「ロゴ」という言葉を聞くと、多くの人がブランドや企業のイメージを可視化するデザインを思い浮かべるでしょう。しかし、「サービスロゴ」とは何を指すのでしょうか?
簡潔に言えば、サービスロゴとは特定のサービスや事業の特徴を表現したロゴのことです。本記事では、サービスロゴの役割や重要性、さらにどのようにデザインされ、試行錯誤が行われてきたのかについて解説していきます。
目次
サービスロゴとは?
まず、「サービスロゴ」とは何かを簡単に説明します。
サービスロゴとは、特定のサービスや事業を対象に制作されたロゴのことです。企業の全体像を象徴するコーポレートロゴとは異なり、サービスロゴはその企業が提供する具体的なサービスや事業に特化してデザインされたものと定義されます。
例えば:
- 楽天グループ株式会社の楽天モバイル
- AppleのApple Music
- メルカリのmercanやmercari careeers
こちらのロゴがいわゆる「サービス ロゴ」です。
ロゴ作成の基礎知識
サービスロゴに限らず、どのようなロゴを解説する際にも欠かせない基本的な知識があります。ここでは、その必要な知識について解説していきます。
ロゴマークとは?
まず、ロゴマークとは、ロゴとシンボルをすべて含めた総称を指します。
ロゴマークは主に以下の2つの要素に分けられます:
ロゴタイプ
ロゴタイプは、企業名やブランド名を表現する文字部分を指します。一見ただの文字に見えるかもしれませんが、ブランディングやマーケティングにおいて非常に重要な役割を果たします。企業名を記憶に残すためには、フォントや色で個性を際立たせることが求められます。例えば、ダイソンのロゴはシンプルで読みやすいフォントを採用することで、製品の個性やブランドイメージを効果的に表現しています。
ロゴタイプのフォントに関しての情報は以下の記事から!
シンボルマーク
シンボルマークは、イラストや図形を用いて企業やブランドのイメージをクリエイティブに表現したものです。製品に使用される際には、コンパクトで視覚的に訴求力のあるロゴとして機能します。例えば、Appleの「りんご」のロゴは、企業名と企業イメージを効率的に象徴する、優れたシンボルマークと言えるでしょう。
サービスロゴを作る重要性
ロゴの基礎知識を理解したところで、次にサービスロゴの重要性について解説します。サービスロゴが重要である理由は多くありますが、主に「サービスの独自性」と「認知度の向上」が挙げられます。
例えば、ある有名な企業が新しいサービスを提供し始めたとしましょう。このサービスにロゴやクリエイティブな要素がなかった場合、どれだけ優れたサービスであっても、他の類似サービスと差別化するのが難しくなります。さらに、顧客にとっても、そのサービスを記憶に留める決定的な要素が欠けてしまうため、リピーターの獲得が難しくなるでしょう。
つまり、サービスロゴの重要性は、サービスの差別化を図り、顧客に覚えてもらうことで、独自性と認知度を向上させる点にあります。どれほど優れたサービスでも、顧客の記憶に残らなければ、その効果を十分に発揮することはできません。
ロゴ制作の流れ
理念や思想の言語化
ロゴデザインを制作する際には、前段階の整理が非常に重要です。具体的には、以下のような点を明確にする必要があります。
- 「そのブランドが描きたい未来は何か」
- 「ブランドが大切にしている想いは何か」
- 「どのようなビジネスニーズを狙い、ブランドの立ち位置を確立していくのか」
こうした「ブランドにまつわる事柄」をしっかりと整理し、明確化した上で、ロゴに込めるべき意味を取捨選択していきます。
コンセプトに集約する
前段階を綿密かつ丁寧に紐解いた上で、「どのような核を持ったロゴを作るのか」を言語化し、関係者と擦り合わせていきます。
このプロセスがブランド戦略に基づいていない場合、どれほど見た目が優れたロゴであっても、それは単なる装飾に過ぎず、自社の象徴となるロゴにはなり得ません。
例えば、メルカリの場合は「箱から飛び出すワクワク」、クラシルの場合は「Actionable / Understanding / Moving」といったように、経営者やブランド責任者との対話を通じて、ロゴおよびブランドに込めるべき核となるコンセプトを定義します。
ロゴを作成
定義したコンセプトをもとに、いよいよロゴ制作を進めていきます。
このフェーズでは、「コンセプトをより的確に表現できているデザインはどれか?」という視点から、数多くの案を制作します。そして、その中から視認性、象徴性、独自性といった様々な観点で案を絞り込み、さらにブラッシュアップを重ねて完成形に近づけていきます。
