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UXデザインの勉強法|初心者がアプリのコンセプト設計までやってみた

「UXデザインを学びたいけど、デザインに関わったこともないし、どうやって学べばいいかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
最近は世間的にもUXデザインに対する関心が高くなっており、私もUXデザインに興味を持った一人です。現在はインターンとしてUXデザインについて学んでいますが、はじめはどこから手を付けたらいいかわかりませんでいた。

しかし、UXデザインを勉強していく中で、実践してみることがUXデザインを身に着ける近道だと気が付きました。
そこで、今回はUXデザイン初心者の私が、実際にアプリのコンセプト設計までをしてみました!

UXデザインの基本

UXデザインとは、User Experience(ユーザー体験)をDesign(設計する)ことであり、サービスがユーザーに提供する一連の体験を設計することを指します。

「サービスが提供する体験」とは、例えば飲食店であれば、「お店に入店する→席に座る→メニューを見る→注文する→料理が届く→料理を食べる→会計をする」という一連の流れのことになります。さらに、お店を出た後の満腹感であったり、幸福感もお店が提供した体験になります。なので、実はUXデザインとは、かなり広い範囲の体験を設計することなんです。

よくUXデザインと間違われやすいのが、UI(User Interface)デザインです。UXとUIの違いを一言で表すと、「UXは線、UIは点」であるということです。先ほど説明したように、UXは、体験の一連の流れを指します。一方でUIは、ユーザーとサービスの接点(飲食店の例だと、メニューなど)を表しています。

UX/UIデザインはビジュアルデザインも含まれるため、専門的な技術が必要になりますが、UXデザインはサービスの体験そのものを設計することであり、本来みんなで考えるべきものなのです。

ノンデザイナーの人でもUXデザインを学ぶメリット

UXデザインとビジネス

UXデザインの基本的なスタンスは「徹底的にユーザー目線を持つこと」です。UXデザインでは常に、ユーザー第一で考えられます。しかし、それは決してユーザーの意見をうのみにし、ユーザーにとって都合のいいサービスを作ることではありません。UXデザインにおけるユーザー目線とは、ユーザー以上にユーザーのことを知り、ユーザーすら気が付いていない目的や課題、感情の源泉を探ることです。

何かのサービスを作る以上、そのサービスが利益を上げることは不可欠です。しかし、利益のことばかり考えいては、ユーザーに愛されるサービスにはなりません。ユーザーのことを深く知り、考えつくしたうえで、「ユーザーが気持ちよくお金を払える」ようなサービスにしなければならないのです。

エンジニアやマーケターがUXデザインを学ぶと・・・?

UXデザインのスタンスを学ぶことはどんな職種の人にとっても役に立ちます。

例えば、エンジニアの人であれば、サービスの上流の設計を知るきっかけになります。UXデザインのスタンスを持ち、「今自分が担っている作業はユーザーにどんな影響を与えるのか」「なぜこのような設計になっているのか」を考えることで、視座を一段階上げることができます。また、UIデザイナーなど、他のチームのメンバーとも話がスムーズに進み、エンジニアの目線からさらにサービスを良い方向に改善できるかもしれません。

また、マーケターの人も定量・定性的な分析に加え、実際にプロダクトの開発に関わるUXデザインの領域を学ぶことで、視野を広げることができます。

UXを学ぶには実践がカギ

実は私も大学やスクールでUXデザインを学んでいるわけではなく、独学で学んできました。
その中で感じたのは、「実際に自分でアプリ改善やサービスを考えてみることが大切だ」ということです。
UXデザインは概念であり、いくら知識があっても、その姿勢や考え方を実際に身に着けられなければ意味がありません。

そこで、UXデザイン初心者の私が実際に音楽アプリのコンセプト設計をしてみました!ビジネスとして成り立つのかは置いておいて、「こんなアプリがあったらいいのにな・・・」というところから作っていきます!

皆さんは音楽アプリを使っているとき、どんなことを感じますか?
私は、「もっと新しい音楽に出会えるようなアプリがあったらいいな…」と感じていました。
この課題を解決できる新しい音楽アプリを考えていきたいと思います!

実際にアプリを考えてみた

全体の流れ

  1. ユーザーリサーチ
  2. ペルソナ
  3. ユーザーインタビュー
  4. カスタマージャーニー
  5. 提供価値の定義
  6. コンセプト設計

①ユーザーリサーチ

まずはユーザーリサーチを行い、音楽アプリにおいて、ユーザーがどのようなことを感じているのか調査していきます。この中で、私の立てた「ユーザーは新しい音楽に出会えていないのではないか?」という仮説を検証していきます。

実際にユーザー40人にアンケートを実施しました。

アンケートの結果、「新しい音楽と出会えていますか?」という質問に対し、40人中33人が「出会えていない」と回答する結果になりました。また、「どんな時に楽しいと感じますか?」という質問に対して、「友達と音楽を共有できた時」という声が多く寄せられました。

②ペルソナの作成

次に、ユーザーについて深く理解するため、ターゲットとなるペルソナを作成します。

ターゲットとなる「新しい音楽に積極的に出会いたいと感じている人」をもとにペルソナを作ります。
ペルソナは以下の通りです。

詳しいペルソナの作り方はこちらから!

