情報整理や分析、戦略立案で役立つ「マーケティングフレームワーク」。3CやSTP、4Pなどは知っていても、「どれをどの順番で使うか」「どう施策に落とすか」で迷いやすいのが実情です。
そこで本記事では、代表的なフレームワーク14選を厳選し、活用シーンの早見表と基本のロードマップ(外部→現状→戦略→施策→接点)で整理しました。各フレームの使いどころと注意点を押さえながら、実務で使える形にまとめます。
目次
マーケティングフレームワークとは?
マーケティングフレームワークとは、情報を整理し、現状を分析し、戦略や施策の方向性を決めるための「思考の枠組み」です。マーケティングは顧客・競合・自社に加えて、市場環境や購買行動など考える要素が多く、論点が散らばりやすい領域でもあります。
フレームワークを使うことで、何を確認すべきかが明確になり、抜け漏れを減らしながら意思決定を進めやすくなります。
一方で、フレームワークは当てはめれば答えが出るものではありません。目的が曖昧なまま使うと、きれいに整理しただけで終わってしまったり、都合のよい情報で結論を作ってしまったりすることもあります。大切なのは「何を決めたいのか」を先に置いたうえで、必要な枠組みを選び、判断に使うことです。
フレームワークとテンプレの違い
フレームワークとテンプレートは似ているようで役割が違います。フレームワークは「何をどう考えるか」を整理するための枠組みで、論点の出し方や情報の切り分け方を助けてくれます。一方、テンプレートは「どう書くか・どうまとめるか」を整える型で、企画書やレポートのフォーマットのようなものです。
テンプレートだけを埋めても、前提や判断の根拠が曖昧だと内容が薄くなりがちです。まずフレームワークで考える順番と論点を整理し、その結果をテンプレートに落とし込む。この順に進めると手戻りが起きにくくなります。
マーケティングフレームワークのメリット・デメリット
フレームワークは、マーケティングの判断を助ける便利な道具です。ただし、使い方を間違えると逆に遠回りになることもあります。ここでは、メリットとデメリット(注意点)を先に押さえておきます。
マーケティングフレームワークのメリット
マーケティングフレームワークのメリットは、情報整理・分析・戦略立案の流れを「型」として持てることです。顧客・競合・自社、市場環境など、考える要素が多い中でも、見るべき観点が揃うため、抜け漏れや思い込みを減らしながら現状を整理できます。
また、マーケティング特有の思考パターンや分析の手順が身につく点も大きいです。結果として「何が課題で、どこを変えれば成果に近づくか」が見えやすくなり、施策の精度が上がりやすくなります。
マーケティングフレームワークのデメリット
フレームワークは便利ですが、当てはめ方を間違えると逆効果になります。よくあるのは「埋めること」が目的化して、整理しただけで判断や施策につながらないケースです。
また、情報が不足したまま使うと、顧客理解や競合比較が浅いまま結論を出してしまい、精度が落ちます。最初に「何を決めたいのか」を明確にし、目的に合う枠組みを選んで使うことが大切です。
マーケティングフレームワークの活用シーン別分類
以下では、マーケティングフレームワークを「何を決めたいか(活用シーン)」ごとに分類しました。まずは自分の状況に近い分類から見て、該当するフレームワークを押さえるのがおすすめです。
| 活用シーン | 該当フレームワーク |
|---|---|
| 思考整理・課題の切り分け | MECE、ロジックツリー |
| 外部環境・業界構造を把握 | PEST分析、5F分析 |
| 現状(顧客・競合・自社)を整理 | 3C分析、SWOT分析、クロスSWOT |
| 戦略(誰に・どう勝つ)を決める | STP分析、ポジショニングマップ |
| 施策を設計し、顧客視点で点検 | 4P、4C |
| 購買行動・接点を設計する | AIDMA、AISAS、カスタマージャーニー |
なお、フレームワークは単体よりも組み合わせて使う方が効果が出やすいケースが多いです。次章では、全体の基本的な使う順番(ロードマップ)を整理します。
マーケティングフレームワークを使う順番(ロードマップ)
マーケティングフレームワークは、思いついたものから使うよりも、基本の流れに沿って整理した方が迷いません。大枠は「外部を見て、現状を整理し、戦略を決めて、施策に落とし、接点で形にする」という順番です。

この順番はあくまで「迷わないための型」です。目的によっては一部だけ使ったり、前の工程に戻って見直したりします。
代表的なマーケティングフレームワーク14選
ここからは、マーケティングでよく使われる代表的なフレームワークを14種類に絞って紹介します。どれも単体で完結するというより、目的や状況に応じて組み合わせて使うことが前提です。各フレームワークは、概要と活用場面、使うときの注意点を中心に要点だけをまとめます。
PEST分析
