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UXデザインにおける「フィールドワーク」とは?

UX改善のプロジェクトでは、対象となるサービスにおけるユーザー体験への理解が不可欠です。

そのための手法としては「ユーザーインタビュー」や「思考発話法」など、様々なものが存在しますが、今回は、特に「オフラインでのユーザー体験」に関するリサーチ手法として使われる、「フィールドワーク」についてご紹介します。

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フィールドワークとは

フィールドワークとは、調査対象となる現場に直接赴き、現場での観察、対話、体験によって情報を収集する調査手法のことです。

フィールドワークという言葉の定義は広く、「現地に赴いて実施する調査全般」を指す言葉ですが、元々は学術的な研究に対して使われてきました。

最近は、UXリサーチの手法としても活用されており、プロダクトの問題を提起した後、ユーザー体験への理解を深め問題の原因分析を行う際の手法として活用されます。

具体的には、

  • お店に行って、自分で購買の体験をしてみる
  • 実際に購入している人を観察しながら、どの動向についてデータを得る
  • 現場の対象者にインタビューし、ユーザーの行動や行動に到る真理ついて教えてもらう

など、「現地に赴いてユーザー体験への理解を深める調査手法」と言う意味で使われます。

フィールドワークとエスノグラフィーとの違い

インターネットでフィールドワークについて調べていくと、「エスノグラフィー」という言葉と同時にヒットすることが多いため、この二つの言葉の違いについても触れておきます。

フィールドワークとは、文字通り「フィールド(現場)で行うワーク(仕事)」であり、対義語としては、「デスクワーク」となります。

一方の「エスノグラフィー」とは、調査計画の作成からフィールドワークの実施、またフィールドワークで得たデータの分析まで、一連の調査研究のことを指します。

こちらも元々学術的な調査研究に使われる言葉ですが、文化人類学や社会学で、自分とは異なる人種の文化を知るために、そのコミュニティ内に入ることで内側から理解するための手法のようです。

エスノグラフィーには、ユーザーインタビューや学術的な文献調査など、事実の分析に必要なデスクワークも含まれます。エスノグラフィーを実施する中の一つのプロセスとして、フィールドワークが存在するというイメージです。

なぜ、フィールドワークが大切なのか

UX設計を行うにあたり、まずは対象のサービスが提供するユーザー体験と、その土台となる思考や行動について理解することは必要不可欠です。

オフラインの体験では特に、現場の雰囲気や空気感などがユーザー体験に大きく影響しており、フィールドワークは、そういった「現場に行かないと分からないこと」を知るために実施されます。

これらは、ユーザー自身も意識的に感じていることではないため、ユーザーインタビューでは汲み取ることが難しく、現場しか感じ取ることができない情報なのです。

実際にどんなことをするのか

では、実際にフィールドワークではどんなことをするのか。フィールドワークの主な手法としては、大きく分けて以下の3つとなります。

  1. 現地に赴いてユーザーを見る
    (代表的な手法:参与観察、フライ・オン・ザ・ウォール、シャドーイングなど)
  2. 自分がユーザーになって、実際にサービス体験する
    (代表的な手法:ミステリーショッピング
  3. ユーザーの行動を現場で観察しながら、ユーザーに弟子入りするような形で、ユーザーの行動とその背後にある意図についてヒアリングする
    (代表的な手法:コンテクスチュアル・インクワイアリー)

実施する際におさえるべきポイント

「誰の、何を調査するのか」を明確にしておく

フィールドワークを行う際、いきなり現地に赴き、なんとなくユーザーの目線で見てみても、大きな効果は得られません。

目に入ってくる情報を意識的に捉えることなく、流してしまうでしょう。

より効果的な調査にするためには、「そのフィールドワークで、何を達成したいのか」という目的を明確にしておくことが大切です。

例えば、スーパーでの購買体験について調査する場合は、
「お肉を買う時の、購買意思決定要因は何なのか把握する」
「自分で夕飯の買い物をし、スーパーに入ってから出るまでの心境の流れを把握する」
「どんな順番でスーパーを回るのか、実際に買い物をしている人の行動を見てみる」
などなど。

細かく定める時もあれば、抽象的な状態で定める時もあります。抽象度が高い場合であっても、「誰の、何を調べるのか」という問いに対しては答えを出してから実施するようにしましょう。

この時、注意する点としては、事前に仮説を立てすぎてしまってはいけません。「自分の場合はこうだから、おそらくこうだろう」といったバイアスは排除し、フラットな視点で調査を実施しましょう。

全てを“体験”としてとらえる

現地では、「美味しかったこと」「迷ったこと」「寒かったこと」「嬉しかったこと」など、多くの出来事を体験します。

UXデザインにおいて、フィールドワークで得た情報は「体験の設計」に繋げていくため、その際に得た情報は、全て「体験」として捉えることが重要です。
(「美味しかった体験」「迷った体験」「寒かった体験」など)

尚、「体験」は1回のフィールドワークに対して決して一つではなく、複数の「小さな体験」が、一つの「大きな体験」を構成しています。

普段意識せずに流している「小さな体験」も、意識的に「大きな一つの体験」に繋がるため、細かな感情の変化や行動についても見逃さないよう注意しましょう。

体験の裏にある背景に注目する

目に見えて分かる「体験」や「行動」には、必ず「そこに到るまでの思考」が存在します。

先ほどのスーパーの例で言えば、「一番高いお肉を買った」という体験に対して、「以前、安いお肉を買ったけど、美味しくなかった」という過去の経験が存在するのかもしれませんし、「高い方が、パッケージが美味しそうだった」という感覚的な判断かもしれません。

あるいは、「安いお肉は端に陳列されていたため、目に入らなかった」のかもしれません。

フィールドワークでは、行動の裏にある思考や価値観に注目し、体験との因果関係を明らかにすることが大切です。ユーザーの真理と行動がどう関係しているのか、因果関係に注目して調査を実施しましょう。

最後に

「フィールドワーク」では、ユーザーインタビューでは分からない現場の雰囲気や、それによって引き起こされる行動についても、リアルに体感することができます。

セブンデックスでのUXデザイン実績で言えば、
ECサイトのサイトリニューアルにて、ユーザーの購買体験ついての理解を深めるために、実店舗でのフィールドワークを実施。ユーザー体験に沿ったサイトデザインを設計しました。

オフラインでのユーザー体験を伴うプロジェクトでは特に、フィールドワークで得られる発見は非常に多く、効果的なリサーチ手法となるでしょう。

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新卒入社でマイナビに入社し、企画営業としてマイナビ転職や、求人広告販売を担当。全社表彰/社長賞獲得。CX(Candidate Experience)を通して広義のデザインに可能性を感じ、また自分の仕事の領域を広げたいと思い、セブンデックスに入社。現在はPM/UXデザイナーとして様々な案件に携わりつつ、採用人事など幅広く担当している。