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採用ブランディングとは?目的や作成方法、事例をわかりやすく解説!

近年、注目されている採用ブランディングですが、企業の人事担当者様は、年々激化する採用競争に頭を悩ませているのではないでしょうか。

こうした背景をもとに、今回は採用ブランディングの目的から作成方法、事例まで今日から実践できるようにわかりやすくまとめました。

・採用ブランディングをこれから手がけたいがやり方がわからない…

・求職者が増えず困っている…

・入社後の定着率やエンゲージメントが低い…

これらのお悩みをお持ちの方に大変役立つ情報となっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

採用ブランディングとは?

採用ブランディングとは、求職者からの認知度や入社意欲を高めるための採用戦略を指します。それによって、企業の魅力や特徴を正確に発信することができ、効率的に優秀な人材を惹きつけることが可能です。

採用ブランディングが注目される背景

売り手市場で人材獲得競争が激化

売り手市場とは、求職者の数に対して求人数が超えている状態のことを指します。つまり、売り手市場において、企業側は人材獲得競争が激化します。

2024年 有効求人倍率

参考:株式会社リクルート

上記の図は、2024年新卒における有効求人倍率など採用市場を表した図です。民間企業の求人総数が77.3万人なのに対して、民間企業就職希望者数は45.1万人と、求人総数が32.2万人の超過供給となっています。

そのため、競合他社との差別化戦略の一つとして、採用ブランディングを導入する企業が増えているのです。

人的資本開示による影響

2023年から、人的資本開示が義務化されたことにより、上業企業4000社が多角的な組織情報を開示することが必要になりました。VUCAの時代において、商品やサービスの質だけでなく、人材の重要性が増し、人材を一つの資本としてみなすようになりました。その結果、投資家は、人的資本の情報を見ることで企業の経営状態を評価するようになっています。

これらの背景から、採用ブランディングは投資家から評価される一つの重要指標となっているのです。

Z世代を筆頭に価値観の多様化

IT化が加速したことに加えて、個人の価値観は多様化するようになりました。それによって、求職者が企業に求めることが変化しています。かつては、会社の規模や待遇、安定性、給与が重視されていましたが、近年はビジョンやカルチャーなどが特に重要視されています。

採用ブランディングは、企業の魅力や想いを求職者に効率的に伝える戦略であり、これらの背景から重要性を増しています。

採用ブランディングに取り組むメリット

1.質の高く、多くの候補者を集められる

採用ブランディングに取り組む大きなメリットとしては、企業認知度の向上があげられますが、それだけでなく質の高い候補者を集めることが可能です。

求職者は、企業を検討する上で、雇用条件や企業認知度だけに頼らず、企業のビジョンやカルチャーへの共感を元に検討することになります。すぐに採用に結び付かずとも、企業のビジョンやカルチャーを伝え続けることで、そこに共感してくれる潜在的な求職者を増やすことにも繋がります。

2.企業のブランドイメージの構築が可能

求職者が就職活動中に抱いた企業へのイメージは、実際に採用に繋がらなくとも、求職者にとっての企業イメージを醸成することになります。

採用で発信するメッセージは、求職者以外にも届くので、採用ブランディングが会社全体のブランドイメージの構築にも繋がります。

3.中長期的に効果がある

採用ブランディングは、時間のかかる施策ではある一方、中長期的に効果があるという点でメリットがあります。

ブランディングという活動は、ブランド認知を候補者の中で時間をかけて構築していってもらうものです。そのため時間がかかりますが、そのブランド認知が簡単に変わることはありません。

そのため一度採用ブランディングを行うと、中長期的に効果が出続けるのです。

4.採用後の定着率

採用ブランディングによって、企業へのビジョンやカルチャーへの共感を持って入社している点から、ミスマッチを防ぐことができます。それが結果的に、採用後の定着率向上につながります。入社前から抱いた、企業への共感や誇りは、エンゲージメントを向上させることにも繋がります。

採用ブランディングに取り組んだ成功事例

セブンデックス支援事例

株式会社Speee

Speee 採用ブランディング

セブンデックスでは、株式会社Speee様の新卒採用強化にあたり、採用戦略の策定からブランドイメージの明確化、戦略を実現する採用サイトの制作まで一気通貫でのご支援を行いました。

