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デザイン思考の活用事例から見る、ビジネスにおける重要性

良いものを作るだけでは売れなくなった現代において、デザイン思考はビジネスを成長させるために必須の考え方となりました。
世の中の売れているプロダクトはたまたま売れているのではなく、ユーザー視点からビジネスを考えた結果です。

この記事ではデザイン思考の活用事例を元に、ビジネスにおけるデザイン思考の重要性を紐解いて行きたいと思います。
(ここでは「活用事例=デザイン思考を取り入れてると考察できたプロダクト」と定義しています)

デザイン思考について知りたい方はこちらで紹介しています。

事例1.Apple iPhone

日本の技術産業が脅かされるきっかけにもなり、デザイン思考が重要視されるきっかけにもなったのが、iPhoneです。
2007年に初めてiPhoneが発表された時、日本市場の反応はこうでした。

「物理ボタンがないと押しづらい」

「赤外線がないと情報交換ができない」

「テレビが見られないのは不便」

「防水機能がない」

当時日本の携帯(ガラケー)は世界でもトップレベルの技術力を持ち合わせ、各社機能によって優位性をもたせていました。そんな日本に海外の、それも携帯自体の機能が少ない製品が売れるはずがない。誰もがそう思っていたのです。

しかし、蓋を開けてみたらiPhoneは爆発的にヒットし、国内メーカーの携帯事業撤退に追い込まれる事態となったのです。
ではiPhoneの何が良かったのか。それはユーザードリブンの理想からプロダクトを作った、ユーザーの潜在的欲求を満たしていたからです。

それまでの国内メーカーの開発はマーケットドリブン。市場調査によってどの様なニーズがあるかを導き、ニーズに対するインパクトを試算、インパクトの大きいものを実装する、という流れでした。
一方でiPhoneは、「本来ユーザーとプロダクトを繋ぐべきインタフェースはこうあるべきだ」と、ユーザーの味わったことのない潜在的欲求を定義し、形にしました。さらにiPhone発売に合わせてアプリプラットフォームを開放。ほしい機能はアプリで手に入るし、ニーズを知った開発者はアプリを自由に開発できる場を提供したのです。

それにより、ニーズとして上がっていた赤外線やテレビ視聴も、実は代替手段を知らなかっただけでユーザー自らが代替し満たされていったのです。

インタビューでもよくある話ですが、ユーザーは見えている世界において語るのみで、その本質は潜在的です。iPhoneはユーザーの本質を形にすることで、市場をゲームチェンジさせシェアを勝ち取った、まさにデザイン思考でビジネスを成長させたのです。

事例2.テスラ EV

今やトヨタを抜き自動車業界において時価総額1位となった、テスラモーターズ。市場では車業界ではなくIT業界として評価されています。なぜ振興EVメーカーが世界最大の自動車メーカートヨタの時価総額を上回ることができたのでしょうか?

それは車の性能だけではなく、「車の移動体験」と言う新しいステージを見据えて開発が行われているからなのです。

現在も自動車の基本的な売り方は完全買い切り型。一度購入した車はその時点の最新であり、時間の経過とともに過去のものへとなっていきます。
自動車開発においても同じで、メーカーが100%の完成品を作り上げたうえで、ディーラーを通して完成品を売り切る形。近年ではLTVを伸ばすために、メーカー独自の自動車通信サービスや保証プランなどを提供しています。

一方でテスラの自動車は購入時点の最良であり理想の状態では無い事が大きな違いです。テスラは2021年度中に完全自動運転を目指すと掲げており、その対象は過去販売した全ての自動車が対象となります。そう、テスラはスマートフォンのように日々アップデートを重ね、進化するのです。
そして完全自動運転ソフトウェア「FSD」を月額2万円ほどのサブスクリプションで販売する計画を立てています。
完全自動運転が実現すれば、車の移動中に別のことができるように。移動体験に対してお金を払う設計にしたのです。

