずがありません。(デザイン思考を表層的に取り入れて満足してしまうケースは結構あるんですよね…)
手段が目的となるケースが本当に多いので、必ずなぜその選択をしたのか目的を明確にしましょう。

  • なぜデザイン思考を自社に取り入れたいと思ったのか
  • デザイン思考を体現するためになぜそのプロセスを選択したのか
  • そのプロセスは現事業フェーズの最適解か
  • デザイン思考を取り入れることでどんなことが実現できるか

ちなみに弊社セブンデックスでもワークショップを実施しているのでフォローしておくのですが、弊社の場合は体験みたいなノリではなく、本気で向き合い参加者全員が体現できるまで支援します。
(とりあえず参加したい、の様な参加者はそもそも辞退いただくくらいの意気込みです。)
これくらい向き合って初めて少し前に進むくらいなのです。

デザイン思考の魔法、解けましたか?

デザイン思考の記事で魔法をかけておきながら解いてしまってすみません。笑

解釈を間違えないでほしいのは、デザイン思考はビジネスにおいて必須の考え方であることには変わりありません。
ただ間違った解釈、拡大解釈されているため、実態に沿ってフォローをしました。
デザイン思考を学んでは見たもののちょっと引っかかってた方の参考になれば幸いです!

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事業/組織開発
アメリカ/ボストン生まれ。新卒のナビタイムジャパンでフロント/サーバーサイドエンジニアを経験後、グッドパッチでプロジェクトマネージャー、UXデザイナー、マーケティングを担当。2019年セブンデックスに入社。事業・組織開発として、マーケティング、プロジェクトグロースに従事。SalesfoceなどCRMを活用した事業支援を行なっている。