01.
本質的なブランディングを担うパートナーとしてプロジェクトを支援
本プロジェクトは、「ブランド」を新たな事業推進力としたいというクライアントの想いから始まりました。大和ハウスグループが展開する賃貸住宅「D-room」は成長を続けてきたものの、市場の変化を見据え、ブランドの再定義と本格的な活用が求められていました。
当時の社内では、D-roomの理解や発信にばらつきや商品構成やネーミングの複雑さもあって、外から見た際の一貫性や分かりやすさに課題を抱えていました。が運営する、がん患者向けアピアランス商品を扱うECサイト「PreSta」。
こうした背景から複合的なブランドを取り巻く課題を紐解いていくパートナーとしてセブンデックスにお声がけいただきました。(100%)」とご回答いただき、効果検証の重要性と基本思想を参加者に深く浸透させるという当初の目標は、達成。さらに、参加者の満足度も100%に達し、高く評価いただきました。

02.
大規模だからこその、綿密な合意形成
プロジェクト推進にあたってまず重視したのは、スケールに見合った“進め方”の設計でした。ブランドの影響範囲が広く、多くのステークホルダーを巻き込む必要があるため、二つの方針を設定しました。
一つ目は、段階的な進行。根本からブランドを定義するには調査や検証に時間と予算が必要ですが、その妥当性を社内で共有・承認してもらうことが不可欠です。そこでまずは「ブランディングの必要性」を検証し、その後本格的なブランディングへと進むプロセスを構築しました。
二つ目は、丁寧な合意形成。全社に関わるプロジェクトだからこそ、経営層を含む主要ステークホルダーと要所での意思疎通を重ね、ブランドの意義を噛み砕いて共有する場を設けました。
03.
「そもそもブランディングが必要か否か」から確認
まずはブランディングの必要性を検証するため、「ブランド認知調査」を実施しました。当時は、「ブランディングの必要性」こそ感じていたものの、それを裏付ける定量的な根拠が不足していました。
そこで、自社の認知度や競合との差異を中心に調査を行った結果、現状のブランドが持つ課題が浮き彫りに。仮説の裏付けとともに、テコ入れすべき余白が明確になりました。
この結果を踏まえ、クライアントと今後のプロセスの必然性を丁寧に合意し、本格的なブランディングフェーズへと進みました。


04.
多面的な調査で「ブランドの向くべき方向」をあぶり出す
ブランディングの本格始動後、まず着手したのは「精度を高めるための再調査」でした。前回の“必要性を測る調査”とは異なり、今回はD-room入居者への調査や社員の声を集める自社調査、さらに競合・市場調査など、多角的な視点で情報を収集しました。
中でも大きな気づきは、市場内での立ち位置です。類似サービスを展開する事業者は、各社近しいポジションを意識した商品・ブランド展開をおこなっていました。良く目にするようなブランドのポジショニングではあるものの、本当にそれが現状の市場感等を踏まえて正解と言えるのか。
こうした気づきを踏まえ、ブランド戦略に落とし込むべき問いを整理しながら、具体的な方向性を構築していきました。
05.
ブランドの根幹を定義する「戦略」と「DNA」
調査結果を踏まえ、課題を具体的な施策に落とし込むために策定したのが「ブランド戦略」と「ブランドDNA」です。今回のプロジェクトは表層的な刷新ではなく、より根源からブランドを構築する必要があるため、ビジュアルへと落とし込む前に、戦略、言葉などからしっかりと「根幹となる価値観」を定めなければいけません。
ターゲット市場や顧客像、競合との差別化を整理し、タグラインやキャッチコピーといったブランドの核となる要素を設計。中でも商品ラインナップやネーミングの複雑さにも踏み込み、全体を再編・統合。明確で統一感のある構成へと整えました。
ステークホルダーが多く調整が難しい領域でしたが、事前の丁寧な合意形成とブランディングの意義の共有により、スムーズに進行することができました。


06.
精緻な戦略を元にアウトプットへと接続
戦略部分がしっかりとまとまった上で、最後に取り組むのが顧客との接点となる部分のビジュアルデザイン。ビジュアルアイデンティティを取り巻くデザインシステムの構築や、Webサイトのリニューアルを中心に制作を進めていきました。
当時のWebサイトは、制作から時間が経ち改修を重ねていたこともあって、構造は複雑に。デザインのルールにもほころびが生じていたため、新たなブランドの戦略等をもとに、ビジュアル的にも構造的にもあらたな形に刷新していきました。このプロセスは、前段のブランド戦略等がしっかりまとまっているか否かで精度に差が出るパートでもあります。今回は合意形成も丁寧にとれていたため、スムーズに進行していけました。
07.
組織・社員の行動変容までを見据えて
今回のプロジェクトはブランドの根幹にアプローチするからこそ、影響を受ける人の多さや変わる人の多様さ、そして与えたい影響の深さを理解したうえで向き合うことが不可欠でした。ブランディングでは単に見た目が変わるだけではなく、組織・各社員への浸透、行動の変化まで見据えてブランドを新しくしていかなければいけない。その思いのもと、新たなブランドのあり方を探り、様々な方面から定義を重ねていきました。
ブランディングとしては、今回定義・用意したアセットが社内で展開されはじめてからが本番。Webサイトはすでに刷新されていますが、それを追いかけるように各所が少しずつ変化を重ねていきます。同社のブランドの変容はここがスタートラインです。