この工程では、これまでに調査し定義したコンセプトという抽象的な概念を、顧客にとって分かりやすく伝えるための具体的なコミュニケーションツールとして形にすることが求められます。この段階こそ、デザイナーの腕の見せ所でもあります。
また、最終段階では、商標や著作権、意匠権などの法律上の問題がないかどうかを必ず確認し、安心して使用できるロゴに仕上げます。
ビジュアルアイデンティティ生成
最後に、ビジュアルアイデンティティ(V.I.)を制作します。
ビジュアルアイデンティティとは、ブランド全体のビジュアル表現を統一するための指針であり、ルールを定めたものです。ロゴだけを制作してほしいと考えている方にとっては、「なぜそこまで細かく決める必要があるのか?」と疑問に思うかもしれません。
しかし、このビジュアルアイデンティティを策定しないと、新しいクリエイティブを制作するたびに、製作者がロゴやコンセプトを自由に解釈してしまう可能性があります。その結果、せっかく多くの想いや戦略を込めて制作したロゴが一貫性を失い、顧客が受ける印象がバラバラになることも起こり得ます。
たとえば、スターバックスコーヒーでは、こうしたバラバラな印象を避けるために、自社のブランドアイデンティティを明確に定義し、それをWeb上で公開しています。これにより、誰でもそのガイドラインにアクセスできるようにし、「スタバらしさ」を保つ仕組みを整えています。このような取り組みの積み重ねによって、「ちょっと休憩したいから、雰囲気も良いしスタバに行こう」という顧客の想起や共感を生み出しているのです。
ロゴ製作に関しては、以下の記事もご覧ください!
セブンデックスのサービスロゴ制作事例
宅配クライシスと呼ばれる社会課題の解決に向き合う「OKIPPA」。
自宅に宅配ボックスがなくても、簡単な設置で自分専用の宅配ボックスを持つことができるバッグと、荷物の配送状況を管理できるアプリを提供しています。
セブンデックスは、創業当初からデザインパートナーとしてOKIPPAの成長を支援しています。UXデザイン、UIデザイン、グロースハックなど、プロダクトにデザインが関わるあらゆる領域をサポートしており、OKIPPAの成長に寄与しています。
また、シード期からの支援により、目指すべき方向を共に模索しながら、紆余曲折を経てプロダクトの成長戦略をリードしてきました。
VIデザイン(ロゴデザイン)
OKIPPAのリニューアルに伴い、ロゴも新しくしました。
OKIPPAのイニシャルと、切れ目のないつながる世界をイメージしたデザインを採用し、刷新しています。ロゴデザインでは、「ビジョンやサービス提供への想い」と「サービスの想起性、アイコンとしての役割」という、表現と機能の両軸を設計の要として考慮しました。このアプローチに基づき、新たなロゴを提案しました。
実は裏話として、このロゴ制作は当初プロジェクトのスコープには含まれていませんでした。しかし、リニューアルに際してユーザーに新鮮な印象を与えるにはロゴの変更が不可欠だと考え、独自に提案しました。その結果、気に入っていただき、正式に採用していただくことができました。
参考:
サービスロゴ作成する上での注意点・重要ポイント
似ているデザインに要注意
クリエイティブな作業ではインスピレーションを追求することが多いですが、インスピレーションを受けたロゴデザインと似せないようにすることが非常に重要です。これは当たり前のように思えるかもしれませんが、ロゴが他社のものと似てしまうと、ロゴの持つ独自性や認知度が大きく損なわれてしまいます。
さらに、デザインが他社のレギュレーションに抵触した場合、法的なトラブルに発展する可能性もあります。最悪の場合、法廷での争いに発展する恐れもあるため、注意が必要です。
ロゴ制作では独自性を最優先し、他社と一線を画すデザインを心がけることで、ブランドの価値を守りつつ、トラブルを未然に防ぎましょう。
ガイドラインやレギューレーションを決める
サービスロゴを作成した後には、「ロゴが勝手に使われていた」や「ロゴの解釈が誤っていた」といった状況を防ぐために、ガイドラインの作成が不可欠です。
ガイドラインでは、以下のような事項を明確にする必要があります:
- ロゴをどのような場合に他者が使用してよいか
- 社員がロゴを使用する際の条件や手続き
- 使用してはならないケースや禁止事項
これらのレギュレーションが定められていないと、ロゴの不適切な使用による企業イメージの損害やブランド価値の低下など、会社にとって深刻な被害を招きかねません。
ロゴの使い方やルールを明確に定め、誰もが簡単に理解できるガイドラインを作成することで、ロゴの一貫性を保ち、ブランドイメージを守りましょう。
ロゴガイドラインに関しては、以下の記事をご覧ください!