弊社が強みとする、一気通貫でのご支援により戦略の中で正しく機能するサイト制作を実現することができました。

▼株式会社Speee様を支援させていただいた、具体的な詳細はこちらから

東レエンジニアリング株式会社

東レエンジニアリング ブランディング

東レエンジニアリング様のブランド強化にあたり、ブランドアドバイザーとしてブランド理念策定と理念浸透施策を推進するためのご支援を行いました。

ブランドの理念策定の策定だけでなく、理念を全社員に浸透させていくための施策検討に対する支援を行いました。カルチャーブックやムービーを活用して理念浸透を仕掛けていくにあたり、戦略的な理念浸透プロセスに基づいた施策設計のご支援を行いました。

▼東レエンジニアリング株式会社様を支援させていただいた、具体的な詳細はこちらから

その他会社の成功事例

メルカリ

メルカン

メリカリは、オウンドメディア”mercan(メルカン)”によって、採用ブランディングを成功させました。mercanは、「社外と社内の情報のイメージ格差をなくし、入社後のミスマッチをなくす」という目的で立ち上げられました。メルカリの組織でも、プロダクトでもなく”人”に起点を起きブランディングをすることで、イメージ格差がなくなるように設計されています。創刊からたったの2年半で1000本以上の記事を公開し、創業して5年で1000人規模の企業に成長しました。

SmartHR

SmartHR

SmartHRでは、面接で使う会社紹介資料をWeb上に公開しています。資料には、福利厚生や給与テーブル、供給額なども掲載されています。実際に、資料公開から1年経たずして閲覧数は39万回を超え、応募数も5.3倍にすることに成功しています。求職者に対して、社内情報の透明性にこだわることで、3年半で100人以上の採用にも成功しています。

採用ブランディングの進め方【プロが解説】

ここでは、採用ブランディングの進め方について解説していきます。弊社(株式会社セブンデックス)の社員によるインタビューも掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

採用ブランディング 進め方

1.採用ターゲット・ペルソナの策定

採用ブランディングをはじめる第一歩としては、自社が求めるターゲット・ペルソナを設定します。自社が求めるターゲットペルソナを言い換えると、「採用したい理想の人物」と捉えられるでしょう。

自社のターゲット・ペルソナを明確にすることで、一貫性のある情報発信やターゲットに刺さるコンテンツが考えやすくなります。

ターゲットを詳細に理解するためには、以下のようなペルソナの設定が有効的です。

ペルソナ

ペルソナを詳細に設定し過ぎてしまうと、ターゲットとする求職者の母数が少なくなってしまうので注意しましょう。また、ペルソナを設定する際は、会社内で活躍している社員を参考に設計するとよいでしょう。

2.バリュープロポジションの設定

バリュープロポジション

バリュープロポジションとは、自社が提供でき、競合が提供できず、顧客が望む提供価値のことを指します。

最も伝えたい自社の強みを言語化するフレームワークとして用いられています。

バリュープロポジションを作るためには以下の順番で進めると良いでしょう。

1.顧客が望んでいる価値

顧客が望んでいる価値を言語化するためには、①顧客が実現したいこと②顧客のメリット③顧客の課題を可視化していきます。

2.自社が提供できる価値

次に、自社が提供できる価値としては、①自社が提供するサービス②顧客へ利益をメリットを与える要素③顧客の課題を解決するものの3つを明確にしていきます。

3.競合他社が提供できない価値

最後に、競合他社に関してはベンチマーク企業を5社ほど設定しましょう。そして、これら5社の競合が顧客に提供している価値を言語化していきます。

これらの3つの観点から分析することで、バリュープロポジションを見つけていきます。そして、そのバリューポジションがターゲットの心に響くか、どんな反応が予測できるかを仮説立てして、顧客の反応を見ながらPDCAを回すと良いでしょう。

3.採用コンセプトの立案

採用コンセプトとは、求める人材の質や特性を定義し、企業文化に合致する適切な人材を選抜するためのガイドラインとなります。採用コンセプトを設定することで、コンセプトがチームの指針となります。この採用コンセプトを軸にすることで、求職者に対して一貫性のあるメッセージを届けることができます。