他メーカーの様に良いものを作って売るのではなく、移動体験を販売する。将来を見据えたテスラの戦略はデザイン思考のコト消費から生まれたものなのです。

事例3.ダイソン コードレスクリーナー

ダイソンは「吸引力の落ちない、ただひとつの掃除機」として、コードレスクリーナーの市場で圧倒的なシェアを築き上げた家電メーカー。たまたまデザインが良いから売れたのではなく、そこには並々ならぬ情熱が注がれています。

今までのコードレスクリーナーと言えば、便利だけど吸引力が弱い、吸引力がすぐに落ちる、電池持ちが悪い、など、必ずしも良いものではありませんでした。少し不便ではあるけれど、ゴミが確実に吸えるコード付きクリーナーを使うことが一般的でした。

その市場を開拓したのがダイソン。当時無理だと言われていたコードレスクリーナーの吸引力問題を解決できれば市場を変えられる。問題解決の為に試行錯誤を重ねました。作ったプロトタイプは5,000台以上。モーターの技術と吸引構造の技術を駆使して作られたのがダイソンのコードレスクリーナーです。

またダイソンは、技術力だけではなくプロダクトのデザインにもこだわりました。
コードレスクリーナーは気軽に掃除するため手の届く所に置きたいですよね。ダイソンはそんな利便性を取りつつも生活感を無くせる様なデザインになっています。ダイソンをリビングに置くことで所有感の演出をしたのです。
デザインのこだわりは他のプロダクトにも受け継いでおり、羽のない扇風機なども部屋に存在することで所有欲を掻き立てられることにこだわっています。

掃除をする体験を良くするために技術的な問題を解決し、さらには所有欲を掻き立てられる。値段は多少高くてもユーザーがそれ以上の体験に価値を感じる、デザイン思考によって掃除機の新しいカタチを作り上げました。

事例4.バーミキュラ 炊飯器

バーミキュラの炊飯器は世界一、素材本来の味を引き出す鍋を目指すために作られた商品。無水鍋が特徴で、素材の旨味を閉じ込められることが特徴です。価格は8万円と効果にも関わらず、販売開始時にはあまりの人気に最大15ヶ月待ちとなった大ヒット商品です。

バーミキュラ誕生のきっかけは特徴的。実は元々無水鍋を製造していて最高に美味しいご飯を炊くことができたのです。「美味しく炊く炊飯器を作るにはどうすれば良いか」ではなく、「美味しく炊ける鍋の再現性をどう担保しよう」と逆説的に作られたのがこの炊飯器です。

まず炊飯に関しては最高の状態で食べてほしいため、保温機能はついていません。ご飯に対するこだわりが現れています。
さらに特徴的なのは鍋として使えること。鍋だけ取り出して直接火にかけることもできますし、炊飯器にセットして調理も可能です。さらに炊飯器では低温調理も可能。炊飯器一つで美味しいご飯が炊けるだけではなく、鍋を使って料理の幅が広がるのです。

無水鍋を通して調理の幅を広げられる。コト消費に目を向けたデザイン思考があったからこそヒットを生み出せたのです。

デザイン思考はビジネスを成長させる

今回の事例の様にデザイン思考を持ち合わせることで、ユーザーの「コト消費」から事業を考え、ビジネス成長に繋げることができます。

普段のサービス開発においても「自分たちは何を作れるか」ではなく「ユーザーは、本当は何を求めているのか」の視点で物事を見ることが大切です。
ぜひ自社サービスでもデザイン思考を取り入れて、ビジネス成長に繋げてみましょう。

事業/組織開発
アメリカ/ボストン生まれ。新卒のナビタイムジャパンでフロント/サーバーサイドエンジニアを経験後、グッドパッチでプロジェクトマネージャー、UXデザイナー、マーケティングを担当。2019年セブンデックスに入社。事業・組織開発として、マーケティング、プロジェクトグロースに従事。SalesfoceなどCRMを活用した事業支援を行なっている。