さまざまな場面で使われることを想定した物にする
ロゴやシンボルは、さまざまな場面で使用されます。たとえば、パッケージの隅、ウェブサイト、メール、名刺など、企業に関連するあらゆるものに活用されることになります。この点は、サービスロゴについても同様です。サービスに関連するすべての要素で使用されることを想定してデザインする必要があります。
そのため、ロゴのサイズ、フォント、色などを十分に考慮したデザインを作ることが重要です。これにより、どの媒体や状況でも一貫したブランドイメージを伝えることが可能になります。特に、多様なサイズや配色で使われる場面を念頭に置いて設計することで、視認性や適応性の高いロゴを実現できます。
ロゴ制作は専門家に任せよう
ここまでロゴ制作のプロセスについて解説しましたが、実のところ、Web上に溢れている既存テンプレートを少しいじることで、個人でも表層的なロゴ制作は可能です。
しかし、専門家にロゴ制作を依頼することで、以下の大きなメリットを得られます。
- ブランドに込められた想いや理念といった抽象的なものを、具体的なロゴマークに落とし込める
- ブランドの背景を把握する能力や、高い造形力で、競合と差別化したロゴマークを製作できる
- どんな媒体に載せても一貫性が保たれるようなロゴマークを製作することで、幅広いマーケティングチャネルでの露出における一貫したブランドイメージを保てる
- ブランディングの観点を持ったネーミングもできる会社では、より効果的に伝わりやすいネーミングから考えてもらえる
- ロゴだけではなく、ブランド全体のビジュアル表現を統一するための指針(V.I.|ビジュアルアイデンティティ)を制作できる会社もあり、より効果的なブランディングに繋げられる
会社の選び方
会社によっても、得意分野やできる範囲は様々です。そのため、簡単にで良いので以下の内容に対してどのような希望を持っているかをまとめておくと、会社を選びやすくなります。
- 得意なドメイン
- 予算
- どこまでやって欲しいのか などなど
ロゴデザインならセブンデックスのデザイナーに依頼
株式会社セブンデックスは、ブランディング・UXUIデザイン・マーケティング・DXと、幅広い支援を行う、デザイン&マーケティングカンパニーです。幅広いドメインでの実績と知識を持ち、老舗からスタートアップまで様々な企業のビジネス成長をロゴやブランディングの観点から支援を行っています。
また、ブランドの魅せ方やつくりかたについて戦略的に考えることにも長けており、ロゴ制作に限らず、企業理念の体系化やブランドネームの作成、ブランド全体のビジュアル表現を統一するための指針(V.I.|ビジュアルアイデンティティ)の制作なども行えます。
何ができるのか
ロゴ制作に限らない、抜本的なブランド改革。
得意なドメイン
製造業からサービス業、ITなど様々な業種に対応。
予算
詳細な金額は案件によっても異なります。金額の詳細が知りたい方はお見積りいたしますので、お問い合わせください。