③ユーザーインタビュー

ユーザーインタビューでは、「新しい音楽と出会うこと」に対しての深掘りを行っていきます。
「新しい音楽を探すときにどうしていますか?」
「新しい音楽に出会いたいと感じるのはどんな時ですか?」
以上の二つの質問を中心にインタビューを行いました。

この結果から、新しい音楽は友達との「共有」から多く得られていること、聴きたい音楽は「気分」に左右されていることがわかります。

詳しいユーザーインタビューの説明はこちらから!

④カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップでは、「ユーザーがどんなシーンでどのような課題を感じているのか」を整理します。
カスタマージャーニーマップを作るときのポイントは、ペルソナになりきって、アプリを使っている状況を想像して書くことです。

作成したのがこちらです。カスタマージャーニーマップからも、音楽を見つける段階に課題があることが示されています。

カスタマージャーニーマップの詳しい作り方はこちらから!

⑤提供価値の定義

調査が一通り終わったら、その結果を基にアプリが提供する価値を定めます。

提供価値を定義するためには、まず、ユーザーインタビューやカスタマージャーニーマップなどの調査結果を基に、ユーザーの本質的な目的を定義する必要があります。

ここで注目したのは音楽を聴くときの「気分」です。ペルソナは、聴きたい曲を選ぶときの基準として「気分」を上げています。では、なぜ「気分」が大事なのでしょうか?

一度角度を変えて考えてみましょう。
「あなたは失恋したとき、どんな曲を聞きますか?」
多くの人が、「失恋について歌っている曲を聴く」と回答するのではないでしょうか?失恋した悲しい「気分」に寄り添ってくれる曲を聴きたいですよね。

このように、私たちは音楽に感情移入したり共感することで、今の自分の気持ちを確かめたり、コントロールしようとしています。音楽を聴くユーザーの本質的な目的は「共感」なのです。新しい音楽を見つけたいのも、自分の知っている音楽に「共感」できる音楽が存在しないからなのです。よって、今回は以下のように提供価値を定めました。

ユーザーが「共感」できる新しい音楽を提供する

⑥コンセプト設計

コンセプト設計では、提供価値を実現できるようなコンセプトを考えていきます。従来の音楽アプリの課題を踏まえた上で、新しいアプリの機能を考えていきます。

カスタマージャーニーマップをみてみると、従来の音楽アプリの課題は2つあります。

  • 新しい音楽の見つけ方がわからない
  • 音楽を共有するのに手間がかかる

そこで、音楽の検索条件を多様化したらいいのではないかと考えました。
例えば、従来の音楽アプリでは、「カテゴリ」「ランキング」「気分に合わせたプレイリスト」「よく聞く曲に似や曲の提案」などによって、新しい音楽との出会いを提供していました。しかし実際は、新しい音楽に出会うことは難しいのが現状です。

そこで今回は、「「共有」という要素を加えることで、新しい音楽の見つけ方を提供しよう!」と考えました。「共有」することは調査結果からもユーザー間で慣例になっていることがわかっており、友達と音楽を「共有」することで、お互いに「共感」することができるのではないでしょうか?

コンセプトや機能が決まったら、ワイヤーを作成し、プロトタイプを作成して・・・という流れになりますが、今回はここまでにします。初心者の方にとっては、ここまでの段階でもUXデザインに対する理解が深まったのではないでしょうか?

実践してみて感じたこと

実際にアプリのコンセプト設計をしていて感じたのは、徹底的にユーザーの目線に立って考えることの難しさです。ユーザーインタビューやカスタマージャーニーマップをはじめ、ユーザーのインサイトをより深く知り、ユーザー自身も意識していない本質的な目的を見つけることの難しさを感じました。

今回は、ユーザーリサーチ、ユーザーインタビュー、カスタマージャーニーマップを行いましたが、実際には状況や要件に応じて様々な手法がとられます。しかし、どんな順番や手法で行ったとしても、UXデザインにおいて「ユーザー目線」が必ず中心になるのは変わりません。また、今回はマネタイズなどの「ビジネス目線」はあまり考慮していませんでしたが、現場では「ユーザー目線」と「ビジネス目線」の両方を持つことがとても重要であることも忘れてはいけません。

おわりに

UXデザインの考え方を身に着けるには、実践することが最も大切です。

皆さんも、まずは「こんなアプリあったらいいな・・・」というところから始めてみてはいかがでしょうか?

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