カスタマージャーニーマップは適切に作成すれば、体験設計においてとても大きな効果を発揮します。
しかし、うまく作ることができず、あまり効果を発揮できていないケースが多いのではないでしょうか。今回はどうすれば適切にカスタマージャーニーマップを作ることができるのか、そしてそのとき実際にどう役立つかについて紹介します。
*カスタマージャーニーマップの基本的な作り方はこちらから
目次
失敗しがちなケース
カスタマージャーニーマップを作るときによくある失敗の原因は、自分の想像で何となく書いてしまうことにあります。マップの枠を埋めることが目的になってしまっているケースです。
「このマップのように、本当にユーザーは行動するのか?」と聞かれてみると、自信を持って答えることはできないのではないでしょうか。実際いまひとつピンとこないままに作ってしまいるケースが多いように思えます。
どうすれば適切に作ることができるのか
そもそも、体験設計とは?
カスタマージャーニーマップは体験設計をするためのツール・フレームワークです。作成に失敗してしまう大きな原因の1つは「体験設計」という言葉を理解しきれていないことにあると思います。体験設計とは、ユーザーがサービスに関わる一連の流れ全てを設計することですが、ここで重要なのは、体験設計するということは「ユーザーの行動を変える」ということを意味するということです。
「おもちゃの片付けをしなさい」といっても子供はなかなか片付けをしません。片付けをするように、大きなおもちゃ箱を用意してみたりしたとしても、なかなか片付けをするようにはならないと思います。極端な例かもしれませんが、人が行動するようになるのは、そう簡単なことではありません。メリットが明確であったり、ストレスがあまりかからないコトやモノでないと人はなかなか動かないです。体験設計するときは、こうした人の性質・モチベーションなどを考慮して、実際に行動する仕組みを考える必要があります。
体験設計するときの重要なポイント
ユーザーの性質・モチベーションなど、ユーザーのことを深く理解することが体験設計やカスタマージャーニーマップを作成するときの重要なポイントです。ユーザーのことが深く理解することができれば、次は実際にユーザーにどんな体験・仕掛けを提供すれば、体験しやすいのかを丁寧に積みあげて考えていく作業になります。
ですので、体験を作る前にまずはしっかりとユーザーのことを理解しましょう。そうすることでカスタマージャーニーマップが作りやすくなります。そのためには、ペルソナの作成やデザイン思考の最初のステップ「Empathize (理解と共感)」が重要です。ユーザーを観察すること、直接聞いてみることが、地道ですがとても効果的です。
あとは、実際に自分で体験してみることが大切です。経験していないことを想像だけで考えるのは難しいので、実際にそのユーザーになりきって体験してみてください。カスタマージャーニーマップを作るコツは、体験と実際にユーザーと触れあってみることだと思います。
カスタマジャーマップのメリット
ここまでカスタマージャーニーマップを作る前段として、そもそも体験設計をすることが大事であること、そしてユーザーを理解することが大事だと紹介しました。ここからは、その上でカスタマージャーニーマップがどう役立つのかを紹介したいと思います。
体験設計した内容をアウトプットとしてまとめやすい
カスタマージャーニーマップのメリットは体験設計した内容をアウトプットするツールとして有効であることです。ユーザーや体験への深い理解のもとカスタマージャーニーマップの作成に取り組み、そこまでに考えてきたことをわかりやすく他の人が見ても伝わるようにマップに記入していくことで、自分の思考がまとまっていきます。たくさんの思考をしてきたからこそ、シンプルなフレームワークに落とし込むことで思考が整理されていきます。
また、カスタマージャーニーマップでは時系列で区切ってアウトプットすることができるのがメリットです。これは当たり前のことのように思えますが、体験とは時間の流れがあるもので、考えることが沢山あるので頭の中だけでは整理しきれません。マップの枠を書き出し埋めていくことで、ようやく考え始めることができることがあったり、自分が考えられていなかった部分に気づかされます。ですので、ここまで考えてきたことの整理や設計する体験の解像度を高めるうえでカスタマージャーニーマップは十分に機能します。
チームメンバーと体験内容を共有しやすい
プロジェクトは1人だけで進めていくことはありません。チームメンバーやクライアントワークだとクライアントがいます。その人たちと認識を揃えて進めていくことはプロジェクトを進める上でとても大事なことです。体験設計はとにかく情報量が多いので、それらの情報を各関係者に正確に伝えることは大変だったりします。発話だけで共有しようとしても、アウトプットがないとどこの話をしているのかわからないことになってしまいます。議論をしても空中線になってしまったり、認識がずれてしまったりすることもあります。
UXUIのシーンだと、UXデザイナーが体験設計し、その内容をUIデザイナーに伝えます。体験をメインで考える人と、実際に手を動かす人が別なので、UXデザイナーがUIデザイナーにそこまで考えてきたことをどれだけ正確に伝えることができるかでアウトプットのクオリティーが変わってきます。だからこそ、そこまで思考していことをわかりやすくまとめたカスタマージャーニーがあることで、議論や認識を揃えられることができます。
以上、「カスタマージャーニーを作るコツ&メリット」でした。カスタマージャーニーマップを作るときに、ぜひ意識してみてください。