PEST分析は、自社を取り巻く外部環境を「政治(Politics)/経済(Economy)/社会(Society)/技術(Technology)」の4つの視点で整理するフレームワークです。市場や顧客の前提が変わっていないかを確認できるので、新規事業の立ち上げ時や、既存施策が伸び悩んだときの出発点としてよく使われます。
進め方はシンプルで、まず4視点で要素を洗い出し、その後に「自社に影響が大きいもの」「起こりそうなもの」に絞り込みます。情報を集めすぎると分析が広がって止まりやすいので、対象(どの市場・どの期間の話か)を先に決めてから着手すると実務で使いやすいです。
PEST分析は単体で結論を出すというより、次の5F分析や3C分析につなげるための前提整理として扱うのがスムーズです。
5F分析(ファイブフォース)
5F分析(ファイブフォース)は、業界の競争の厳しさや「利益を出しやすい構造か」を、5つの力で整理するフレームワークです。市場が伸びていても、価格競争が起きやすかったり参入が簡単だったりすると、利益は残りにくくなります。
見る観点は以下の5つです。
①業界内の競争
②新規参入の脅威
③代替品の脅威
④買い手の交渉力
⑤売り手(供給者)の交渉力
ここでの目的は「勝てる施策」を決めることではなく、どこで消耗しやすいか、勝ちにくさの理由を把握することにあります。その後、3C分析などで具体的な顧客・競合・自社の状況に落とし込むと判断に使いやすくなります。
3C分析
3C分析は、マーケティングの現状を「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つに分けて整理するフレームワークです。上の図のように3つの円で捉えると、どれか1つの視点に偏らずに状況を見直せます。
進め方としては、まずCustomerで「誰が顧客(見込み顧客)で、何を求めているか」を押さえます。次にCompetitorで「競合はどんな価値で選ばれているか」を整理し、最後にCompanyで「自社は何を強みにできるか/どこが弱いか」を確認します。この3つを並べることで、「顧客が求めていて、競合が満たしていて、自社が勝てていない部分」や、「自社の強みが刺さる余地」など、次に掘るべき論点が見えやすくなります。
注意点は、自社の思い込みだけでCustomerやCompetitorを決めてしまうことです。実際の声やデータ、具体的な競合事例を添えて整理すると、SWOTやSTPにつなげたときのブレが減ります。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の状況を「内部要因」と「外部要因」に分けたうえで、それぞれをプラス/マイナスで整理するフレームワークです。上の図のとおり、内部環境のプラスがStrength(強み)、内部環境のマイナスがWeakness(弱み)。外部環境のプラスがOpportunity(機会)、外部環境のマイナスが Threat(脅威)にあたります。
使いどころは、3Cなどで集めた情報を一度まとめて、「追い風をどう活かすか」「リスクにどう備えるか」の論点を揃えたいときです。ポイントは、強み・弱みは自社の中の話、機会・脅威は市場や競合など外の話として書き分けること。ここが混ざると整理しても判断に使いにくくなります。
また、SWOT分析はきれいに埋めて終わりになりやすいので、整理した内容を次の意思決定につなげる前提で使うのが重要です。たとえば「強み×機会」を起点に伸ばし方針を考えるなど、次のクロスSWOT分析やSTP分析に接続すると、施策に落とし込みやすくなります。
クロスSWOT分析
クロスSWOT(クロスSWOT分析)は、SWOTで整理した「強み・弱み(内部環境)」と「機会・脅威(外部環境)」を掛け合わせて、次に取るべき戦略の方向性を考えるフレームワークです。SWOTが「整理」で終わりやすいのに対して、クロスSWOT分析は「打ち手につなげる」ために使います。
図のように、強み×機会は強みを成長機会に活かす方向、弱み×機会は機会を生かすために弱みを補強する方向、強み×脅威は強みで脅威を切り抜ける方向、弱み×脅威は脅威の影響を最小限にする方向として整理できます。
注意点は、掛け合わせで案を出しすぎて決めきれないことです。各枠で候補を少数に絞り、「効果が大きいか」「実行できるか」で優先順位をつけると、施策に落とし込みやすくなります。
STP分析
STP分析は、「誰に届けるか」と「どう選ばれるか」を決めるためのフレームワークです。上の図のとおり、まずS(Segmentation)で市場をいくつかの切り口で分け、次にT(Targeting)で狙うべき市場(ターゲット)を絞り込み、最後にP(Positioning)で競合と比べた自社の立ち位置を明確にします。
ポイントは、順番を飛ばさないことです。セグメントを細かく分けただけで満足したり、ターゲットを広く取りすぎたりすると、結局「誰向けの何なのか」がぼやけます。ポジショニングは自社の主張ではなく、競合と並べたときに どこで勝てるか が言える状態を目指すと、その後の4P(施策設計)にもつなげやすくなります。
ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、競合と自社の立ち位置を「2つの軸」で可視化するフレームワークです。上の図では、縦軸が価格(低価格↔高価格)、横軸が品質(低品質↔高品質)になっていて、各社がどのポジションを取っているかを一目で把握できます。
こうして並べると、競合が密集している 激戦エリアと、比較的空いているエリアが見えてきます。ただし、空いているからといって有望とは限りません。顧客がその軸を重視しているか、自社がそのポジションを実現できるか(価格を下げられるのか、品質を上げられるのか)までセットで考える必要があります。
作るときは、まず顧客が選ぶときに比較しそうな軸を2つ選び、主要な競合と自社を配置します。軸がずれると結論も変わるため、「自社に都合のいい軸」ではなく、顧客視点で意味のある軸になっているかを確認すると、STP分析や4P分析にそのままつなげやすくなります。
4P分析
4P分析は、商品やサービスを「どう売るか」を整理するフレームワークです。上の図のとおり、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販売促進)の4つに分けて考えることで、施策の抜け漏れを防ぎながら全体を設計できます。
ポイントは、4つを別々に決めるのではなく、セットで整合させることです。たとえば高価格帯を狙うなら、製品の価値設計やブランドの見せ方、販売チャネル、訴求内容まで一貫している必要があります。逆に、手軽さを売りにするなら、流通や購入体験、告知の打ち方もそれに合わせるべきです。
注意点は、項目を埋めて満足してしまうことです。4P分析は「施策を並べる表」ではなく、ターゲットやポジショニング(STP)で決めた方針を、実行プランに落とすための枠組みとして使うと効果が出やすくなります。
4C分析
4C分析は、4P(製品・価格・流通・販促)を「顧客視点」に置き換えて考えるためのフレームワークです。上の図のとおり、Customer Value(顧客価値)、Cost(顧客コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の4つから、施策が“顧客にとって筋が通っているか”を点検します。
たとえば、こちらが良い商品だと思っていても、顧客が価値を感じていなければCustomer Valueは弱いままです。価格だけでなく手間や時間も含めて負担が大きければCostが高くなりますし、買いにくい・使いにくい状態ならConvenienceに課題が残ります。さらに、伝え方が一方通行だとCommunicationが成立せず、価値が届きません。
4C分析は新しく施策を作るというより、4Pで設計した内容を「顧客から見たときに矛盾がないか」を確認する役割で使うと効果的です。4Pで 何をどう売るか を組み立てたあと、4Cで 顧客にとってどう見えるか をチェックすると、打ち手の精度が上がります。
AIDMA
AIDMAは、消費者が商品を知ってから購入に至るまでの心理プロセスを段階で整理するフレームワークです。上の図のとおり、Attention(注意)→ Interest(興味)→ Desire(欲望)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の5段階で捉えます。マーケ施策を考えるときに、「いまどの段階が弱いのか」を切り分けるのに向いています。
たとえば認知が足りないならAttention、気になってもらえていないならInterest、欲しいと思われていないならDesireがボトルネックになります。購入直前で迷われるならMemoryやActionに課題がある可能性が高いです。段階が分かると、やるべき打ち手も整理しやすくなります。
注意点は、AIDMAを 順番通りに必ず進むもの として扱いすぎないことです。商材や購買単価によっては、興味から比較検討に飛んだり、いきなり行動に近い接点から入ったりもします。あくまで「どこで詰まっているか」を見つけるための枠組みとして使うと、施策設計に活きてきます。
AISAS

AISASは、デジタル前提の購買行動を「注意(Attention)→関心(Interest)→検索(Search)→行動(Action)→共有(Share)」の5段階で整理するフレームワークです。上の図のとおり、AIDMAと比べて「検索」と「共有」が明確に入っているのが特徴で、WebやSNSが購買に影響する商材で使いやすい考え方です。
施策を考えるときは、いまどの段階が詰まっているかを切り分けます。たとえば、関心はあるのに検索されていないならSearchの設計(検索される切り口や情報設計)が弱い可能性がありますし、行動まで進まないならActionの導線(比較材料、申込みのハードル、購入体験)に課題があるかもしれません。購入後の口コミや紹介が出ていないならShareの設計(満足度、シェアしたくなる仕掛け、UGCの促進)が論点になります。