これまで、ターゲット・ペルソナ設定で「誰に」、バリューポジションでは、「なにを」を言語化し、競合との差別化ポイントを可視化してきました。あとは、これらを元に採用コンセプトに落とし込んでいきます。

この時、以下の要素を含んだ採用コンセプトを作成できると求職者の印象に残りやすくなります。

  • Simple(明解性):分かりやすいか。
  • Originality(差別性):競合との違いはあるか。
  • General(普遍性):陳腐化しないか。
  • Sympathy(共感性):共感できるか。

採用コンセプトが完成したら、上記の要素が含まれているかを最後に確認すると良いでしょう。

4.チャネルの設定

採用コンセプトを策定できたら、より多くの求職者に伝えるために「体験の量」と「体験の一貫性」を強化していきましょう。

採用チャネルの候補としては以下のものがあげられます。

  • 採用サイト
  • 採用向けオウンドメディア
  • SNS(X, Facebook, Instagram, Youtubeなど)
  • 人材紹介
  • 求人広告

採用チャネルを選択するときには、求職者のターゲットは何で、どのチャネルと相性がいいのかを見極めるようにしましょう。

自社に合った採用チャネルの見極め方は次の章にて解説していますので、そちらをご覧下さい。

近年、IT技術の発達によりチャネルの数は多様になりました。チャネルの数が増え、「体験の量」を増やすことが容易になった一方、「体験の一貫性」の維持は難しくなっています。一貫性を損なわないために、採用コンセプトを定期的に見直すといいでしょう。

5.検証と改善

採用チャネルの設定が終わったら、あとは検証と改善のサイクルを回すだけです。策定したバリュープロポジションや採用コンセプトが求職者に対して適切に届いているかを定期的に検証していきます。

そのとき以下の情報を収集すると良いでしょう。

  • 求職者へのインタビュー
  • SNS上での口コミ
  • インターンシップ後のアンケート
  • 口コミサイトのコメント

これらの情報も参考にしながら、検証と改善を回していきましょう。

採用ブランディングのプロセスに関しては、以下の記事にて、詳細に執筆されているのでぜひご覧下さい。

セブンデックスのPMにインタビューしてみた!

採用ブランディングにおいて、進めるときのポイントはありますか?

進めるときのポイントとして二つあります。

一つ目は、事業戦略から採用戦略へ落としむときに、論理性と情理性のバランスを取ることです。事業戦略と採用戦略の間にロジックだけが繋がっている状態では、実際にどのような候補者を募れば良いのかがイメージし切ることができません。二つの戦略のつながりの解像度を上げるためは、実際に社内にインタビューを取ることで定性的な情報を得ることが非常に有効な手段となります。そのため、定量的な情報と定性的な情報をそれぞれ使い分けることで、事業戦略と採用戦略の結び目にずれをなくすことができます。

二つ目は、カスタマージャーニーマップを使って候補者の採用までのフローを可視化したことです。採用サイトのコンセプトを大きく刷新したい場合、採用サイトに訪れるペルソナはどういった流れで来るのか、どのように回遊させて候補者体験を上げるのか、といった観点が重要になります。改めて採用までのフローを可視化することで、どの観点で候補者体験を上げるべきかボトルネックを特定することができました。

▼カスタマージャーニーマップに関しては以下の記事に執筆していますので、ぜひ参考にしてください。

採用コンセプトを考えるときに意識していたことはありますか?

支援させていただくクライアントさんによっても違いはありますが、複数あるペルソナと候補者の層(アッパー層やミドル層など)の二つの観点を考慮することです。採用サイトなど、選考中に何度も訪れる場所において、コンセプトは重要な役割を果たします。その際に、コンセプトが一方のペルソナや候補者の層に偏っていたら候補者離れを引き起こすことに繋がります。

採用ブランディングに有効なチャネル、発信手段

ここでは、自社の採用コンセプトに合ったチャネルを選ぶ上で理解しておくべきポイントを紹介していきます。

採用サイト・採用オウンドメディア

採用サイト・オウンドメディア

採用サイト・採用オウンドメディアは、自社の魅力を自由に発信できる点が魅力的です。求職者に伝えたい情報や想いを直接届けることで、深いコミュニケーションが可能になります。