注意点は、AISASを 必ずこの順で進むもの と決めつけないことです。商材や購買単価によっては検索せずに購入したり、共有が起きにくかったりもします。あくまで「どこを強化すべきか」を見つけるための枠組みとして使うと、打ち手の優先順位がつけやすくなります。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、顧客が商品・サービスを知ってから購入し、利用・共有に至るまでの体験を時系列で整理するフレームワークです。上のテンプレのようにフェーズ(知る→調べる→検討→購買→情報共有)を横に並べ、各フェーズごとに「行動」「タッチポイント」「思考」「感情」「施策」を書き出していきます。
このフレームワークが役立つのは、施策を点で考えてしまっているときです。顧客の行動や気持ちの流れが見えるので、「どこで不安が増えるのか」「どの接点で離脱しやすいのか」といったボトルネックを特定しやすくなります。AISASのような行動モデルで大枠を捉えたうえで、ジャーニーで接点ごとの体験を具体化すると、施策の配置がスムーズです。
注意点は、理想のストーリーを作りすぎることです。実際の顧客の行動データやヒアリングをもとに埋めないと、きれいな表だけが残って実行に結びつきません。まずは主要なペルソナ1人に絞り、最低限の情報で叩き台を作ってから、検証しながら更新していくのがおすすめです。
MECE
MECEは、物事を「漏れなく、ダブりなく」整理するための考え方です。上の図のように、分類に漏れがあると重要な論点を見落としやすくなり、ダブりがあると議論や施策が二重になって混乱しがちです。MECEは、この2つを同時に避けるための 整理の基準 として使います。
マーケティングでありがちなのは、「課題を出したつもりなのに、後から重要な要因が出てくる」「似た施策を別々に検討してしまう」といった状態です。そんなときに、論点や施策を一度MECEになるように切り分けると、次に何を深掘りすべきかが明確になります。
注意点は、MECE自体が目的になってしまうことです。完璧に分類しようとして手が止まるより、まずは大枠で整理して、抜けや重なりが見えたら都度修正するくらいが実務では回しやすいです。MECEは、後続のロジックツリーなどで分解を進める前の 整地 として捉えると使いやすくなります。
ロジックツリー
ロジックツリーは、課題や目的を「要素」に分解して、どこから考えるべきかを整理するフレームワークです。上の図のように、たとえば「購入率が下がっている」という課題を置いたとき、いきなり施策を出すのではなく、まず 何が原因になり得るか を枝分かれで分けていきます。
この整理をしておくと、議論が感覚論になりにくく、「どの枝から検証するべきか」「優先順位はどこか」が決めやすくなります。ポイントは、最初から細かくしすぎず、まず2〜3段で大枠を作ること。分解の切り口が重なっていないか・抜けていないか(MECEになっているか)を見ながら整えると、次の打ち手につながる形になります。
自社でやる?支援を入れる?判断チェック
フレームワークで整理できても、実務では「決めきれない」「動かせない」で止まることがあります。ここでは、いまの状況が自社で進めやすいのか、外部支援を入れた方が早いのかを判断するための観点をまとめます。
まずは、以下の4点を確認します。
①目的が言語化できているか
②意思決定が回る体制があるか
③顧客・競合・数値などの材料が揃っているか
④設計から実装・運用まで手を動かせるリソースがあるか
このどこかが欠けていると、整理はできても施策に落ちづらく、手戻りが増えやすくなります。
目安として、目的と期限が明確で、必要なデータが取れていて、推進担当と実装リソースが揃っているなら、自社で進めやすい状態です。一方で「何を優先すべきか決まらない」「判断者が不在」「実装まで手が回らない」などが重なる場合は、部分的にでも支援を入れた方が前に進みやすくなります。
セブンデックスが伴走できる範囲(戦略〜施策〜制作・改善)
マーケティングフレームワークは、情報整理や分析を「型」で進めるための道具です。PEST・5Fで外部環境を押さえ、3C・SWOTで現状を整理し、STP・ポジショニングで戦う場所を決め、4P・4Cで施策に落とし、AIDMA/AISASやカスタマージャーニーで接点設計まで具体化する。まずはこの流れを押さえるだけでも、意思決定のブレや手戻りは減らせます。
一方で、実務では「整理したのに次の打ち手が決まらない」「実行まで手が回らない」「改善が続かない」で止まりがちです。
もし今、どこに課題があるかは見えてきたものの、優先順位づけや施策への落とし込み、制作・運用まで含めて前に進めたい場合は、一度現状を共有いただければ、どこから着手するのが最短かを一緒に整理できます。
セブンデックスでは、フレームワークでの整理にとどまらず、戦略設計から施策への落とし込み、制作・改善まで一気通貫で伴走しています。
いまの状況を踏まえて「どこから手を付けるのが最短か」を一緒に整理したい方は、お気軽にご相談ください。

