先ほど紹介した、メルカリの”mercan”は”人”を軸に社内の情報を発信することでたくさんの求職者を集めることに成功しました。

SNS

SNS

近年、経営者や人事担当者が実名アカウントで採用ブランディングを行うことが増えてきました。SNSの最大の魅力は、幅広い潜在層にアプローチできること、そして求職者と密にコミュニケーションが行えることです。企業としてのSNS運用だけでなく、社内の人が積極的に発信することで、企業の魅力を伝えることができます。

人材紹介

人材紹介

人材紹介会社から、求職者を紹介してもらうこの手法では、労働コストをかけずに条件に合致した人材に出会うことができます。リソースを割かずに効率的に求職者を集めることができる点で魅力的です。

人材紹介会社の多くは成果報酬型を採用しており、採用した従業員の理論年収の30%ほどが成果報酬としてかかるので注意が必要です。そのため、一度に大量の人材を採用しなけらばならない場合は向いていません。しかし、労働コストを下げたい場合や、採用ミスマッチの問題を解消したい場合は有効的な手段になります。

求人広告

求人広告

求人媒体に自社の求人情報を掲載する手法です。不特定多数にアプローチできる点で魅力的です。掲載するためには、掲載料が月額20万円ほどかかるので、コストが懸念点となります。しかし、一度に大量採用をしなければならない場合には、非常に有効的な手段となります。

採用ブランディングのおすすめの本

採用ブランディングのためのデザイン&コンテンツ

採用ブランディングのためのデザイン&コンテンツ

本書では、採用ブランディングにおいて使えるデザイン事例集です。メディアや採用サイト、動画などの採用チャネルにおけるクリエイティブの数々が紹介されています。さらに巻頭には、ブランディング戦略の立案からコミュニケーション設計、ツールの目的設定に至るまで、採用ブランディングのコツやアイデアが余す所なく紹介されています。

採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの

採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの

本書は、マッキンゼーの人事採用マネジャーを10年以上務めた著者によって書かれました。

ここでは、延べ数千人の学生と面接してきた著者が、本当に優秀な人材の条件を説くとともに、日本社会にいまこそ必要な人材像を明らかにされています。

そして、日本企業がグローバルで成長するために求める人材が日本の現在の採用制度、はたまた教育制度で果たして育つのか。そういった点に投石される一冊となっています。

こちらは、直接的に採用ブランディングについて述べられた本ではありませんが、採用ブランディングを進めていく上で役に立つでしょう。

知名度が低くても〝光る人材〟が集まる 採用ブランディング 完全版

知名度が低くても〝光る人材〟が集まる 採用ブランディング 完全版

本書では、採用ブランディングによって、エントリーが少ない、内定辞退が多い、集まる人材の質が低い、社員が定着しないなどの課題をたった数ヶ月で劇的に変える手法を紹介しています。採用成功の”21の法則”から、効果のでる採用サイトの作り方まで徹底解説されています。

実践・採用ブランディング

実践・採用ブランディング

本書では、どのような会社でも“働きたい”と思われる状況を作りだす採用ブランディングのノウハウが執筆されています。これまで100社以上の採用支援のある著者によって、ノウハウが解説されています。

また、リクルート、ソフトバンク、サイバーエージェント、総研ホールディングス、竹村コーポレーション、金井重要工業にも取材を行い、規模や知名度に関係なく、選ばれる会社は何をしているのか。についても書かれている本です。

採用ブランディング支援ならセブンデックス!

弊社(株式会社セブンデックス)では、企業様向けに採用ブランディングの支援をしております。弊社が強みとする、UIUXデザイン・ブランディングでは、戦略から実行まで一気通貫して支援することができます。

採用ブランディングにおいて、課題をお持ちの企業様はぜひ弊社(セブンデックス)にご相談下さい。

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バンクーバー留学中に留学業界の情報の非対称性を解消するプラットフォームサービスを代表として立ち上げを経験。その後、デジタルマーケティングやデザイン業務を従事していく中で、セブンデックスの事業領域やカルチャーに共感し、インターンとして入社。日本大学商学部マーケティングコース在籍。